”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

滝野川大長にんじんの長い旅

2023-01-02 02:00:13 | 在来種 伝統野菜

昨年末から江戸東京野菜で遊ばせていただいております。

その中の滝野川大長にんじん。

 

    

江戸東京野菜には、東京各地の地名が付いたものがたくさんありますが、

地名を聞いただけで、その風景がはっきり浮かんでくるのが

滝野川大長にんじんの「滝野川」。

 

私は大学の4年間を北区滝野川で過ごしました。

私の母校は、今は府中市に移転してしまいましたが、以前は北区西ヶ原にありました。

私は西ヶ原のすぐ近くの滝野川に下宿していたのです。

 

親しみを込めて滝野川大長にんじんのことを調べましたので、

お時間のある方はご覧ください。

  

●滝野川は根が長い品種の栽培に向いていた

八代将軍・徳川吉宗が、享保年間(1716 ~ 36)に日本全国から野菜の種子を集め、

試作した中から優秀なにんじん品種として選んだものが、この長いにんじん。

それが滝野川(現在の北区滝野川)で栽培されたことから、

「滝野川にんじん」と呼ばれました。

土が深く排水が良いというこの土地は、根もの野菜の栽培に向いていました。

滝野川にんじんは晩生の夏播き専用品種で、7月上旬から種をまき、

11 月頃から収穫していたことから、冬場の貯蔵品としても好まれました。

 

  

●姿を消した滝野川にんじん

昭和 20 年頃、200 年以上続いた滝野川にんじんは姿を消してしまいます。

理由は、在来種が滅んでいくおなじみの理由です。

根の長い品種(70~100cm)は、栽培や収穫後の取り扱いにも手間がかかるため、

江戸時代後期に渡来した西洋種(15~20cm)に取って代わられたのです。

 

  

●滝野川にんじん、札幌大長にんじん、万福寺大長にんじんの関係

ところが、この滝野川にんじんを1932年(昭和7年)頃から、栽培していた地域があります。

それが、川崎市麻生区の万福寺地域です。

そして川崎市農林課が中心になって、「滝野川にんじん」と「札幌大長にんじん」を交配させ、

生み出したのが「万福寺大長にんじん」。

 

  

●江戸東京野菜の「滝野川大長にんじん」は「万福寺大長にんじん」だった!

万福寺大長にんじん=滝野川にんじん×札幌大長にんじん

ということから、

「万福寺大長にんじん」には「滝野川にんじん」の遺伝子が残されています。

そこで、「万福寺大長にんじん」の販売元である日本農林社の了解を得て、

「滝野川大長にんじん」として江戸東京野菜に認定された…

といういきさつがありました。

 

  

江戸時代に栽培が始まって、昭和20年に姿を消し、

2015年に江戸東京野菜に認定されるまでの「長いにんじん」の長い旅、

個人的な興味でしたが、調べてよかった!!

長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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