ウィトラのつぶやき

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日本企業の生涯賃金ランキング

2017-11-01 15:28:47 | 生活

東洋経済が調査した「生涯給料全国トップ500社ランキング」というのが発表されている。調査方法は発表されている従業員の平均年収と、業界毎に厚生労働省が算出している賃金カーブモデルをあてはめ、22歳から60歳まで働くとして算出したものである。

トップレベルにはM&A関連企業などが来ているがこれはおそらく38年間も働けないような企業だろう。一般企業で言うと、大手商社、製薬会社、海運が上位で多く、化学系がこれに続く印象である。

個別ではキーエンス、ファナックといった優良企業に交じって朝日放送とWOWWOWが上位(20位以内)に入っているのが意外だった。他の放送局はベスト500に含まれていない。放送関係ではこの2社が特に良いとも思えない。また、日本を代表する産業である自動車産業がベスト500に殆ど入っていない(日産といすゞだけ)。トヨタなどは平均賃金も高いといわれているので何かおかしいのではないかと感じた。また、銀行もほとんどベスト500に含まれていない。電機業界で言うと比較的賃金が高いといわれていたパナソニックはNEC、富士通よりも下の480位である。

業界で海運が上位にたくさん入っているのは意外だった。海運業界は海運不況と言われたように景気が良いわけでもない地味な業界である。これは、この業界では自動化が進んでいるということかと思う。船のコンテナは人力で運べる大きさではないので、早くから自動化されている。一度に運ぶ荷物の量は多く、それだけ付加価値も大きいのだが、それを少ない人数でもなしている、ということなのだろう。

自動車業界が入らないのは意外だが、ひょっとして技能者の統計への入れ方に違いがあるのではないかと思っている。多くの会社では工場などは子会社にして給与体系を低く抑えている。本体でも年配者になると子会社に転籍させて給与を抑えることはよくある話である。厚生労働省の賃金カーブモデルは本体の給与体系だけを対象にしていて、自動車業界は工場労働者も本体の一部としてカウントしているので高齢者の賃金が低く見えているのではないか、という私の想像である。

このデータだけでそれほど多くのことが分かるわけではないが、眺めていろいろ想像することはできる、面白い情報だと思う。