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登山前夜・・・横川にて

2006-07-18 19:33:19 | たび・出会い

      

 登山前夜,次男岳と横川川でキャンプを張り、渓流釣りを試みる。
 この川に竿を入れるのは10数年ぶり。以前はいるのが分かっていてもなかなか釣れなかったのに、今回は活発に餌を追ってよくハリがかりした。だが小ぶりのものが多くほとんど放流。上の2尾のみキープ。
 下の2尾はゴギが初めての岳の竿にかかったもので今回のみ目を瞑る。岳は北海道でオショロコマを釣りまくっていたらしいが、向こうでは竿を入れればすぐに釣れるそうで、本土の岩魚はちょっと勝手が違うらしい。『ハリが小さいと小ぶりのものがかかってしまうので9号を使うようにしろ!』,『合わせるのが遅いから飲み込まれて放流できなくなる,アタリを見逃すな・・』云々~
 準備よろしく七輪を持ってきていたのには驚いたが、お陰でうまく焼き枯らすことができた。

               
               
 渓流魚の現状と未来
 この川にはアマゴもいるが大きなものを見たことがない。ゴギにしても20cm止まりなので渓流釣りの川とは言えない。
 一つの川の総生産量と言うものは、その川の餌の量との関係で自ずと決まってくるので、尾数が多くなれば型は小さくならざるを得ない。小さい奴がよく釣れると言うのは不自然で、過度に放流されて尾数が多いために大きくなれないのだろうと推察される。つまり、もともとキャパシティーが小さすぎて渓流釣りの川ではないと言うことだ。
 この川の場合,極論すれば放流すべきではないし、放流しなくてもそこそこに魚は繁殖し続け、ほどほどに釣ればそこそこに釣れるだろうと思う。その川の本来の生産力にゆだねれば、川が自らコントロールする。それに満足しなくてはいけない。放流して釣り人を過度に呼び込むからそのバランスが崩れるのだ。

 漁協は儲けたいから放流し、釣り人は釣りたいから放流を望む。しかし、川の総生産量を考えないで放流した魚は、放流直後には一時的に釣れても、川自体がそれだけの魚の生育を保持できないから消えていくしかない。何万尾もの魚を放流して生かし続けるためには餌を与えるしかなく、そう言うことをすればそれは自然破壊である。
 漁協がそのことを知らないはずはないが、大量に放流して釣り人をドッと呼び込んで、放流直後の熱が冷めれば後は知らん顔である。釣り人も解禁直後に成魚放流されたサバのように丸々と肥えた魚を釣って満足するのが年中行事のようになっていて、その後釣れなくなってもそれが当たり前と思っている。漁協と釣り人の悪しき阿吽の呼吸とでも言うべきか・・。
 そう言う釣りが果たして渓流釣りと言えるのだろうか・・。そう言う人を、渓流釣りの愛好家と言えるのだろうか・・。まずは釣り人が考えるべきであろう。

 今やあちこちの地方のアマゴやヤマメ,イワナの遺伝子を無視した放流が繰り返され、広島の川でもヤマメが釣れるようになった。三段峡ではヤマメとイワナの交雑種と思われる魚を釣ったことがある。イワメと言うそうだ。
 広島の川の、あの川,この川の現状はどうなっているのだろうか。また、歴史的にはどうだったのだろうか。本来はどうあるべきなのだろうか・・。
 外来種による動植物の生態系への影響が深刻に論じられている昨今であるが、在来種であっても人為によって地域の固有種がその独自性を保てなくなっているのである。
 
 渓流釣りを愛する人達は、太古から日本の川で脈々と生き続けてきたヤマメやアマゴ,イワナの美しさと、他の魚にはないそのロマンに魅せられた人達であると信じている。そうであるならば手を携えて、川と魚とのあるべき関係を真剣に考えて行くべきであろう。渓流魚を愛する釣り人だからこそそれができるし、その資格があると思う。
  
               

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11 コメント

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自然を考える釣り人たち (ぺんぎん隊副隊長)
2007-11-25 10:40:44
こんにちは、木偶さんと同じ山行記ブログでお世話になっているぺんぎん隊副隊長と申します。

渓流魚の有り方について色々お考えがあるご様子ですね。

現在の渓流魚の状態はヤマメ、アマゴの純在来種は壊滅状態であり岩魚もその後を追う形になっています。
何故ならばそれは漁協を始めとする知識無き放流の結果としか言い様がありません。

釣り人が喜ぶから放流を繰り返す安易な漁協の体質。

各県の漁協は内水面調整規則により川魚の保護増殖が義務付けられています。その増殖の部分を声高に「放流」という安易な方法で主張しています。それも生態系に則った規則ある放流ならまだしも、血統を無視した養殖魚の放流を繰り返して来ました。
彼等の保護とは「数」のこと、増殖は「放流」のこと。そんな考えがそれを喜ぶ釣り人たちの行動で拍車を掛けられた状態でした。

しかし、釣り人の方も色々います。「数」を喜ぶ釣り人がいれば「型」を喜ぶ釣り人もいる。渓魚の質を見極め数釣りに走らない釣り人が増えました。そして近年漸く巷に騒がれ出した「生態系保護」という観念。そろそろ漁協も体質を考えなければならない時期に差し掛かりました。

心ある漁協は岩魚の放流を禁止し、休漁区・禁漁区を設定して自然の力での回復を行っています。また、人工産卵床を設置して渓魚自らの産卵に手を差し伸べています。
そして、その先達となっているのは川を愛する釣り人たちです。

私の師である川上健次は言いました。

「釣り人は一本の竿をアンテナ代わりにして川の実際をいち早く知る者である。だからこそ釣り人が川に対する意見をもっと発するべきなのだ。」

師の遺言(一昨年事故で他界)を実行に移した私達は一昨年「自然を考える釣り人の会」と言うものを立ち上げました。昨年にはNPOに認可されて活動をしています。

主な活動内容は

外来魚駆除
自然体験の主催協賛
子供達への釣りや魚採りの指導
河川(主に源流部)の清掃

これらを釣り人がネットワークを作り活動しています。
「源流のゴミをやっつけよう!」の活動を一個人としてはじめた私でしたが自分の趣味の中での一連の行動に於いて何処までが個人で何処までが会活動かとの線引きが難しいのです。それでも一釣り人として出来る活動を無理無く、そして末永く続けて行きたいと思っています。

駄文にてブログを汚した事、お許し戴けましたら幸いです。

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Unknown (木偶野呂馬)
2007-11-25 16:23:47
 副隊長様 コメントありがとうございます。漁協のこと,放流の実態,釣り人の考えなどはすべて素人考えの推測に過ぎず、きちんとした調査に基づくものではないので、実態とかけ離れた暴論と言われればすごすごと引き下がらなければならないところでして、ある面ではそう言う強力な反論があることを期待するものでもあります。
 そう言う意味で『釣り人も考え、動き始めている』と言う副隊長のご指摘は、力強い反論を頂いたものと受け止め、また、『外来魚駆除/自然体験の主催協賛/子供達への釣りや魚採りの指導/河川(主に源流部)の清掃』等を柱とする『自然を考える釣り人の会』の活動にも瞠目させられている次第です。
 同時に推測に過ぎない私の考えが、そう的を外れたものでもないと言うご指摘を頂いたものと意を強くするものでもあります。
 これらの実態についての客観的な資料を伴う調査報告や出版書などがあればと思います。なお、貴会の機関紙や呼びかけのパンフ等がありましたらご紹介下さい。
 
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HP (ぺんぎん隊副隊長)
2007-11-25 17:36:38
大して参考にもならない記述で申し訳ありませんでした。
木偶さんのふるさとのゴギばかりでなく、我々の地元のニッコウイワナも純在来種が激減しています。
個性豊かな多様性ある天然の在来イワナ(本来は岩魚だけに留まってはならない問題ですが・・・)を守るにはどんな方法が一番良いのかを考えて行きたいと思います。

私が管理している「自然を考える釣り人の会」のHPです

http://cgi.morespeed.co.jp/turibito/index.htm

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参考になります (木偶)
2007-11-25 21:41:07
 副隊長様 貴重なご意見とHPのご紹介ありがとうございます。こう言う活動団体があると言うことは光明です。大いに参考にさせて頂きます。 
 ところで、12月8日(土)から10日(月)まで、愛知県瀬戸市で日本の森と自然を守る全国集会と言う集会があるのですが、ご存じないですか・・?
『日本の森のホームページ』http://www.nihonnomori.com/ で詳しい内容を見ることができます。『自然を考える釣り人の会』のような会にこそ参加して欲しい集会です。参考までに!
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ありがとうございます (ぺんぎん隊)
2007-11-26 17:29:21
上記集会の件、一応本部に連絡入れて於きます。
しかし、サポーター不足にてどうしても関東近郊の活動が主となってしまい遠隔地参加は難しい状況です。

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TBありがとうございます。 (あーちゃん)
2007-11-26 22:51:50
こんばんわ。
読ませてもらいました。渓流釣りと放流と漁協と…いろいろな意見や考え方があるのだと思います。
私は、まだまだ渓流を極めてはいないので、確かに春先の釣り人になりつつある状態は否めないと思います。
でも、私も本来いない渓魚の放流は、どうかと思います。
ただ、あんまりえらそうに語るほど、よくわかっていないのですが、
今年、私がよく行く吉和の川の放流の話を読んだのですが、吉和の人々も、いろいろ考えられていらっしゃるのを知って、うれしかったのを思い出しました。何だか、文章が、めちゃめちゃですが、広島の川も捨てたんじゃないのかなって…

とにもかくにも、渓流釣り、大好きです。
吉和のきれいな朱点のアマゴが大好きです。

ただ一つ…これが一番問題だと、私は思うのですが、
まずは、私達釣り人が、川をきれいに保つ努力が必要だと思います。
今年、よく行った河原で、ビールの空き缶や、餌釣りの餌の空き箱等々…
何で捨てていくのか??思いながら、拾って帰りました。
これが、広島の釣り人の現状。あきれました。
あんなにきれいな川なのに、なんで汚すのか…
楽しませてもらって、なんでゴミを捨てるのか…
それが、私には、信じられないことでした。
えさ釣りをする一人として…恥ずかしいって思いました。
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吉和川~細見谷 (木偶野呂馬)
2007-11-27 13:36:43
 あーちゃん様 コメントありがとうございます。吉和川がお好きなんですネ。春先の吉和の里は美しく、釣りを離れてもいいところで、私もよく行きました。
 中津谷川や本流と中津谷川の合流点付近,立野キャンプ場付近とそこから始まる細見谷等でよく釣りました。細見谷には泳いで入りますが、奥は面白いところです。夕立の後のささにごりで良型が来ることがあります。一度根がかりと思っていたら動き出してびっくりしたことがあります。慌ててバラしちゃいましたが・・。逃がした魚は例外なく大きいものです。
 山に入る人間で地元から嫌われる1番は山菜採りで、2番が釣り師だそうですが、汚名を返上せねばなりませんネ。
 この記事にコメントを寄せられたペンギン隊副隊長さんのブログの渓流釣りの記事はとても参考になると思います。
※R186を廿日市から入って松の木峠を越えたゴルフ場の先,潮原温泉との中間辺りの左手にニシムラと言う養漁場があります。そこに入った道の右手上にある喫茶店はマスターがハーブに凝っていて話し好きでお勧めです。 
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渓流のゴミ (ぺんぎん隊)
2007-11-28 12:30:09
あーちゃんさん、こんにちは

ゴミを捨てるのは何も釣り人だけではありませんが
私も釣り屋ですから釣り人のゴミが目立つのは
気になります。
手前味噌ですが下記のような活動をしています。
http://www2.ucatv.ne.jp/~iwana.sea/sub%20contents/seisou/index.htm

ご協力戴けましたら幸いです。
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ありがとうございます! (あーちゃん)
2007-11-28 22:55:53
木偶さん、情報をありがとうございます。春に吉和に行く楽しみが増えそうですね(^^;

ペンギン隊さん、さっそく見に伺いました。
来春、川に行って、またゴミを見つけたら、写真撮って拾って帰ってきます。
ゴミは、明らかに釣り人の物だってわかります。
餌の入った箱、仕掛けの入ったビニール袋、タバコの吸殻、ビールの空き缶(新しい奴)なんて、ざらに落ちています。
情けなくなりますね…
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TB,コメントの面白さ (木偶野呂馬)
2007-11-29 02:18:21
 あーちゃんさん,副隊長さん,私のブログの記事上でお二人の交流が成立した点に注目しています。
 私もごく希に他のブロガーさんの記事への私のコメントに対して、別の方からコメントを頂いてブロガーさんを交えた3者での会話が成立したという経験があり、また、私の方からコメントを寄せられた方にコメントを送ったということも何回かありますが、自分のブログ上では初めてのことで、これはとても嬉しい出来事だと言うことをお二人にお伝えしておきたいと思います。
 私は、人様のブログで勝手に別の方と会話を進めるのは失礼かと思って遠慮していたのですが、むしろ積極的に関わって行く方が発展性があり、よりよい交流ができそうですネ。
 こう言う点も副隊長の言われるブログの特性と言うか、本来的機能の一つなのでしょうか・・。
 さらにTBがあれば、訪問者がそのTB記事を見ることで広がって行くと言うのはまさにその通りでした。
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