夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
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「人生100年時代」のまやかし。年金は繰り上げてこそ価値がある、年金生活の私は学び、共感を深めて・・。

2018-11-08 14:46:08 | ささやかな古稀からの思い

先程、愛読しているネットの【 現代ビジネス 】を見ている中で、
【 「人生100年時代」のまやかし。
        年金は繰り上げてこそ価値がある 】と見出しを見たりした・・。

私は東京の調布市に住む年金生活の74歳の身であるが、
昨今、「人生100年時代」とか、
或いは年金支給時は65歳でなく70歳より繰り下げすればお得です、と新聞、雑誌などで学んできた。

今回の標題、真逆な論説であり、どのようなことですか、と思いながら精読してしまった。

この記事は、沢田 浩さんの寄稿文であり、【 現代ビジネス 】に2018年11月4日に配信され、
無断であるが記事の大半を転載させて頂く。

《・・「人生100年時代」のまやかし。年金は繰り上げてこそ価値がある
              

☆「100年時代は繰り下げがお得」への異論

(略)第4次安倍内閣の成立とともに、政府は「全世代型の社会保障」に向かうことを改めて宣言した。
目指すのは、70歳まで安心して働ける社会で、
企業に対しても今後、70歳までの雇用延長を働きかけていくという。


その際、枕ことばとなっているのが、「人生100年時代」である。

一度しかない人生。
僕だって100年を生きてみたい。
ただし、社会保障が本当に対応していただけるのなら・・・。


現在の日本の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.26歳(平成29年簡易生命表)。
100歳以上の長寿者は、6万9785人(平成30年住民基本台帳)だ。
まだまだ「人生100年」は遠く感じるが、20年先の時代では、より近づいてくる。


平成29年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」によれば、
22年後の2040年、男性の平均寿命は83.27歳、女性は89.63歳となり、
100歳以上人口は30万人(合計特殊出生率1.44の場合)を超えるという。


たしかに、かなりの人が、人生100年を生きられそうなイメージになってくる。

だから、100歳以上生きても安心なようにと、
原則65歳からの年金についても、繰り下げ受給ががすすめられている。


メディアでは、「70歳まで繰り下げると、年金が142%も増える」という見出しが躍り、
逆に「1年繰り上げると6%の減額」、「5年繰り上げると30%も損する」という記事があちこちで目につく。
大合唱だ。


「人生100年時代だし、繰り下げで、少しでも多くもらおうか・・・」
という人もいらっしゃることだろう。

              

だが、この秋に年金受給者となった山田さん(63歳=仮名)の選択は、真逆だった。


9月に退職し、年金受給手続きをとった山田さんは、現在63歳。
大手家電メーカーともう1社に、まる40年勤めた方である。


「私の場合、厚生年金(報酬比例部分)については、1年前に受給年齢に達していたので、
老齢基礎年金を繰り上げて、もらうことを考えて退職したのです」



☆年金事務所は「繰り上げ」を考え直せと促した

山田さんは、年金受給年齢が平成37年に、一律65歳となる際の移行措置対象となる世代。
つまり、昭和30年4月2日~昭和32年4月1日に生まれた世代であり、
この場合、厚生年金の報酬比例部分については、62歳の誕生日から得ることができる。


本来、年金を繰り上げ受給する際は、会社員などの場合、
65歳から得られる老齢厚生年金も合わせて、繰り上げなければならない。 


だが、山田さんの場合は移行措置で、
65歳以前の年金である特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、62歳から受給資格を得ていた。

このため、繰り上げるのは、65歳からの支給となっている国民年金相当の老齢基礎年金部分だけでいい。
この点も繰り上げを決めた理由だ。


つまり、「老齢基礎年金部分を24か月繰り上げたのですが、そもそも満額でも年に77万円。
学生時代に支払っていなかった期間もあるので、おおよそ年に70万円の年金となります。

これが、1か月0.5%×24か月、つまり12%減額されて、生涯61万6000円ほどと変わります。
年に8万円ほどで、月にすると7000円の差なら、いまのうちからもらっておこうかとなりました」(山田さん)


この結果、ざっくりいうと、山田さんの今後の年金額は、月額20万円ほどになる。
65歳まで待ったとしても、21万円になる程度の差だった。

              

ところが、年金事務所の対応は、繰り上げの再考を促すものだったという。
「年金事務所では、“本当にいいんですか? 2年繰り下げると、年に12%も年金額が減りますよ。
一度手続きをとると、変更はできません。

だから、生涯減額となるので、あまりお勧めできないですね”と繰り返すのです。
それで、実際どれくらい損をするのか試算してもらうと、
私の場合、減額されるのは想定どおり年に8万円ちょっとでした。


しかも2年繰り上げても、79歳8か月までの総受給額は、
65歳から受給した場合とまったく同じということもわかりました。

ほぼ80歳だし、そこから先が損すると言われても、
先の人生があるのかどうかもわからないしね・・・」 (山田さん)


つまり、2年繰り上げの場合も、65歳からの通常受給の場合でも、
得られる年金累計額の損益分岐点は、79歳8か月ということがわかる。


繰り上げ受給の場合、60歳からに繰り上げても、63歳からとしても、
受給開始後16年8か月までに受け取る総額は、
その年齢時点に65歳からの本来受給で得られる累計額と同じになる設計となっている。

ようするに、繰り上げは16年9か月経過後から、本来受給より損となる仕組みだ。


補足すると、老齢基礎年金を繰り上げ受給する場合、
1か月繰り上げるごとに給付率が0.5%ずつ減額される。

1年繰り上げると6%と減額され、2年繰り上げの場合では12%。
5年繰り上げて60歳から得ようという場合は、30%の減額となる。
数字を並べてみると、たしかに給付率の下げ幅は小さくない。


対して、繰り下げ受給の場合、1か月繰り下げるごとに、給付率が0.7%ずつ増額となり、
1年繰り下げると8.4%増額される。

2年繰り下げの場合では16.8%、5年繰り下げて70歳から受給する場合は42%も増え、
年金年額70万円だった人ならば、99万4000円の受給額となる。
 (略)

              

☆100年生きられる男性は100人に1~2人!?

山田さん「みんな、人生が有限であることを忘れている気がするんです。
だから、平均寿命が延びているからと、雇用延長を歓迎し、少しでも長く働いたうえで、
年金を繰り下げることが得だと、感じてしまうのではないでしょうか」


そう話し、さらにこう続けていた。

「だって、早く受け取ったところで、80歳時点の受け取り総額は、ほとんど変わらないんですよ。
90歳、100歳まで生きてもらえれば、500万、800万と違ってくるのでしょう。

それが得といわれれば、得かもしれない。でも、そこは予測不能。

いまの国の誘導は、年金を遅らせば、これだけ有利という啓蒙をしているけれど、
私のいた会社の諸先輩方も、平均寿命を迎える前に、亡くなる方はけっこう多いんです。
だから、90歳、100歳まで生きる男性に自分がなれるとは思っていないのです」(山田さん)


70歳までの雇用継続に対しても、山田さんの考え方は懐疑的だ。
聞けば、山田さんの仕事人生は、営業の現場でストレスをため、
神経をすり減らして働いてきた40年でもあったという。


「責任あるマネジメントに気力、体力を削って働き続けてきました。
が、この先、若い頃と同じ働き方はできません。
だから、退職したのです。

第一、企業という組織に60歳、70歳がごろごろいるようでは、組織の新陳代謝もはかれない。
企業には若い力が必要なんです。


もちろん、健康でストレスなく70歳を迎えても、働けることは素晴らしいこと。
そういう仕事を今後見つけていきたい。
その仕事探しの、糧になるのが年金の繰り上げでもあるのです。

それに、健康寿命のこともあるじゃないですか。
だから、健康ないまの生活に、年金を充てたいのです。
早く受け取れることがいちばんのメリットです」(山田さん)

              

「健康寿命」とは、厚生労働省の研究班が推計している、
「介護を受けたり寝たきりになったりせずに、日常生活を送れる期間」をさす。

2016年の推計では、男性は72.14歳、女性は74.79歳とされる。
男女ともに平均寿命に対して、9年~12年ほどが、「生活に不自由のある期間」であることを示している。


となると、安倍内閣の「人生100年時代」も鵜呑みにはできない。
100歳以上の人生を生きる人たちが、今後増えることはよくわかった。

そのうえで肝は、「どのくらいの確率で、私たちが100年を生きられるか」ということである。


厚労省や、総務省の公表資料からひも解くと、今年2018年に100歳を迎える人は、
3万2241人(男性4453人、女性2万7788人)。

いずれも、1918年生まれの人たちだが、その年の出生数179万1992人から導くと、
実際に100年を生きる人の確率は、実に1.8%。

うち、男性は0.49%。
つまり、1000人に4~5人しか、100年を生きられないということだ。

3万人近くが100歳を迎えた女性の場合でも、3.167%。
多いといっても、100人に3人ほどである。


現在の日本の総人口1億2600万人に対する構成比では、100歳以上はわずかに0.1%である。
日本の将来人口推計では、この比率が2040年には、0.3%と3倍となる。
その推移からすると、2040年に人生100年を迎えるであろう人も、現在の3倍くらいにはなるだろう。

男性では100人に1~2人、女性で10人に1人弱。
これが「人生100年時代」の本当の実像のようである。

              

今後の少子化により、年金原資が減っていくのは、もはや避けられないだろう。
だから、働き手を増やす施策とともに、年金受給開始の時期は、さらに繰り下げられ、
そのうえで受給額も減額されるのは必至であろう。

だとすれば、政府が喧伝する「人生100年時代」も、まやかしのお題目と感じてしまう。


防衛策は「得られるものは、できるだけ早く得る」ことだ。
繰り上げてでも得る。
そう感じてしまうのは、僕だけなのだろうか――。・・》

注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
              

私は民間会社の中小業のある会社に35年近く勤めて、2004年(平成16年)の秋に定年退職した身であるが、
この間、幾たびのリストラの中、何とか障害レースを乗り越えたりしたが、
最後の5年半はリストラ烈風が加速され、あえなく出向となった。

そして、私は出向身分であったので、リストラ烈風の中、
会社の首脳部が、社員を自主退職させる希望退職優遇制度などの免れたのも事実であり、
定年前にやむなく退社された同僚、後輩に少し後ろめたく、退職後の年金生活に入った理由のひとつとなった。

しかしながら根底の実情は、この当時は大企業も盛んにリストラが実施されている中、
たとえ私が定年後に新たな職場を探しても、これといった突出した技術もなく、
何よりも遠い勤務先の出向先で、私なりに奮闘して体力も気力も使い果たしてしまった。

このような拙(つたな)いサラリーマン航路である上、ときおり敗残者のように感じることも多く、
悪戦苦闘の多かった歩みだったので、せめて残された人生は、多少なりとも自在に過ごしたと思ったりした・・。

私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、2人だけで第二人生の歳月を過ごすので、
結果としては定年後の長い人生は、お互いの趣味を尊重して、堅実な生活を過ごせば、
年金生活でも何とかなると、定年後に年金生活を始めたりした・・。

              

私は定年退職後に年金生活を始めたが、
1944年〈昭和19年)9月生まれであるので、この当時は満62歳にならないと
年金は満額(老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計)を頂けないので、
この間の2年間は満額の6割弱の片翼飛行のような、年金生活を過ごすことになった。

やがて私は満62歳となり、年金は満額となり、これ以降は水平飛行のように安定して、
何かしら定年までは悪戦苦闘が多かった為か、予測した以上に年金生活を安楽に過ごして、
今日に至っている。

我が家の生計は原則として、私たち夫婦はお互いに厚生年金とわずかな企業年金を頂いた範囲で、
日常生活を過ごすことを原則としている。

そして耐久品の購入、冠婚葬祭、或いは私たち夫婦の共通趣味の国内旅行に関しては、
程々の貯金を取り崩して、ここ丸14年近く過ごしてきた・・。

              

「人生100年時代」に関しては、私は何かとプラス思考であるが、
健康寿命で80歳を迎えることができたら、幸運であり、
これ以降は余生と私は思っている。

このような思いで、今回の沢田 浩さんの寄稿文で多々教示されながら、
そうですよねぇ・・と共感を深めている。

コメント (2)
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