極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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中距離弾道ミサイルの性能向上改修が進む中国

2015-10-03 10:26:19 | 軍事
アジアでの戦いは、中国、北朝鮮のミサイル戦争が主体となる・・・中国は沿岸部に約3000発の中距離弾道ミサイル(DF-3、DF-4、TELに搭載され移動運用DF-21、DH-10等)配備、半数は車両移動型ミサイルで、衛星情報等を活用しても攻撃破壊が極めて難しいといわれています。更に日々性能向上の改修されているとも言われています。少し古いかも知れませんが過去、太平洋空軍が中心となって実施した、西太平洋地域の将来を想定したウォーゲーム演習(名称:Pacific Vision、2008)をAir Force Magazine等が紹介しています。記事の中心は中国が主です。古い記事とは言え、基本戦略、戦術等は変わらないと思います。

チャンドラー空軍大将による、太平洋空軍創立以来の大掛かりな、ウォーゲーム演習(名称:Pacific Vision)では、車両移動型ミサイルへの攻撃破壊はほとんど不可能であったそうです・・・中国沿岸部からの中距離弾道ミサイルの攻撃で、在日米軍基地が簡単に破壊されたそうです。

教訓は・・・
*初動における、航空戦力の分散
*前方基地、指揮所の抗たん性、Resiliency強化
*海軍アセット(BMD(弾道ミサイル防衛)任務に当たる駆逐艦や巡洋艦など)からの、ミサイル攻撃の重要性
*西太平洋地域の同盟国の重要性
*ステルス長距離攻撃機の重要性
*ISR(偵察)システム無人機の重要性
*本土から遠い兵站補給の問題、ハワイ・ヒッカム空軍基地指揮所による指揮統制の課題等々であったと同記事は伝えています。

ウォーゲーム演習と言っても、現実に近い結果を得られると言われています・・・アメリカの対東アジア戦略を策定するために行われたと言われています。

素人が考えても確実なのは、やはり対応策の一番確実な方法は、初撃ミサイルの有効射程外に在日米軍を配置し被害を極限し、戦術等の拠点見直しをすることでしょう。
在日米軍は中国のミサイル攻撃に対して、脆弱(有効、射程距離内)なものとなり危険な環境に置かれる事になってしまったようです。当然ミサイル射程外のグアム等は、今後極めて重要な基地となるでしょう。

アメリカにとっての、日米安全保障条約の中心的な機能は、アジアで初めて核保有国となり(1964年)大量破壊兵器を増産する中国を抑止するためのものであったと言われています。ある程度離れた日本に在日米軍を配置して、北東アジアに戦略拠点の体制を敷いていました。ところが昨今は軍事情勢は一変し、在日米軍は中国のミサイル攻撃に対して脆弱なものとなり危険な環境に置かれる事になってしまったと言われています。
中国軍がまだ弱かったときは、米軍も余裕で沖縄にいられたのですが、近年は中国軍の空海戦力、弾頭ミサイル攻撃能力が急速に増し、米軍が沖縄に集中していると中国軍の攻撃を受けたときに非常に危険と言えそうです。
米軍は沖縄に集中しすぎた戦力を、中国軍のミサイルの初撃から逃れられるよう各地に分散、リスクを減らそうとしていると言われています。

中国軍は、短期戦での勝利を企図して、米軍が行動を開始する前に大規模な空爆や弾道ミサイル攻撃などによる在日米軍基地やグアムの米軍基地等への直接的な先制攻撃を行い、米軍の作戦能力を殺ぐ、同時に、弱点となるC4ISR機能や補給能力の低下を狙う間接攻撃手段(対衛星攻撃:ASATやサイバー攻撃、電子戦など)を併用し、米軍のアクセスを阻止すると考えられています。
昨今、米軍は新たな再編計画に基づき、沖縄に駐留する海兵隊のグアムやオーストラリアへの移動、将来的には沖縄に残るのは司令部機能と、最小単位の遠征部隊である第31海兵遠征隊(31MEU)のみになる可能性があると言われています。

ウォーゲーム演習は、現中国の軍事力の脅威に対し、アメリカ空軍太平洋戦略を決めるものだと言われ、結果をもとにチャンドラー大将は、トライアングル戦略(三角戦略)という構想をつくり上げたと言われています。
トライアングル戦略とは・・・簡単に言えば、在日空軍を日本全土から南へ下げ、グアムとハワイとアラスカの三つを拠点にした空軍体制を構築するものです。構想はパシフィック・ビジョンと言われ報告書にまとめられ、アメリカ軍指導部へ送られ、最終的にはオバマ大統領へ提出されたと言われています。

雑誌、オバマ外交で沈没する日本、2009年発行では、現中国、北朝鮮によるミサイル戦争主体の軍事情勢は変わっておらず、トライアングル構想が米軍の中で進んでいる可能性があると言われています。
米国防総省の、4年ごとの国防計画見直し(QDR)には、新しく統合エアシーバトル構想という計画が盛り込まれていると言われています。
QDRの、統合エアシーバトル構想は、中国、北朝鮮、イランのミサイル戦力の増強、これらの戦争においては従来の空軍と陸軍が中心から、空軍と海軍が中心となる戦術へ変わる、空海軍一体の相乗効果の向上が基本的構想であると言われています。特にイランはミサイル戦力増強が著しい、テロ戦争へ発展するイランより、統合エアシーバトル構想は、中国、北朝鮮との戦争を想定しているといわれています。

ジャーナリスト・日高義樹氏談、今後戦争は空海軍主体で、陸軍や海兵隊などによる陸上戦は犠牲者ばかりが出るので不必要になるのではと言っています。
中国の軍備増強、特にミサイル攻撃力や航空戦力の脅威が増すほど、在日米軍移動の流れが加速する可能性があります。

米国軍事コンサルタント・飯柴智亮氏談、中国海軍の空母が3隻に増える、航続距離4000km超の中国空軍戦闘機が2000機に・・・条件がそろえば、脅威は増し、米軍はより真剣に日本から移動する可能性があると言われています。嘉手納基地の戦力はグアム、フィリピンのクラーク基地等に分散する可能性は増すでしょう。

中国の軍事力拡大に在日米軍で対抗したい日本側の思惑からすれば正反対の動きのように見えます。
沖縄米軍の日本本土への一部移転、海外への移駐等が進むと思います。中国のミサイルや航空戦力攻撃に対するリスクを避けるための分散・・・射程圏内にある、沖縄辺野古の新基地は本当に必要なのかと言う理屈も一部あるようです。今後在日米軍、自衛隊は大きな戦術変更等をする可能性は大きいと思います。

参考資料
防衛省資料
U.S.-China Economic and Security Review Commission, 2010, p.90
Krepinevich, “Air-Sea Battle,” p.21.
Air Force Magazineの2009年1月号記事、PACAF's Vision Thing
飯柴 智亮(日本出身でアメリカ合衆国国籍の軍事コンサルタント、元アメリカ陸軍大尉)
日高義樹(ひだか よしき、ジャーナリスト、 アメリカ合衆国在住 ... 福岡放送局、佐世保放送局、外信部を経てワシントン 特派員、ニューヨーク特派員・支局長、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を 歴任)は、
オバマ外交で沈没する日本(2009年発行)
ウィキペデア

一部、不正確な内容があるかも知れません。プログ日記と言うことで・・・

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