今日お預かりしたのは Philips の F5X67A/02 でそのままお送り頂くと良かったのだが中身だけを
取り出す際に多くの糸が外れたり切れて仕舞った様だった。 電気的なレストアを行うのは左程
大変では無いが、この種のダイアル糸初め Philips 製品に顕著な各種の調整用糸の断線は非常に
時間を要することが想像出来る。 この種のラジオの修理、改造に付きましてはこちらのホーム
ページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
落ちていたダイアル糸の端の部分。 もしかすると中身を取り出す前に切れていたのかも知れない。
どうも出力トランスが見当たらず、出力段はSRPPの様だった。 スピーカーは生きているか?
画像からは見え難いがメインのダイアル用の糸は半分スチール・ワイヤーで残りが木綿?糸と
なっており、これは Philips の物に時々見られるダイアル糸の張り方と云える。
これまでにも Philips のラジオは多く手掛けて来たがストリンギングには何時も悩まされる。
どうも思い切って前面パネルを外し、態勢を整えた後に先に進むしか無さそうだがどうするか?
3月23日 ゴーサインを頂いたので本格的に糸掛けをスタートした。 何せこの種の装置の糸掛
けは云ってみればパズルを解く様なもので可成りの心構えが必要となる。
イヤハヤ想像通り難航したが何とかダイアル糸を張り、選局の具合を確かめていたが左右に何度
か動かし上手く行ったかと思い始めたところで急に重くなりパッチンと切れて仕舞った。
泣きたいところだったが(使われていたダイアル糸の強度に若干不安は感じていたが)このままと
云う訳には行かず改めてゼロから始めた。 (思い切って古い木綿のダイアル糸は全て交換した)
一度目より更に時間を要したが再度貼り直し今度は何の問題も無い様だったのでダイアル・ポイ
ンター組み込んでみた。
両側に在る音質調整部分の表示機構も直し、動きも良好となった。
絶縁の劣化が進んでいるペーパー・コンデンサを全て交換した。
バンド切換スイッチに問題が在ったが接点のクリーニングで良好に機能する様になったので先
程来連続運転に取り掛かった。 本来のスピーカーはご依頼主の所だが、音も中々だった。