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派遣社員の苦悩

2016-02-10 14:18:24 | 日本社会
労働者派遣法は、一説では米国の年次改革要望書により出来た法律(自民、公明、民主、社民などの各党が賛成した1999年に成立)と言われています。結果を見れば、どうも日本の勤労者のためにならない法律に思えます。派遣社員はいつでも解雇可能で、企業と派遣社員の中間に派遣会社が関与することによって、企業が直接雇用労働問題の責任を負う必要がなくなると言う旨みがあるのも事実に思えます。労働者派遣法、成立後どれ程この法律により真面目な派遣社員が苦しめられているのは事実と思います。総務省が2014年12月26日に発表した11 月の労働力調査では、派遣社員が135万人と言われています。

年次改革要望書は、日本国政府とアメリカ合衆国連邦政府が、両国の経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で、毎年日米両政府間で交換されていました。正式には、日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)と呼ばれています。2009年(平成21年)に自民党から民主党へと政権交代した後、鳩山内閣時代に廃止されています。
心ある、議員、有識者等は当時から警鐘を鳴らしていましたが、全くその通りの事態となっており、間違いなく格差社会を生んでいるように思います。

日本の勤労者の未来の姿は、今日の米国社会を見れば一部答えが出るように思えます。
米国では任意の雇用(Employment・at・will)を基にした雇用形態で、この任意雇用の仕組みは、企業側は何時でもどのような理由でも従業員を解雇することができます・・・多くの米国勤労者がどれ程この就業形態で苦しんでいるか!日本でもこの雇用形態を目指しているとは考えたくないですが・・・日本は、国益、国民益失うような労働者派遣法を受け入れている現実、分っているけど拒否できない現実、拒否できるような強い国になるのは何時のことでしょうか。

派遣労働者法(ウィキペデア)
派遣労働者の就業条件の整備や、労働現場での権利を確保するために定められた法律、派遣会社が労働者を他の企業に派遣してその会社の業務をさせる労働者派遣は、日本においてはひとつの労働形態として定着している。正社員よりも安い賃金の派遣労働者を使うことで人件費が減らせるというメリットがあり、労働者は柔軟に労働形態を決められるメリットがある。一方で、労働者の賃金、福利厚生といった雇用条件の整備は遅れており、労働者派遣法によってその改善が図られている・・・

1986年の施行以降、労働者派遣法は3度にわたって改正されています。改正のたびに労働条件の整備、派遣可能な業種の拡大が行われています。2006年の改正労働者派遣法では派遣受け入れ期間の延長、労働者の福利厚生の向上が盛り込まれています。
厚生労働省が4年に1度実施している派遣労働者実態調査(12年)によれば、派遣社員の苦情の内容(複数回答)は、人間関係・いじめが51.7%、セクハラも2.6%、派遣労働の現場で、精神的に追いつめられる、ストレスを感じる、尊厳を傷つけられると嘆く中高年は少なくないと言われています。
派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきました。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)、その都度、政府は多様な働き方に対応できると言いましたが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる、使い捨ての労働者、歪んだ労働市場となっているように思います。
昨年9月には、改正派遣法が成立、施行されました。業務内容を問わずすべての派遣社員が同じ職場で働ける期間の上限が最長3年になりました。それまで秘書、通訳、財務処理などは、専門26業務と呼ばれ、派遣社員として同じ職場で期限なく働くことができましたが、それ以外の業務と同様、最長3年になりました。同じ派遣先でも違う部署に移らなければ、4年目以降は就業することが出来ないようです。これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高くなると言われています。
特に求人の少ない中高年の派遣社員にとっては極めて厳しいと思います。法改正を奇貨とした派遣切りの動きも実際出始めていると言われています。昨今の職場の現実は、中高年の男性派遣社員が就けるのは現場の仕事ばかりと言われています。リストラなどで増え続ける中高年の派遣社員、その数は34万人と言われ、派遣全体の約3割に達しています。人格まで否定されるようなブラックな現場では、法改正を理由にした雇い止めの動きも出始めていると言われています。


以下の文はAERAの記事です。
じゃあ、いつ辞める?今月?来月?
関東地方の派遣社員の50代男性は昨年9月、職を失った。その約1カ月前、派遣先のリーダーの男性社員(40)に事務所内のロッカールームに呼び出されて叱責された後、別の社員から突然そう切り出され、契約を切られたのだ。
都内の有名私立大学を卒業後、正社員として流通関係の企業や学習塾で働いた。だが、40歳を前に勤めていた塾が廃業。必死に仕事を探したが、中高年に正社員のイスはなく、生活のため派遣会社に登録した。しかし、紹介されるのは警備、引っ越し、倉庫作業といった「3K」と称される仕事ばかり。15社近い派遣会社に登録し、倉庫を中心に働いてきた。

パワハラを告発したら
昨年3月から派遣されたのは、神奈川県内にある倉庫。医療品の「ピッキング」と呼ばれる作業だった。小学校の体育館くらいの広さの倉庫で、棚から商品を取り出し、箱に入れ、梱包し、配送の準備をした。倉庫では14~15人が働いていたが、リーダーを除いて全員が中高年の派遣社員だった。
時給は、県の最低賃金ぎりぎりの900円。毎月の手取りは15万円にも満たず、交通費も支給されない。それでも、朝から夕方までまじめに一生懸命働いた。それが突然、契約終了を告げられたのだ。

思い当たる節はあった。リーダーの社員は自分が気に入った派遣社員ばかりをひいきし、気に入らない派遣社員には仕事量などで露骨に差別した。たとえば、商品情報を読み取るスキャナーを気に入った派遣社員にだけ使わせたり、逆に気に入らない派遣社員の仕事を減らしてやる気をそいだり。少しでもミスをすれば「お前、飛ばすぞ」と怒鳴られた。そうしたパワハラに我慢できず会社の役員に訴えたのだ。ロッカールームに呼び出されたのは、その日の夕方だった。リーダーは、「不満があるなら直接自分に言え」と言った後、別の社員と相談するよう告げた。すると、いきなり冒頭の通告──。

この社員は保身から、面倒な問題を背負いたくなかったようだ。後日、派遣会社の営業マンに「どうにかならないですか」と頼んだが、翌月いっぱいで一方的に契約を打ち切られた。のちに理由は、役員に告げ口をしたことだと聞かされた。
ショックでした……お前は派遣だからさっさと辞めろといわんばかりですよね。

部長の執拗なセクハラ
専門知識を生かして自由な働き方ができるとして働く側からも歓迎された派遣社員だが、企業側からは契約期間終了で「雇い止め」にできることから、人手不足のときだけ一時的に雇える「雇用の調整弁」として扱われるようになった。その間、勤め先の倒産やリストラなどで正社員の地位を追われたり、親の介護のため仕事を辞めたりする中高年の失業者が増加、そうした人たちが働き先を求め、派遣市場に流れ込んだと言われています。

総務省の労働力調査によれば、中高年(45~64歳)の派遣社員の数は2014年平均で34万人、04年の2.4倍に膨らんだ。約119万人いる派遣社員の3割近くを占めるに至っています。

だがその現実は厳しく、40歳を過ぎると仕事は極端に減り、職種はキャリアを問わない単純労働ばかりになると言われています。提示される時給も、低くなる一方だ。現場では、派遣社員の経験やスキルばかりか、人格すら軽視した事態が広がっている。
都内の大手飲料メーカーで、一般事務の派遣社員として働いていた女性Bさん(41)は、50代後半の男性部長から、たび重なるセクハラを受けた。14年8月から働き始め、翌15年1月に別の部署の仕事も兼任することになった。セクハラをしてきたのは、兼任先の部長だ。

懇親会の席で、部長はBさんの年齢や結婚歴はおろか、夫婦生活にまで言及し、「子づくり、がんばりなさい。年齢的にもあと1年くらい大丈夫だろう!」と言い放った。隣に座っていた男性社員には、「なあ、子づくり教えてやれ!」などと、お開きまで2時間近く繰り返した。部長は勤務中も、「ご主人と、年に数回は、ねえ?」など性生活を示唆する質問をしつこく続けた。
「不妊と絡んでいるので、私の中では笑って聞き流すことのできない話でした」(Bさん)
精神のバランスを崩し、夫に声を荒らげたり、突然涙があふれて止まらなくなったりした。やがて、激しい頭痛にも見舞われ、脳神経外科を受診すると、ストレスからの「緊張型頭痛」と診断された。抗不安薬や睡眠薬が手放せなくなった。

●苦情の半数は人間関係

派遣会社に環境改善を求めたが、対応は鈍い。そればかりか、処遇面で不利益を被らないよう、派遣先へは匿名で対応するよう強く求めていたにもかかわらず、実名を告げられてしまった。そのせいか、Bさんは週5日勤務だった契約を週3日に減らすと一方的に通告された。
Bさんは昨年4月、1人でも入れる労働組合「派遣ユニオン」(東京)に加入した。派遣先と派遣会社を相手に団体交渉を行い、前者から和解金、後者からは和解金と謝罪文を勝ち取った。昨年5月で職場を離れ、問題も解決していくうちに、薬を飲まずにすむようになった。現在は別の派遣会社に登録し、別の派遣先で働くBさんが言う。
「いつも笑顔で正社員に気を使う一方、契約を切られたり、仕事を紹介されなくなったりするのではという不安から、何かあっても泣き寝入り。そんな派遣社員は多い」
「正社員は、僕たちが派遣というだけで頭からなめてかかり、バカにしています」
そう話すのは、神奈川県内の男性派遣社員Cさん(54)だ。

若い社員からモノ扱い
大学を卒業後、正社員として学習塾などで働いた。だが、35歳の時に勤めていた会社が事実上倒産。正社員の仕事を探したが見つからず、アルバイトでつないだ。40歳で結婚して子どもが生まれ、少しでも収入がいい仕事に就こうと思い、3年前に派遣会社に登録した。以来、倉庫内での作業、引っ越し、事務所移転の現場などで働いている。
派遣先ではプライドを傷つけられることばかりだ。親子ほど年齢が離れた正社員からモノ扱いされる。名前で呼ばれることはなく「お前」と呼ばれ、「使えないヤツだな」などと罵倒される。口にこそ出さないが、「派遣の分際で」と見下しているとしか思えない。
今は倉庫で物置資材のピッキングの作業をしているが、毎日のように「スピードが遅い」と年下の正社員から怒鳴られる。決して遅いわけではないと思うが、言い返すことはしない。黙々と作業を続けるだけだ。
バカなヤツを相手にしても仕方ないと思ってます。でも、そう割り切らないと、派遣ではやっていけないです。
派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきた。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)・・・その都度、政府は「多様な働き方に対応できる」とうたったが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる歪んだ労働市場を生んだのではなかったか。昨年9月には、中高年の派遣労働者をさらに追いつめる改正派遣法が成立、施行された。

3年後の雇い止め通告
これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高まった。求人の少ない中高年の派遣社員にとっては死刑宣告にも等しい。法改正を奇貨とした派遣切りの動きも出始めている。
私がホームレスになろうが、行き倒れになろうが、餓死しようが、会社はそんなことおかまいなしってことですよね。

都内に住む女性Dさん(56)は怒りをあらわにする。16年間働いてきた派遣先から、3年後の雇い止めを通告されたのだ。
26歳で離婚し、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。00年に派遣会社に登録すると、都内の大手コンサルティング会社に派遣された。業務内容は、専門26業務の一つ「事務用機器操作」だった。
派遣先とは3カ月単位の契約を繰り返し更新し、ずっと同じ部署で働いた。今の時給は1830円と、16年前から100円アップしただけ。月収は手取り22万円程度で、ボーナスはない。月1万円近い定期券代は自腹を切っている。幸い実家に身を寄せているので家賃はかからないが、老いた母(86)と契約社員の娘(32)と暮らしているので、生活はぎりぎりだ。

派遣会社から昨年5月ごろ、法改正などを理由に、3年後には契約が更新できないかもしれないと聞かされた。驚いて部長時代から知っている派遣先の社長に直談判した。事実なのかと問い詰めるDさんに、社長は言い放った。

派遣でも人によっては部署を替えて残ってもらう人もいる。しかし、あなた、今56歳でしょう。3年後は59歳。60歳間近で、同じように使うということはありえない。よっぽど特殊技能とかあれば話は別だが、あなたはそこまで優秀じゃないんだ。
一瞬、頭の中が真っ白になり、何を言われているのかわからなかった。我に返って抗議すると、社長はこう言った。
3年あれば、辞めた後の準備期間としては十分だろう。
後日、このことを派遣会社に伝えると、しれっと言われた。
先様がそうおっしゃっているので、私どもは法令に則っているだけの話ですから「先様」とは派遣先のことだ。

資格が10件あっても…
Dさんは証券2種外務員、ビジネス能力検定2級、秘書技能検定2級など10件の資格を持っている。だが、いくら資格を持っていようが、還暦間近になったDさんに今と同じような派遣先があるとは考えにくい。3年後、仕事はあるのか、体力的に働けるのか、医療費が余分にかかるのではないか。日雇い派遣でつないでいくしかないのか──。日々、不安に押しつぶされそうになりながら暮らしている。家族には心配させたくないので、あまり詳しくは伝えていない。Dさんはこう話した。
仕事を奪われるということは、収入が途絶えて生活の基盤を失うということです。法律が改正されたからといって、今まで頑張ってきた人間を切るのは、非人間的な行いだと思います・・・
中高年派遣社員は今後も益々増えると思います。これは、明日の正社員の皆さんの問題でもあるように思います。

AERA2016年2月15日号、等々の一部コピーに加筆しています、可笑しな文面は全て私のミスです。


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