遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

事故現場

2009-09-27 13:07:09 | アルプス
 2つの岩場の間の橋
    金属製の橋 
 8月1日・続
 問題の橋にさしかかったまさにその時に現場が封鎖されたため自分達が最前線に位置することになり、救助隊員がザイルを固定して平蔵谷に降り、女性を発見した様子を伝える無線を通して生々しい事故状況のすべてを聞かされることとなる。その内容をここに記すことは憚られるので詳細な記述は避けるが、要するに呼吸,意識ともになく厳しい状況ということで、後刻,死亡が確認されたことを知る。

 現場は登り専用のルートで前剣を過ぎて一旦下り、次の小さなピークの岩場を巻くようにつけられた鎖場との間の幅5mほどの鞍部にかかる金属製の橋(写真)。右は平蔵谷に繋がる雪渓であるから踏み外せばひとたまりもなく、一気にもって行かれる。気の抜けるところなどどこにもない剣岳の稜線でも特に慎重さを要する場所である。
 がまた、前剣を通過してホッとして、次の岩場のわずかばかりのスタンスに設けられた鎖場(写真)を目の前にしてその凄さに圧倒され、束の間呼吸を整えると言うか、緊張の連続が一瞬途切れやすい場所でもある。そこにわずかな隙が生じたのかもしれない。
 捜索活動開始
   確保中の隊員  
 橋に立って降りた隊員を確保する隊員。この小窓の向こうに落ちた。
 事故が何故起きたのか、その瞬間を見た者はパーティー内に誰もいなかったと言うことでその状況を知ることは出来ないが、滑りやすい金属製の橋だったことが災いしたのかも知れない~,等とも思って見た。
 転落したその瞬間,あるいは止まらない猛スピードの恐怖と絶望の中で、彼女は我が不注意と不運を一生分の思いで呪ったのだろうか・・。だが彼女の時間は戻らなかった。
 2ヶ月近く経った今になってしきりに思われる彼女の胸中にまでその時思い至らなかったのは、自分もまた事故現場に遭遇したショックと興奮の中にいたせいだろうと思う。
 小さなニアミスをいつも繰り返して、たまたま事故にあわずに今日に至っている自分は事故を論評する立場になく、この事故についての言及も本意ではないが、居合わせた者として感じた最小限のことを書かせてもらった。
 ガスの中,見えない@ki 
          
  
 雨で条件が悪く、ただでさえ遅れが生じていたのに加えて事故に遭遇した緊張感も加わってその後の動きがより慎重になる。登頂が予定より大幅に遅れることになるのは明白で、その日のうちに馬場島に抜ける目標を断念,目の前のルートに全神経を集中して進むこととなる。

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