1月の日本の経常収支が発表になった。7年ぶりの大幅な経常黒字と言っているが、中身は第1次所得収支が1.5兆円の黒字、貿易収支は7000億円程度の赤字ということで所得収支が大幅黒字という状況はますます顕著になっている。この点は2月9日にも書いたのだが今回はこの第1次所得収支についてもう少し考えを深めてみたい。
第1次所得収支は配当金や利息の受け取りと言われているが、中身を見ると、日本企業が海外企業を買収したりして利益を得るFDI(Foreighn Direct Investment)による利益はわずかで、大部分が債券などの利息や配当だという。
この配当を受け取っているのはどういう組織なのかを調べようとしたが見つけられなかった。以下は私の推測である。私は日本の海外投資が増えているのは、GPIF(年金を管理する機構)などがアメリカ国債などの外債を大量に購入しているからではないだろうか。大手の銀行なども買っているように思う。これは日本国内の金利が非常に安いからで日銀の低金利政策と関連していると思う。日銀が低金利政策を続けているのは、企業が借金をしやすくなって、日本国内での資金の循環が良くなることを狙ってのことだが、実態としては低金利は貸し出しには回らず、外国債を買うという行動につながっているのではないかと思う。
アメリカやヨーロッパは金融緩和の出口に向かっており、金利を引き上げる方向である。特にアメリカは具体的に金利引き上げを始めている。このままでは金利差が開くので、ますます大手金融機関の外債購入が増えるだろう。低金利政策は国内の資金循環の活性化にはつながっていないと思う。そうかといって、日銀が金利引き上げに動くと、円高になり、日本の実体経済に悪影響が出る。今は日米の金利差が開いているのも関わらず円高方向に向かうという不思議な動きになっているので、ここで日本が金利を上げるというのは動きにくいだろうが、いつかは金利引き上げに動かないといけないのだろうと思う。
2月9日の時には「第1次所得収支が黒字なのは良いことだと思う」と書いたのだが、これは必ずしも良いことではなく、むしろ日銀の苦境を表しているのではないかと最近は感じている。
このあたりをきれいに解説した記事は無いものだろうかと思っている。