夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

定年後の人生、体力やおカネは平等ではないが、時間は平等、年金生活の私は銘言だ、と微笑み返し・・。

2018-11-07 13:20:38 | ささやかな古稀からの思い

先程、小学館が発刊しているの教養雑誌『サライ』の公式サイト【サライ.jp】を見ている中で、
【 定年後の人生|『定年後を極める―達人12人のノウハウ&読者71人の痛快体験記』】と題された記事を
読み、やがて私は微笑んでしまった・・。

この記事は、作家、書評家、編集者などをされている印南敦史さんが、
優(すぐ)れている本を紹介されている連載寄稿文であり、
今回の寄稿文は、2018年11月5日に配信され、無断であるが転載させて頂く。

《・・定年後の人生|『定年後を極める―達人12人のノウハウ&読者71人の痛快体験記』

定年後の人生をどう送るかについては、多くの方が期待と不安を抱いているはずだ。
もちろん、やっと定年だということで、ホッとする部分もあるだろう。
しかし、現実的にはセカンドライフへうまく移行できるかという不安のほうが大きいかもしれない。


そんな人の参考になりそうなのが、
『定年後を極める―達人12人のノウハウ&読者71人の痛快体験記』
日本経済新聞マネー&ライフ取材班編集、日本経済新聞社)である。

              

2003年2月に発行された『定年後大全』の続編。
資産運用や住まいなどに関する実用情報が中心となっていた同書に対し、
同年11月発売のこちらは、シニアの生き方に焦点を当てている。


2部構成になっており、第1部では生き甲斐や家族、恋、おしゃれ、マネープラン、起業など
12のテーマについて各界の第一人者にインタビュー。
セカンドライフを送る人たちに向けた、大胆でユニークなアドバイスが掲載されている。

そして第2部は、「私の定年後」をテーマに日本経済新聞で公募した読者71人の実践記だ。


つまり「定年」について、さまざまな角度からの考察がなされているのである。

今回は第1部のなかから、「人生設計」に焦点を当てた部分をピックアップしてみたい。
答えているのは、ノンフィクション作家の加藤 仁氏(2009年12月18日に逝去)である。

              

まず最初に登場するのは、リタイアについての考え方だ。
このことについての思いを語るにあたり、
氏はまず、サラリーマン時代は我慢と辛抱の連続だっただろう、と読者に寄り添っている。


「でもリタイア後は、そんな制約から解き放たれる。
人生を楽しむには、体力・気力・おカネ、時間が必要です。

全部そろえば、言うことないけど、
若いうちは、体力・気力はあっても、おカネや時間が十分にはない。

時間やおカネに、そこそこ余裕ができると、今度は体力・気力が衰えてくる。
なかなか、三つの条件がそろわないものです。
いまは定年を迎えても、老後の心配から、退職金なんかも、なかなか思い切って使えないかもしれませんしね」


「しかしリタイア後、だれにも時間は、たっぷりあります。
六十歳以降の最大の強みは、現役時代には持てなかった時間という資産を存分に使えることです。

体力やおカネは平等ではないが、時間は平等にあります。
その前提で、生活設計すると面白い」(本書28ページより引用)


              

リタイア後の人生設計は、早く立てるほどいいと言う。
定年後ではなく、定年前から準備するのが望ましいということだ。

ただし、焦って浮き足立ち、変な選択はしたくないもの。
そんな状態で決めたことをリタイア後に実行に移すと、
「こんなはずじゃなかった」ということになってしまいがちだからである。


頭で考えていたことと、手足を使って実際に行動するのとは、まったく異なるということ。

たとえば、夫としては、リタイア後に田舎暮らしをしたかったものの、
妻の猛反対にあって、あきらめざるを得なくなった人はとても多いのだという。

妻を説得して田舎に移り住んでも、
結局は田舎になじめず、撤退するケースも少なくないだろう。


「スタートラインから、つまずくのは珍しくない。
プランニングは大事だけど、想い描いた通りには何事も運ばない。

大事なのは、見込違いだったときに、柔軟に現実的に修正する力です。
そうでないと、夢はうたかたとなって消えてしまう」(本書30ページより引用)

              

しかし、新しいことに挑戦して挫折すると、あとがないぶんダメージも大きいのではないだろうか? 
そう感じもするが、挫折は終わりではないのだと主張する。


「リタイア後に、自分でビジネスを始めた元商社マンの取材をしたことがあります。
その方は事業に失敗し、自分のマンションを売るはめになった。

挫折感にひたり、二年間は誰にも会いたくなかったそうです。
今は工事現場のガードマンをしながら、図書館で文献を調べたり、フランス語の勉強に打ち込んでいます。

一人きりの時間を過ごす中で、ビジネスではないライフワークを見つけたわけです。
失礼ながら、収入は商社マン時代の数分の一でしょう。
でも自分なりに、生きがいの組み替えをやってのけたのです。

収入が多かった現役時代は、何にカネを使ったか、何に消えたか分からなかったといいます。
今は収入が少なくても好きなことに邁進できる喜びがあるんですね」(本書28ページより引用)

              

フリーランスの物書きとして仕事をしてきた著者は、
会社の格や社内での立場によって、人が評価されることに疑問を感じるという。

長きにわたってシニアの生き様を追い続けたのも、そんな思いがあるからだ。
組織のなかで人間がつくられていくような面があるけれども、
組織を離れたときに、生き方のオリジナリティを発揮できるか、それを見たいというのである。


「大企業の社員だから、偉いわけではない。
シニアのサークルの中には、女性が反発したりするので、
現役時代の仕事や肩書きを男性が、あえて名乗らないというところもあります。

でも、大半のサラリーマンは、リタイア後にまず自分を語るには、それしかないわけでしょう。
それをあえて伏せることはないと思います。

              

何かサークル活動をする場合に、元営業マンなら交渉に長けているでしょうし、
家電メーカーにいた人なら技術に明るい。
役所勤めだった人は、どこをつつけば物事が動くといったツボが分かる。
それを生かせばいいわけです」(本書31ページより引用)


たしかにそう考えれば、どうなっていくのか見当もつかないリタイア後についての不安を、
少しずつでも解消していけそうだ。


「好きなことができて、人に喜んでもらえるのは、幸せなことです。
収入が伴えば、もっとハッピーですけど。

とにかく、まずは好きなことをやること。
そのうち、それを通じて人との対話、かかわりの面白さを感じるようになれば、いいですね。

ビジネスの人間関係には、どうしても損得感情がつきまとうが、そうではない付き合いは楽しい。
好きなことをするうちに、いつのまにか人間関係の組み替えをしていたというのは理想ですね」(本書32ページより引用)


このように、定年後の人生について、多くの生の声を確認できるところが本書の魅力。
発行から15年を経ても、古さを感じさせないのは、人の生き方が普遍的なものであるからなのだろう。・・》


注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
              

私は東京の調布市に住む年金生活のまもなく74歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭の中で、古ぼけた一軒屋に住み、ささやかに日常を過ごしている。

こうした中、私たち夫婦はお互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごして、早や15年目となっている。
 

私は民間会社のある会社に35年近く勤めて、2004年(平成16年)の秋に定年退職し、
この間、幾たびのリストラの中、何とか障害レースを乗り越えたりしたが、
最後の5年半はリストラ烈風が加速され、あえなく出向となった。

こうした中で遠い勤務地に勤め、この期間も私なりに奮闘した結果、
身も心も疲れ果てて、疲労困憊となり、定年後はやむなく年金生活を始めたひとりである。
                          
そして年金生活は、サラリーマン航路は、何かと悪戦苦闘が多かった為か、
つたない半生を歩んだ私でも、予測した以上に安楽な生活を享受している。

              

記事を読み終わった私は、今は亡きノンフィクション作家の加藤 仁さんが誌上で遺(のこ)された、
《・・サラリーマン時代は我慢と辛抱の連続だっただろう・・
・・でもリタイア後は、そんな制約から解き放たれる。
人生を楽しむには、体力・気力・おカネ、時間が必要です。

全部そろえば、言うことないけど、
若いうちは、体力・気力はあっても、おカネや時間が十分にはない。

時間やおカネに、そこそこ余裕ができると、今度は体力・気力が衰えてくる。
なかなか、三つの条件がそろわないものです。
いまは定年を迎えても、老後の心配から、退職金なんかも、なかなか思い切って使えないかもしれませんしね」

「しかしリタイア後、だれにも時間は、たっぷりあります。
六十歳以降の最大の強みは、現役時代には持てなかった時間という資産を存分に使えることです。

体力やおカネは平等ではないが、時間は平等にあります。
その前提で、生活設計すると面白い」・・》

              

こうした思いあふれた的言の文章にふれると、つたない定年まで歩んできた私としては、
深く共感させられたりした。

何よりも《・・(定年後の人生)体力やおカネは平等ではないが、時間は平等・・》は、
至言でもあり、銘言だ、と微笑み返しをしたりしている。

私の年金生活に関しては、このサイトで幾たびも投稿文を重ねているので、
今回は省略する。
コメント (2)
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