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ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

円高、株安の原因は何だろう

2015-01-16 11:35:47 | 経済

ここ数日、急激な円高と株安が進行している。一体何が起こっているのだろう、と思う。

日経の解説では、ギリシャのユーロ離脱のリスクによるユーロ安が原因だという。確かに対ユーロのほうが円高は大きいのだが、「なぜ今?」という感じがする。ギリシャの選挙は10日後で、左派が優勢という票読みが出ているからだろうか? またギリシャ危機が来るのだろうか? ドイツは「かなり準備ができているので、救済の必要はない」と言っている。他の国は、ドイツにギリシャ救済を求めるので、議論になりそうだが、それほど大きな問題にはならないのではないかという気がする。

少なくともドイツはギリシャのユーロ離脱を覚悟して準備を進めてきた感じがある。ギリシャ政府がどう出るかわからないが、今回は本当にギリシャのユーロ離脱は起こり得る感じがしており、それでも大きな混乱にはならないような気がしている。もし、ユーロ離脱がうまくいけばユーロにとってはプラスになるだろうと私は思っている。ギリシャにとっては大きなマイナスになるだろうが。

ユーロに不安があるのは事実だろうが、ユーロからのお金の行き先としては円よりもドルのほうが安心なのではないだろうか? 対ドルでも円高になるのはどうも理解できない。ドル高傾向で進んできた円とドルの為替の調整速度が速すぎたということで投機筋が調整に入っているのだろうか。

私の物価感覚としては「$1=¥110」くらいが相場だと思っているので少し円高に振れてもおかしくは無いと思うのだが、金利の動向などを考えると、120円はおかしくなく、2015年中には「$1=¥130」位があってもおかしくないと思っている。今の為替の動きは何か不自然だと思う。



不動産事業の国際化

2015-01-07 10:54:59 | 経済

今日の新聞にはトヨタが燃料電池の特許を開放するとしたニュースが大々的に報じられている。英断だと思うが、多くの人が同じようなコメントすると思うので、私は「三菱地所が欧州事業を拡大」というニュースのほうを取り上げたい。

不動産事業は内需関連事業と言われているが、日本国内の不動産に外国人投資家はかなりの投資をしている。13年7月から14年6月には東京での物件に対して外国人投資家は46億ドル投資していて全体の15%だという。日本企業も海外物件にもっと投資してもおかしくないだろう。

今回の三菱地所の発表は200億円だというから大した金額ではないが、パリやロンドンの不動産を取得してオフィス用賃貸ビジネスをするという。過去にバブルに浮かれて買いまくった時とは違い、足が地に着いた動きの感じがして賛成である。

日本の製造業は世界的に強く、多くの分野で世界のベスト5くらいに入っていると思うが、いわゆる内需関連企業で世界で存在感を持っているものは極めて少ない。強いのはアニメくらいだろうか。しかし最近は今回の不動産に加えて金融、レストラン、小売り、なども徐々に世界に出て行っている。農業、医療、介護などの分野は現時点ではほとんど国内でしか事業をしていないと思うが、こういった分野も世界に目を向ける企業が出てきても良いと思う。成長戦略というのはこういうことを考えるべきではないだろうかと最近思っている。

ところで、成長戦略とは何かについて、定義があるのだろうか? つまりどうなれば成長したと言えるのかについてコンセンサスはあるのだろうか、と私は最近疑問に思っている。これもきちんと議論するべきではないかと思っている。例えば円高になればドル建てでのGDPは上昇する、或は円をどんどん増刷して増やせば円建てでのGDPは増加する、こういったものを成長と呼ぶか? 物価が上がってそれを補填すべく給料も上がったら成長というか? などである。


ソフトバンクのグローバル性

2014-12-19 09:01:15 | 経済

最近、ソフトバンクに関するニュースで私のアンテナに引っかかるものがいくつかある。子会社ガンホー(パズドラというゲームを提供している会社)が中国のテンセント(中国のSNSトップ企業)と提携した話や、インドの通販大手スナップディールに投資した話、タクシー配車プラットフォームのオラに出資した話、不動産の仲介サイトであるロコンに出資した話などである。

日本のゲーム、それもスマホ用のゲームを中国に売り込む話も理に適っているし、インドのネット企業に投資するのも理に適っていると思う。安倍総理ではないが「地球儀を俯瞰する投資」という感じがする。こういった点ではライバルのドコモやKDDIでは足元にも及ばないだろうと思う。ドコモがひと時ラディッシュボーヤのような企業に手あたり次第に出資したのとは相当に見通しが異なっている感じがする。孫社長の個人的な資質なのか、企業全体がそういった投資体質を持っているのかはよく分からないがおそらく両方だろうと思う。

ソフトバンクもすべての投資が成功しているわけではない。巨額の資金を投じたアメリカのSprintは苦戦しているし、日本国内で派手にぶち上げたメガソーラーも雲行きが怪しくなってきている。投資にはリスクが付き物で、うまくいかなければ傷を大きくしないように手じまいをすることが大事なのだが、ソフトバンクは手じまいのうまいのではないか、という感じがする。

通信オペレータとして私はソフトバンクはあまり好きではない。ドコモやKDDIのほうが愚直な感じがして信頼できるという印象を持っている。しかし、経営能力という意味ではソフトバンクのほうが上だということは間違いないだろう。日本国内での政策決定などではソフトバンクよりもドコモやKDDIの意見のほうが尊重されている印象がある。ソフトバンクの意見は露骨に自分に利益誘導するような感じがするのでソフトバンクの意見を採用したほうが良いとは言い難いが、ソフトバンクの意見の背後にある時流に対する読みなどは尊重すべきだと思う。



日本人の得意なソフトウェア

2014-12-12 09:28:51 | 経済

このブログで、日本企業はソフトウェア開発が駄目だと何度も書いているが、日本人が得意なソフトウェアも無いわけではない。私が入社したころにはまだパソコンは世に出ておらず、TK80というおもちゃのようなキットが出ていた。コンピュータ時代の夜明けだった。当時のCPUは非力でメモリも少なく、できることは極めて限られていた。そういった非力なコンピュータにはできないと思われていたことを、プログラムを工夫して処理効率を上げ、メモリ量を節約し作りこむ。このようなプログラミングを工夫することが好きな日本人は多く、実際品質も良くて、世界的にも高いレベルにあったと思う。

しかし、半導体技術の進歩で、メモリ容量や計算効率を最適化する必要はなくなり、むしろ開発時点では見えていない、将来の変更に対応できるようなアーキテクチャを整理するソフトウェアが重要になっている。こうした抽象的思考は日本人は得意ではなく、アーキテクチャが良くないので長持ちしないソフトになる。これは簡単には改善できないと思っている。

今、Industry 4.0という新しい生産革命の動きがドイツで起こっている。これは情報通信技術を使って生産効率を大幅に高めようという動きであり「モノのインターネット」と連携した、業界全体の動きとして立ち上げようとしている。日本でも無視できないとして経産省が動き始めている。しかし、これこそアーキテクチャが重要なソフトウェアで日本人に開発は無理だと私は思っている。日本企業として重要なのはユーザとして最先端のシステムを使いこなすことであり、自分が作らないことで、アメリカ企業のシステムを導入すれば、ドイツに勝つ見込みがあると思っている。経産省がこういう方向に動けるかどうかが、日本の製造業全体の将来に大きな影響を与えると思っている。

今の時代、日本人の特質を生かすソフトは無いのだろうか? 私はあるとすればごく小さな組み込みソフトだと思っている。電池を持たず、太陽光や振動のエネルギーで発電して処理を行うような、ごく小さなCPUの処理なら日本人は得意だろう。部品業界がこういったものを組み込んで付加価値を高めることは十分に可能だと思う。産業として国を支えるレベルには難しいと思うが・・


日本企業の価格戦略

2014-12-10 09:01:45 | 経済

日本企業の価格戦略が誤っている、という日経ビジネスの記事を読んだ。「なるほど」と思っていたところ、吉野家の牛丼値上げのニュースが入ってきた。「記事の通りだな」という感想を持っており、今日はこの点について書いてみたい。

記事はサイモン・クチャーズ&Co.の人が書いたもので、日本企業の利益率が低い大きな要因は価格戦略を軽視しているからだとしている。まず、基本姿勢としてコストに適正利潤を積み上げるコスト+方式を価格決定の基本としている企業が大部分だという。しかし、世界の動向は「顧客価値」で価格を決めるべきであり、いくらで買ってくれるかを考えて価格を決めるべきだという。

もちろん、日本企業だって高く売りたいのは間違いない。しかし、高く売る努力が不足しているという。小売り事業は別として大部分の企業は、企業に対して製品やサービスを提供しており、営業部門が価格決定権を持っている。B2Bビジネスでは定価販売することは稀で、値引き販売することが殆どである。その値引きに対して営業部門に対する指導がきちんとできていないという。

多くの企業は最大値引き額を決めており、その限度は地位が上の人ほど大きくなる。一般営業員、営業マネージャー、営業本部長などで上に行くほど大きな値引きをする権限がある。そして実際の契約金額は、それぞれの決裁権限内での最大値引き額で決まっているのが大部分だという。記事は営業部門の一人一人に「できるだけ高く売る」動機づけとトレーニングが日本企業にとって極めて重要だとしている。

私はこの記事を読んで20年ほど前にトヨタの人との会話を思い出した。「電気企業の方はビジネスが下手ですね。消費者は価値を認めているので、テレビをあんなに安く売る必要はないのに、必要以上に安く売っている。」という指摘である。当時のアナログテレビの話で、独身者用の2万円程度の小さなテレビだが、5万円程度でも買うだろう、という意見だった。自動車業界は当時から下のほうにまで価値訴求の姿勢が伝わっていたのだと思う。確かに、当時私が勤めていた会社も競合との価格比較と、コスト+で価格を決めており、コストダウンの努力を中心にしていたと思う。コストダウンの力はついたが、日本人の給与水準が上がり、給与が数分の一の中国が台頭してくると日本企業は勝てなくなり、コスト要因として人件費を削り始めた。これはこれで重要なのだが、高く売る努力が不足しているというのは間違いないと思う。

そこに入ってきた吉野家の値上げのニュース、これはまさにコスト+の発想である。レストランなどは原価が上がったから値上げする、という論理は通用せず、新たな価値を訴求して値上げするというのが常道であり、食材だけでなく、店のレイアウト、接客方式など値上げにつなげる要素はいくらでもあると思うのだが、まだコスト+の発想から抜け出せないのだろうか、と思う。



日銀が株を買うというのは良いことなのか?

2014-11-11 10:54:28 | 経済

日銀のサプライズ金融緩和から10日ほど経過して、いろいろなコメントが出てきた。私は賛成派の意見にも反対派の意見にも違和感を感じている。今回の金融緩和で黒田総裁は投資信託の買い入れを大幅に増やすといったのと、年金機構が投資信託の保有率を増やすといったのが同時だったので株価は上がった。日銀は380億円の買い入れを年間80回行う勘定になるという。

賛成派の意見の中心は「サプライズだったので皆が慌てて円売りドル買い、株買いに走り効果があった」というものである。円が上がりすぎている、或は株価が下がりすぎて問題だ、という時期ならばこういったコメントは理解できるがそういう局面ではなかった、正確に言うと、前回書いたように、危ないところを切り抜けた感じが明確になってきた時期だっただけにこのようなコメントは当たらないと思う。こういうコメントを出すのは金融機関に努める経済アナリストと呼ばれる人たちで、株が上がれば自分の会社が儲かるからであり、輸出企業が「円安は良いことだ」というのと同じようなものだと思う。

反対派の意見の中心は「株は上がってもそれを実感できる人はごく一部である。大部分の人は物価が上がって困っている」というものである。これはアベノミクスで政府と日銀が一体となって目指している「インフレを目標にする」というのに真っ向から反対するものである。「インフレは悪だ」というなら「デフレのほうが良いのですか?」という問いかけに対する答えを持っていなくてはならない。しかし「デフレのほうが良い」という人は殆どいない。「物価が上がるのは困る」という人たちは「給料が上がらないのは困る」という言い方にするべきである。

アベノミクスの狙いはインフレに伴って給与を上げて経済を活性化することである。最低限、インフレ率だけの給与が上がれば生活者にとっては差し引きゼロなので、それでも良いと考えていると思う。インフレが定着すると、タンス預金や銀行の普通預金のお金がどんどん目減りするので、皆が塩漬けにしているお金を投資に回す、という副次効果を期待している。政府債務の価値も目減りしていくという効果もある。

仮にインフレが定着したとして、70歳代後半から80歳代の人は銀行に預金していれば自然にうまくいっていた世代だし、今更特に儲ける必要もないので投資にお金を回したりしないだろう。日本企業は大量に内部留保を持っていて異常だといわれているが、企業は回収できる見込みのある投資でないと、しないものである。成長戦略が見えない状況では投資に回さないだろう。団塊の世代はまだ若く、アベノミクスの狙い通りに預金を投資に回すと思うが、日本経済全体を動かすほどにするには不十分である。私はアベノミクスの基本的考えには賛成だが、アベノミクスの成功には企業としての成長が見えるようになる成長戦略が不可欠だと考えている。

日銀が投資信託という形で株を買うというのは証券会社に対する利益供与にはならないのだろうか。投資信託を運営している銀行や証券会社は確実にメリットを供与できる。しかし、それが一般国民にまで回るのは長い道のりである。第3の矢である成長戦略が弱いままでやたらに金融緩和を行うのは経済をゆがめてしまうと思う。


ドコモは利益で挽回できるだろうか

2014-11-05 15:45:17 | 経済

上期の携帯オペレータ各社の決算が発表され、最大手のドコモが利益で3位となったと言って大きな話題となっている。通年でもドコモの利益が最下位となる見通しだという。ドコモとKDDIを比較するとAUの加入者数が4200万人、ARPUが4300円、ドコモは加入者数6300万人、ARPUが4400円である。携帯電話の収入はAUが2.17兆円、ドコモが3.33兆円となるはずで1兆円以上の売り上げの差がある。設備投資はドコモが6900億円、KDDIが5800億円でドコモのほうが多いがこの差を引いてもドコモのほうが1兆円ほど売り上げが多いのにどうして利益が少なくなるのだろうか。従業員数もKDDIとドコモは同じくらいである。

KDDIは固定のビジネスも行っているが主な利益源は携帯電話だと思っている。ドコモの運営に問題があるのだろうと思う。

その一方で、契約者数の純増では久々にドコモがトップに立った。上期の純増数ではドコモが119万、ソフトバンクが112万、KDDIが107万と接戦である。4-6月の数字ではドコモが大きく負けていたので、7-9月にドコモが頑張ったということだろう。新型iPhoneでドコモが挽回したのではないかと私は思っている。買い替えは少ないが、新規加入者が多かったということではないだろうか。

今後は加入者数純増に関してはこのような団子状態が続くのではないだろうか。ドコモが高コスト体質をどう改善するかが当面の課題だが、これまでどんどん手を広げてきて果たしてうまく行くだろうか、と言う感じがしている。



大幅株高はうれしいけれど・・・

2014-11-01 07:49:04 | 経済

昨日は朝から打ち合わせがあり、出かけていた。戻ってきてみるとものすごい株高になっていて驚いた。日銀が追加緩和を決定したからである。私の持っている株もずいぶん上がったのでうれしいことではある。しかし、このタイミングでの追加緩和はどうなのかな?と思う。

追加緩和の気持ちは良くわかる。10月に入って株価が大きく下がり景気の先行きを不安視する声が高まった。実際、ヨーロッパと中国は景気の先行きに大きなリスクを抱えている。このままだと総理も消費税の追加値上げの凍結を判断せざるを得なくなってくるのではないか、という空気が一週間前くらいまではあった。

しかし、今週に入って株価は戻してきており、アメリカもFOMCが金融緩和QE3の中止を決定した後でもアメリカの株価は上がっている。株価の下げは投機筋のゆさぶりだったと判断してよいのではないだろうか。おそらく、日銀が特に何も決定しなくても株価はジリ高になっていただろうと思う。アメリカは株安に揺さぶられなかったが日本は揺さぶられた、という気がする。

消費税判断のためには今が最適だという考えが黒田日銀総裁にはあったのだと思う。それはそれで一つの見識であるが、その一方、これからヨーロッパや中国で大きな悪材料が出た時には切れるカードは残っていない。

今の日本経済は世界経済の一部で、中心にはいない。日本から世界の好景気を発信することはできないのに対して世界の不景気は確実に日本経済に波及する。日銀の切り札は手元に残しておいた方が良かったのではないか、という気がしている。

これから円安が進むだろう。それが日本景気にどう影響するか、良い面も悪い面も出て円安の影響は微妙なところだと思う。



日本の5大企業変革とは

2014-10-14 13:31:47 | 経済

日経ビジネスが創刊45周年で、最近日本企業の勢いが失われてきていることに対する警鐘を鳴らし、「断」の経営、という特集を組んでいる。この中で、「記憶に残る5大企業変革」として事例を上げている。それらは

・川本信彦氏のホンダの変革
・山下俊彦氏のパナソニックの変革

・カルロス・ゴーン氏の日産の変革
・藤原秀次郎氏のしまむらの変革
・藤田田氏の日本マクドナルドの変革

である。私に言わせれば「これが5大企業変革とは見る目が無いな」と言う印象である。経営者などにアンケートを取って上位に入るのはゴーン氏の日産改革くらいではないだろうか。ゴーン氏の日産改革は本当に見事で、彼を呼ばなかったら日産は今頃無くなっていたかもしれないと思う。但し、私は日産がハイブリッド車では無く電気自動車に賭けたのが失敗で、建て直した後の成長戦略に乗れなかったと思うので、ゴーン氏は長期的展望は良くないのではないかと思っている。

それ以外は歴史をたどればどこの会社にでもある程度の改革ではないかと思っている。これらを5大変革と呼ぶあたりが日経ビジネスの今一つのところではないかと思う。

ここで、私が気になっているのは経営手法ばかりを言っていて技術トレンドを語っていない点である。私は日本企業が全体的に勢いを失っているのは情報通信の活用が不十分だからだと言う気がしている。この50年、特に後半の20年ほどは情報通信、特にインターネットが社会インフラになってきており、これをうまく活用することで業務効率が大きく変わってくる。日本企業はブルーカラーの業務効率は高いがホワイトカラーの業務効率が低い点が問題で、その問題点はグローバルセンスの不足とICTの使いこなしの遅れが本質であると思っている。

このブログに何度か書いたが、日本企業はソフトウェアプラットフォームのセンスが無い。一度企業内に業務システムを導入しても、業務はどんどん複雑化していくので、改版を続けなくてはならない。改版を続けるうちにいわゆる「スパゲティソフト」になって手に負えなくなる。そうすると全面見直しをして作り直さなくてはならない。それで経営者から見ると「情報システムは投資効率が悪い」と言うことになり、情報通信投資をしなくなっている、というのが大きな原因ではないかと思っている。

日本全体でこの状態を改善するために、メーカーはどこの国でも良いから世界最先端のソフトを使うことが必要だと思っている。世界最先端のソフト開発会社は主にアメリカに居る。日本市場は市場の将来性も不透明で、言語の違いもあるのでどうしても後回しの開発になる。そこを市場を開放して、日本市場向けに最先端のソフト開発をしてもらうように持っていくのがアベノミクス成長戦略の目指すべき方向性だと私は思っている。



サムスンの半導体工場への投資戦略

2014-10-08 08:10:33 | 経済

サムスンが韓国内に1.6兆円をかけて半導体の新工場を建設する計画だという報道に私は驚かされた。1.6兆円の工場とは工場建設費用としては桁外れの価格に感じたからである。ところが調べてみると、ライバルの東芝はサンディスクと共同で1.4兆円の工場建設を2007年に発表している。建設場所は四日市市と北上市で何年間かの投資の合計が1.4兆円という話である。四日市の工場は既に稼働し始めている。

今回のサムスンの工場はDRAMまたはNAND Flashということである。サムスンはビッグデータでFlashの需要が固いと読んでいるそうだが、私はビッグデータはFlashではなくディスクだろうと思っていた。ところが日経によるとサーバで大量のデータ処理をするためにアクセスの早いFlashが必要になるとのことである。本当かな?と思う気持ちがあるが数年間はその流れで行くのだろうとも思う。技術的には微細化が限界に近付いており、3次元メモリが本格化してくるとのことである。東芝との投資・開発競争になるが、サムスンは大きな賭けに出た感じがする。

今年に入ってサムスンの携帯電話は業績が悪化している。私はこの悪化は急速に進むとみている。ノキアの没落と近いイメージである。特にサムスンのスマートフォンが悪くなったわけではない。ただ、Appleに対抗するのはサムスンというイメージがなくなり、Android陣営が分散してきた。特に中国の小米が強敵である。

サムスンが悪化すると思うのは、世界のトップ企業になったことでサムスンは開発、営業、マーケティングから生産、販売とあらゆる分野で世界的に手を広げており、高コスト体質が出来上がっているからである。販売実績が予測に対して20%も下回れば巨額な損失になる。そうなるとリストラをせざるを得なくなるだろう。これがノキアと同じパタンになると思う理由である。復活するには業績の後追いリストラではなく、必要以上の大リストラをかけて、利益体質を再構築する必要があると思う。その時の社員の士気の低下を防げるか、特に韓国人以外の社員の士気を維持できるかが最大の課題だと思う。

今回発表した半導体工場の建設にも業績の悪化は影響するだろう。最後は韓国政府がサムスンを助けると思うが、国が私企業を助けるのは韓国ではルール違反のはずである。後手に回らないで資金供給できるが大きなポイントになるだろう。

半年もすればサムスンの将来はよりクリアに見えてくると思う。