今日の午後は都内で我がラジオ・クラブ、AWC (Antique Wireless Club) の集まりが有り午前中で仕
事を切り上げた。 今日のミーティングで皆の目を引いたのはデンマークの電話技師ポールセンが
1900年のパリ万博に出品した鋼線録音機 (Wire Recorder) を身近に在る物だけで再現したMさんお
手製の鋼線録音/再生機で実際に録音、再生を行い音を聴かせて頂いた。 画像左端のプーリー
は缶詰の空き缶とアルミ板で作られており、真鍮板を丸めて作ったシリンダーの両端に在る円盤は
風呂の排水口の蓋、ヘッドの移動部分に使われているのはタオル掛けの金具と何とも頭が下がる。
最初もっと細いピアノ線を使われたそうだがヘッドが外れて仕舞うので現在は0.9φ の物が使われ
ているとのお話だった。 また最初は手廻しで実験していたそうだが現在は小型のモーターで駆
動されていた。 因みに線速度は50cm/Sec程度なので鋼線長10mでの録音時間は約20秒。
ヘッドも幾つかの材料で試した結果トランスを分解して取り出した珪素鋼板が軟鉄板の3倍程の
出力が有ったとのお話だった。 鋼線との接触部分の加工、それと軸受け部分の加工が可也大
変だったとのことだった。
実際に放送を録音し、再生した音は戦時中の放送を聴いた様なノイズを含む音だったが、十分意
味が聞き取れるものだった。 (敢て当時の物と同じ様に交流バイアス等は加えられて無い)
ヘッドの出力は約10mV程とのことだったが現在はアンプで増幅してスピーカーで聴けたがポール
センの実験では電話用の受話器が使われていたので可也音量は少なかったことが想像出来る。