テレビ修理-頑固親父の修理日記

古いテレビ、ラジオ、カーラジオ、アンプ、プレーヤ、電話機の修理のご案内です。古い物でしたら何処の国の物でも略OKです

AN/GRR-5, Radio Receiving Set (1952)

2016-06-04 14:45:36 | Weblog

今日お預かりしたのは米陸軍用の受信機 AN/GRR-5。 先日ネットオークションで落札した物で
届いた時から動作しなかったとのお話だった。 この種の受信機の修理、改造に付きましてはこ
ちらの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。

銘板に依ると英国 Thorn Electrical Industries Ltd.製とのことでその昔30数年前の一時期ここと
EMIの合弁会社の産業用オープンリール・レコーダを扱っていたことを久し振りに思い出した。

受信部は Receiver Radio, R-174/URR。

電源部は Power Supply, PP-308/URR。

キャビネットは Cabinet, CY-615/URR。 お話ではフィラメント回路のテスト・ポイントに電圧(1.4V)
が出ていないとのことだった。 電源部の回路図だけ DL し、原因を机上で当たったがその際気に
なった CR-102 (セレン整流器)はキャビネットの底部に固定されていた。 今回テクニカル・マニ
ュアルも添えて頂いたので早速診させて頂こう。

バイブレータ用の整流器 CR-101 は元々は亜酸化銅かセレンの整流器が使われていたが近年
下に見られるシリコン・ブリッジに交換されていた。

バイブレータ用電源の整流器の出力を診てみたが約DC 3.16V しか無くこれが先ず可笑しい。

ここの入力端での無負荷の電圧は約AC 8.4V と問題は無かった。

負荷電流は約 DC 0.5A と想定した値だった。

シリコン・ブリッジを配線し直した結果、上は無負荷時約DC 7.6V、下は負荷時約DC 6.4V。

バイブレータでスイッチングするトランス一次側の電圧は約98Vと問題無い値だった。

フィラメント用トランスの一次側巻線を診てみたが単に直流電圧が加わっているだけだった。

お話では0-100Vの電圧が診られたとのことからバイブレータは生きていると考えていたが、どう
も実際は違う様だった。

バイブレータの振動を発生させるコイルの巻線抵抗は約15Ωと問題の無い値だった。

ところが電圧を加えても振動が起こらないので仕方無くケースをカットし内部を診てみた。

画像からは見難いが振動板の先端が磁極にぶつかっている。 これでは当然振動しない。

何故振動板の先端が磁極にぶつかって仕舞っているのかを調べ分かったのは振動板の基部で
折れていた為で、これは間違い無く金属疲労に依るものと想える。

手許にバイブレータは多く在り(上の画像は在庫の一部)4pinの物も幾つか在るが、今回のバイブ
レータは電源用と云うよりチョッパーの様な使い方をしておりピンアサインの同じ物は無かった。

駄目元で折れたバイブレータの振動板の基部を簡単に修復し通電してみたが可也上手く動いた。

窓際から作業台に移りアンテナを8m程のロング・ワイアーに換えた結果7.195MHzでJH3LKW
局(兵庫県龍野市)が強力に入感した。 ただSSBは当初から想定されておらず復調は無理。

ただ6MHzバンドに移り、暫くしたところで動作が不安定となった。 この時ランプ・スイッチを押すと
動作が良好となったことからフィラメント電圧がギリギリと想えたので測定したみたところ約0.92x
1.08=約1Vだった。 (上のDMMでは実際の電圧は-8%程の表示となる為)

この為、電源電圧を定格のAC 115Vに上げたところ動作は良好となった。 フィラメント電圧は約
1.45Vとなった。

何時まで使えるかは不明だが暫くは問題無く使えそうだった。 中々高感度だったがAnt. Trim
は周波数の変更と共に細かく 調整する必要が有った。


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