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映画・シチズンフォー スノーデンの暴露

2016-08-30 18:55:19 | 日記

以下文は、「シチズンフォー スノーデンの暴露」、現代ビジネス(2016・8・22)の小笠原みどり氏(ジャーナリスト)記事等々を参考にしています。細部は映画を鑑賞されることを、是非お勧めしますが、以後DVD等でも販売、レンタルされると思います。

 

映画、「シチズンフォー スノーデンの暴露」・・・2016年6月11日から公開中です。この映画は、第87回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。

2013年6月にアメリカの監視システムを告発したエドワード・スノーデンを追ったドキュメンタリー映画です。内部告発からもう3年が経ちました。

スノーデンの口から語られたのはアメリカ政府によるスパイ行為の数々、世界各国の要人、さらに一般国民の電話やインターネット等をも傍受しているという驚くべき真実でした。

何故、スノーデンは家族や恋人にも内緒で、これほど巨大なリスクを冒したのか・・・

 

スノーデンはNSA(アメリカ国家安全保障局、National Security Agency)の請け負いコンピュータ会社、デルの社員として2009年に来日、東京都福生市で2年間在住、勤務先は米空軍横田基地内にある日本のNSA本部

NSAは米国防長官直轄の信号諜報、防諜の政府機関です。世界中の情報通信産業と密接な協力関係を築いていると言われています。コンピュータ会社、デルもその一つで、スパイ活動は下請け企業を隠れみのにしているとも言われています。

人権を踏みにじるアメリカ政府の横暴に失望したスノーデンの強固な意志を確認したグリーンウォルドは、水曜日に英国ガーディアン紙に最初のスクープを発表、即CNNが速報、世界に激震が走りました。スノーデンは米国の国家機密のほぼ100%を知り得ていたと言われています。当然それらの膨大な機密情報は持ち出されたと言われています。1982年に起きた米国・ポラード事件(イスラエル情報機関等が米国国家機密の殆どをソ連に漏洩させたと言われる事件、米国は事件が重大すぎて、現在も一部真相を、すり替え、封印してるとも言われています。)以上とも言われています。

 

映画はアメリカ政府の裏切り者捜しが始まるなか、細心の知略や決断を要する告発者とジャーナリストの闘いが、タイムリミット付きのサスペンス映画のように繰り広げられていきます。映像、音声も極めて明瞭な本作は、国家権力が得体の知れないプログラムによって国民を監視、管理するネット時代の自由の危うさを警告し続けます。これはSFではありませんという前置きから始まります。

超大国アメリカが誇る2大情報機関、CIA(中央情報局)とNSA(国家安全保障局)の職員だったスノーデンは、政府が秘密裏にネット上で膨大な量の個人情報を監視、収集している実態を暴露しました。これによって日本を含む同盟国への盗聴が行われていた事実も明るみに出ました。以後、スノーデンは祖国のお尋ね者となり現在も亡命先のロシアに安全が確保された宿舎に滞在中です。

イラク戦争やグアンタナモ収容所をめぐるドキュメンタリー映画で知られるローラ・ポイトラス監督がアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した本作が凄いのは、監督自身が真っ先にスノーデンから匿名メールで接触を受けた人物であり、世紀の告発の始まりを克明に記録していることです。

 

インターネットの裏側で大規模に執り行われている監視実態を、世界に向けて暴いた当時弱冠29歳のエンジニア・・・学校にも余り行かず引きこもりだったこの少年は、天才的なコンピュター技術に長けており米国政府にスカウトされました。ハワイ勤務中の年収は約2000万円、安定した収入、楽な仕事、地位をも捨てました。

メール、チャット、ビデオ通話、ネット検索履歴、携帯電話での通話など、世界中のあらゆる通信経路を通過する情報のすべてをNSAが掌握しようとしているという事実が、初めて具体的な仕組みとともに明らかにされました。

ドイツやブラジルではすぐに自分たちの個人情報はいったいどこまで把握されているのかという独自の取材が始まりました、特にドイツのメルケル総理は、個人のプライベート電話が盗聴されたことに激怒しました、公務での盗聴は常識と認識していたと言われています。日本ではそのような追及は全く起こりませんでした。

スノーデンが働くNSAビルには、日本側のパートナーたちも訪れ、自分たちの欲しい情報を提供してくれるようNSAに頼んでいたと言われています。

NSAは日本の法律が政府による市民へのスパイ活動を認めていないことを理由に情報提供を拒み、逆に米国と秘密を共有できるよう日本の法律の変更を促したと言われています。

以下文は、内部告発メディアのウィキリークスが昨夏公表した、NSAの大規模盗聴件、ターゲット・トーキョーについてのスノーデンの感想です。

NSAが少なくとも第1次安倍内閣時から内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門などの計35回線の電話を盗聴していたことを記す内部文書が公にされました。

対象分野は、金融、貿易、エネルギー、環境問題等、いずれもテロとはなんの関係もありません。米国が友好関係を強調しながら、日本のなにを監視しているのかが分ります。

 

NSAと緊密な協力関係にある英語圏の国々・・・イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダにも1部共有されていました。(これらの国々はNSA文書で「ファイブ・アイズ」と呼ばれます。)

Approved SIGINT Partner、NSAの信号諜報SIGINT(Signals Intelligence)、協力国についてのNSA機密文書・・・

 

*ファイブ・アイズ

1・オーストラリア、2・カナダ、3・ニュージーランド、4・英国、5・米国

 

*協力国ではあるが、監視対象ともなるThird Parties

Third Parties

アルゼリア、オーストリア、ベルギー、クロアチア、デンマーク、エチオピア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、ヨルダン、韓国、マケドニア、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、台湾、タイ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国

スノーデンが明らかにしたNSA機密文書のうち、おそらく最も反響を読んだ一枚、「パートナー」の部分では、イギリスの諜報機関「GCHQと三沢(空軍基地)で得た情報を共有する」と記しています。

 

ターゲット・トーキョーの盗聴経路はわかっていませんが、NSAが国際海底ケーブルへの侵入、衛星通信の傍受、マイクロソフト、グーグル、フェイスブック等、インターネット各社への要請によって、世界中のコミュニケーションの「コレクト・イット・オール」(すべて収集する)を目指していることは、スノーデンの公表した機密文書によって明らかになっています。

オーストラリアの安全保障研究者、デズモンド・ボールとリチャード・タンターによれば、日本の監視拠点は米海軍横須賀基地(神奈川県)、米空軍三沢基地(青森県)、同横田基地と米大使館(東京都)、米海兵隊キャンプ・ハンセンと米空軍嘉手納基地(沖縄県)で、約1000人が信号諜報に当たっていると言われています。

米大使館は官庁、国会、首相官邸に近く、NSAの特殊収集部隊が配置されていると言われています。米軍基地は監視活動を主要任務としていると言われています。

国際ケーブルなどの通信インフラに侵入して情報を盗み出す「特殊情報源工作(SSO)」を、スノーデンは、今日のスパイ活動の大半であり、問題の核心と呼んでいます。

SSOは主に、国際海底ケーブルの米国上陸地点で、ケーブルを通過する大量の情報をNSAのデータベースへと転送する工作を施こしています。

インターネットが米国由来の技術であることから、世界の通信の多くが米国内のインターネット、通信会社のサーバーを通過します。日本国内で送受信されたメールであっても、米国内のケーブル上陸地点を通過すれば情報を盗むことができます。

標的は、政府機関だけではありません。コレクト・イット・オールは全ての人々の通信を対象にしています。

電話もインターネットも大半が民間企業によって運営、SSOには企業の協力が欠かせません。NSA文書は、世界中で80社以上との戦略的パートナーシップを築いたと明かしています。

米国内ではすでに、大手通信会社のベライゾンやAT&Tがデータ転送システムの構築に協力し、利用者データをNSAに渡してきたことがニューヨーク・タイムズなどによって報じられています。

日米間海底ケーブルのひとつ、トランス・パシフィック・オーシャンの国際共同建設にも両社が参加、米側の上陸地点オレゴン州北部のネドンナ・ビーチの内陸、ヒルズボロに陸揚げ局を設置しています。

Trans-Pacific Express:盗聴プログラム「STORMBREW」の一部としてNSA文書に記載

日本の接続地点は「Shinmaruyama」(新丸山)と表記され、「窒息ポイント」と呼ばれる侵入地点、米西海岸の「BRECKENRIDGE」に繋がります。

この位置がNSAのトップ・シークレット(最高機密)文書に記された情報収集地点、窒息ポイントと呼ばれるひとつと重なることから、日本からのデータがこの地点で吸い上げられている可能性は高いと言われています。

中国、台湾、韓国もつなぐこの光ファイバー・ケーブルには、日本からNTTコミュニケーションズが参加、千葉県南房総市に陸揚げ局・新丸山局を設置しています。

多くの場合、最大手の通信会社が最も密接に政府に協力しています。それがその企業が最大手に成長した理由であり、法的な規制を回避して許認可を得る手段でもあるわけです。つまり通信領域や事業を拡大したい企業側に経済的インセンティブが働きます。企業がNSAの目的を知らないはずはありません。

日本の通信会社がNSAに直接協力しているのか、それはスノーデンにも分からない・・・だが彼は、もし日本企業が日本の諜報機関に協力していないとしたら驚きですね、と言うのは世界中の諜報機関は同手法で得た情報を他国と交換しています。

これらの手法は年々攻撃的になり、最初はテロ防止に限定されていたはずの目的も拡大しています。交換されているのは、実は人々の命なのです。

僕が日本で得た印象は、米政府は日本政府にこうしたトレードに参加するよう圧力をかけていたし、日本の諜報機関も参加したがっていましたが慎重でした。それは法律の縛りがあったからではないでしょうか、その後、日本の監視法制が拡大していることを僕は本気で心配しています。

日本のNSA活動が米軍基地を拠点としているように、NSA監視システムは対テロ戦争下で世界に急速に張り巡らされました。

新たな監視手段の導入が常に安全のためと説明されるにもかかわらず、欧米で相次ぐテロは、すでに強力な軍や警察の監視システムが人々の安全を守れてはいないことを露呈しています。

監視システムはなんのために使われているのか?

スノーデンの告発によって、米国では模範的、愛国的といえるムスリム市民たちが集中的な監視対象になり、調査報道ジャーナリストたちが国家の脅威としてリストに上がっていることが明らかになりました。

大量監視は私たちの安全ではなく、グローバルな支配体制を守るために、すべての個人を潜在的容疑者として見張っているようです。

情報通信産業は利益の追求という経済的インセンティブに突き動かされながら、いまや世界の軍産複合体の中心部で、この広範な戦争と支配の構造を下支えしています。今のところ米国の戦場とはなっていない日本も、この戦争構造に組み込まれているし、現に監視の下にあります。

長年、米軍基地を提供し、思いやり予算と日米地位協定で厚遇してきた日本ですら執拗に監視されてきたことにスノーデンは驚いています。

ターゲット・トーキョーは、監視が敵や反対者に限らず、協力者や無関係な人々まで対象としていることを明確にしました。
日本政府は米国の監視システムの被害者でありながら、米国の世界監視体制を守る同調者として、日本で暮らす人々の通信データを横流しする共犯者、加害者としての性格を強めていくことを、スノーデンは憂慮しています。

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