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大幅修正された梅雨明け・・・気象庁発表確定値

2008-09-02 08:22:54 | 暮らし
 9月1日,気象庁は08年の『梅雨入り,明けと梅雨前線の特徴について』を発表した。これによると北陸の梅雨明けは速報値の7月19日から立秋前日の8月6日へと大幅に修正されている。2日や3日のずれ,大きくても1週間程度のずれならともかく、3週間もの修正である。ちょっと大きすぎるんじゃないか・・,と驚いた。

 関東甲信の梅雨明けの平均値は7月19日,北陸のそれは7月22日である。これに対する08年の速報値は、関東甲信が7月19日ごろで平年並み,北陸は平年より3日早い7月19日ごろとなっていた。
 昔は『梅雨明け10日』と言う言葉があって、7月20~30日頃が『山の天候が最も安定する時期』と言われてきた。近年の気象変動でそう言う実感はあまりしなくなったが、意識の底には『梅雨明け10日』と言う感覚めいたものが居座っていて、それに支配されやすい年代である。
 気象庁の発表であっても鵜呑みにしてはいけないとは思いつつも、日頃から気象について充分に注意を払ってその動きを追い、独自の見解を持てるほどの気象通ではない。なので『ずいぶん早い梅雨明けだなぁ』と思うその次には『今年の夏は暑くなるんだろうなぁ』と言う思いが来て『7月後半は山は大丈夫だろう・・』等と迂闊にも単純に思ってしまった。この安易さが命取りになるところだった。

 7月27日は若狭湾から新潟にかけて大荒れの日で、平地でもテントが吹き飛んで死傷者が出るほどだった。白馬稜線では予報は出ていたものの予想を越える激しい雷雨と強風で60代の夫婦が被雷し、県警のヘリが捜索する騒ぎがあった。
 以下はその様子を伝える記事
『27日午後2時50分ごろ、北アルプス白馬岳(2932m)付近で、岐阜県中津川市の男性(66)と妻(60)が落雷に遭い、手足がしびれて歩行困難になったと、同じパーティーの仲間が白馬山荘を通して通報した。県警ヘリなどが捜索したが発見できず、翌28日午後、白馬岳から約3キロ北の雪倉岳の避難小屋に自力で避難していたところを発見され救助された。男性は足に軽いやけど、女性は無事だった。大町署によると、山小屋にはほかに、千葉県の50代の夫婦と兵庫県の60代の男性も落雷を避けるため避難していたが、けがはなかった。2人は同県の登山サークルのメンバー計6人で27日白馬岳に入山。29日に下山する計画だった。27日昼頃、三国境から同山荘に向かう途中だった。ほかの4人は山荘にたどり着き、無事だった。落雷の後、2人は「手がしびれる」などと症状を話すことはできたが、パニック状態だったという(「歩行困難になった」の報も)。一帯は当時、激しい雷雨だった。』
(産経新聞、時事通信、信濃毎日新聞、NHKなどからデータ引用・抜粋した~『山道を行く~遭難カルテ』http://yamayakenta.blog51.fc2.com/blog-entry-460.html の記事から引用)

 同日,同時刻,私は白馬鑓から天狗山荘に向かう稜線上のハイマツに潜りこんで雷雨と強風が収まるのを待っていた。
 その事態に至ったのは事前に前線の動きを調べもせず、また雷の予報が出ていたにも関わらず安易に稜線に入ったことに尽きるのだが、『梅雨は明けた』と言う思い込みがあったことは確かで、しかしハイマツの中で寒さに震えながら『梅雨は明けていない,夏はまだ来ていないではないか・・』と喚きつつ、『天候の判断は自分でしなければ駄目だ』と言うことを思いっきり実感していた。
 なので今年の梅雨明けに関してはいずれ修正の発表があるだろうと予測していたが、まさか3週間もの大幅修正があるとは・・,でも実際がそうだったんだよね!
 翌8月7日は立秋。梅雨明けと共に秋が来たのだった。確かにその日から風が変わったのを暑い最中の広島でも感じた。まして北陸や信州では短い夏だったのだ。
 
 気象庁にとってもこの修正は屈辱だろうしつらいだろうなと思うが、現場では命に関わるので同情している訳には行かない。
 それでも登山現場は自己責任である。現場での感覚をより研ぎ澄まさなければならないし、それ以前に過信と無知を戒めなければならないと強く思った次第。

 以下,発表内容の原文

報道発表資料
平成20年9月1日
気象庁
平成20年の梅雨入り・明けと梅雨時期の特徴について
平成20年の梅雨入りは、沖縄・奄美と東北地方ではかなり遅く、東日本と西日本ではかなり早かった。梅雨明けは早いところが多かったが、北陸地方と東北南部はかなり遅かった。降水量は、6月は平年並のところが多かったが、7月は東日本と西日本でかなり少なかった。
気象庁では、毎年、春から夏にかけての実際の天候経過を総合的に検討し、各地の梅雨入りと梅雨明けの確定及び梅雨時期の特徴のまとめを行っています。今般、平成20年の梅雨についてとりまとめた結果は以下のとおりです。
1.梅雨入り・明け
今年の梅雨入り・明けを別表1、2のとおり確定した。
2.確定値のポイント
(1)梅雨入り〔九州北部、中国地方〕
速報での梅雨入り発表後はおおむね予想の通り経過したものの、日照時間や平均雲量など、より長い期間の天候経過及び九州南部や四国地方の天候経過との比較などから、これらの地方と同じ日を梅雨入りとした。
(2)梅雨明け〔北陸、東北地方〕
速報での梅雨明け発表後も、北陸、東北地方では前線の影響を受けて予想に比べて晴天が持続せず、また7月下旬には北陸地方で前線による大雨が発生したことなどから、この前線の影響が解消した後の梅雨明けとした。
3.梅雨時期の特徴(詳細は別紙のとおり)
(1)梅雨入り
沖縄・奄美と東北ではかなり遅く、東日本と西日本ではかなり早い梅雨入りとなった地方が多かった。
(2)梅雨明け
早い梅雨明けとなったところが多かったが、北陸と東北ではかなり遅かった。
(3)梅雨前線
梅雨前線は、5月と6月は日本の南の海上に停滞することが多かった。7月は平年に比べ活動が弱かったが、下旬には北陸から東北にかけて停滞し、局地的な大雨となったところがあった。
(4)降水量
降水量は、6月は九州南部、関東甲信でかなり多く、東北南部でかなり少なかったが、そのほかは平年並のところが多かった。7月は東日本と西日本でかなり少なかった。

本件の問い合わせ先:予報部予報課 03-3212-8341(内線3127)
地球環境・海洋部気候情報課 03-3212-8341 (内線3154)
                                   』
 

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