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富士山 祝世界文化遺産登録

2013-07-02 00:05:05 | 話の種

 富士山が世界文化遺産に登録された。さらに今日7月1日は山開きだったのでテレビは富士山の話題で持ちきりである。高校の修学旅行で徳島から上京する途上、バスの窓から目に飛び込んできた富士山の雄大さに歓声をあげるほど田舎者だったが、富士山はずっと身近な存在だったような気がする。徳島の高校の前には城南富士という山があるし、隣の香川県には讃岐富士がある。このブログにも富士山の巻があり、晴れた日には東京の自宅から富士山が見える。自宅から見える富士山は北斎の”隅田川関屋の里”から見える富士に近いはずだ。

葛飾北斎の富士三十六景”凱風快晴”と”隅田川関屋の里” (Wikiより)

 自分の富士山行は修学旅行の吉田口五合目までだが、二女は学生時代に登頂し御来光を拝んでいる。相当きつかったようで、同行の友だちは高山病にかかって大変だったと言う。弟は35年ほど前の学生時代に、登山客を五合目まで迎えに行き翌朝登頂させる山小屋ガイドのアルバイトをひと夏経験している。その時、人頭大の落石が直撃し負傷して運ばれる登山者がひと夏で何人か出るように富士山は危険な山だという話や、サンダル履きの軽装で遊山気分でやってきた登山客に閉口した話や、外人を案内し結構英語が通じた話などを面白おかしく聞いた。弟自身は、山頂からの下山中に霧にまかれ登山道を見失い、山頂の測候所のドアを倒れ込むように叩いて救助されたことがあった。迷ったまま山を下っていたら確実に遭難していただろうと述懐している。新田次郎が「芙蓉の人」で描いた野中到と千代子夫妻は明治時代に大変な苦難の中その測候所で越冬観測を行った。富士山の美称が芙蓉である。気象庁の職員だった新田次郎が富士山測候所にレーダーを設置する責任者だったことはNHKのプロジェクトXで知った。その測候所は気象衛星に役目を譲り、2004年に無人化された。

このように二女や弟の話を聞き、さらには新田次郎の本を読んで富士山のことは臨場体験しているので、登山をするより富士講や噴火記録などを調べるオタクで勘弁してもらっている隠れ富士山ファンである。その証拠に東京の富士塚に登頂したし、富士山を東西南北から上空で拝んだこともある。今回の世界遺産登録が、当然そうであるべき世界自然遺産でなく、歴史や文化や宗教や民間崇拝など雑多な事象を盛り込んだ世界文化遺産だったところが自分の嗜好と同じで屈折しているように思えて何とも複雑である。

それは置いといて、気象庁のホームページの噴火記録をみてみた。最も古い記録は781年で8月降灰とある。ネットで探すとこれは続日本紀の記録で、781年”火山灰が降り木の葉が萎びた”とある。

天応元年(七八一)七月癸亥【六】》○癸亥。駿河国言。富士山下雨灰。灰之所及。木葉彫萎。

その後は、平安時代の貞観(859~877)と江戸時代の宝永年間(1704~1710)に噴火記録が連続するのが目立つ。貞観11年(869年)に発生したマグニチュード8.3以上と推定されている三陸沖震源の貞観地震は、2011年の東日本大震災3.11と同じ規模の津波を伴っていたことは今や常識になっているが、貞観地震の数年前の貞観6~7年(864~866年)に、富士山は2年間にわたって大噴火を起こしている。

864年6月に噴火、降砂礫多量。噴火場所は北西山腹。
長尾山付近から溶岩流出(青木ケ原溶岩)、北西に流れたものは本栖湖に達し、また「せのうみ」を精進湖(しょうじこ)、西湖(さいこ)に二分、北東に流れたものは吉田付近に達する。この溶岩で人家埋没、湖の魚被害。噴火の最盛期は噴火開始約2ヶ月程度まで。マグマ噴出量は1.2DREkm3。(DREは総噴出量をマグマの容積に換算したという意味)

 貞観地震後の貞観12年と16年にも富士山は噴火している。さて2011年3.11前後はどうだったかというと、4日後に大きな地震が起きた。

3月15日22時31分、静岡県東部(富士山の南部付近)でM6.4。その震源から山頂直下付近にかけて地震が増加。その後地震活動は低下しつつも継続。

富士山周辺で地震は増えているが今のところ噴火の気配はない。1923年を最後に噴気さえ出ていない。噴火の危険性はまだよくわからないが、富士山には噴火の衝撃でなく地震だけでも山体崩壊する危険性がある。富士山を構成する岩石は比較的新しく未固結で不安定であるため地震で大規模崩壊を起こす危険性があるというのだ。直接的人的被害は噴火よりも大きいと推定されている。

いずれにしても、世界遺産登録はめでたい。登録に便乗してかどうか入山料をとる話もあるようだ。集めたお金をゴミ収集費用に充てて、本来の世界自然遺産登録に再挑戦してもらいたい。と、心にも思ってない適当なことを書いておく。


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