”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

かけがえのないあなた

2024-09-03 20:09:14 | ブログ

先日、スーパーで久々に会った方からこんなことを言われた。

「先生、もういやになっちゃったよ。

 私、80になったら、急にがっくりきちゃって・・・。」

  

彼女は、以前、私の講座を何回か受講してくださった方で、

今でもお会いすると、「先生」と呼んでくださる。

  

80歳になって、体力的な衰えもあったのかもしれないが、

離れて暮らしているお嬢さんから、

「お母さん、もういいよ。これまで頑張ってきたんだから。

 もう頑張らなくてもいいよ。」

と言われたことが、どうも「がっくり」の原因のようだ。

  

  

毎年、梅を漬ける時期になると、

彼女はホームセンターで、カートにたくさんの保存瓶を積んで、レジに並んでいた。

「東京にいる息子たちに梅酒を作って送ってあげるんだよ。

 去年のが残っているから・・・って言われるけど、毎年楽しみにしているから。」

と話していた。

 

  

  

一方、こんな女性もいる。

彼女は82歳。

食品会社の社長を務めている。

入院中に部屋は別だったが、友達になった。

リーダー的存在で、毎日、朝昼晩の食事の前になると、

「お~い!! 歩くよ~。」と言って、仲間に声を掛け、

廊下をみんなでウォーキングした。

 

 

治療の副作用で辛い時もあったはずだが、

彼女は仕事の連絡が入ると、パッと顔つきが変わり、

ノートパソコンとスマホを持って、ロビーに出て仕事をしていた。

退院の日も

「この後、このまま打ち合わせに行くよ。4つ打ち合わせ、入っているから。」

と言って、颯爽と病院を飛び出して行った。

 

 

 

 

 

 

  

この二人の女性を見て、

私は、精神科医 香山リカさんがおっしゃった「かけがえのなさ」という言葉を思い出した。

 

82歳の食品会社の社長は、ご主人が亡くなられた後、会社を引き継ぎ、

コロナ禍も乗り越えてきた。

そして、今、病気も乗り越えようとしている。

自分の「かけがえのなさ」に自信を持っている。

  

  

前出の80歳の女性は、お嬢さんの一言(もちろんお母さんへの愛情から出た言葉であるが)が

きっかけで、

「自分はもう社会の何の役にも立たない。いないほうがいい。」

と、自分の「かけがえのなさ」に自信がなくなってしまった。

  

でも、彼女とスーパーで立ち話をしている間、

彼女のお友達だけでなく、スーパーの店員さんまで、彼女に声を掛けていた。

かなりの人気者である。

 

  

あなたを必要としている人はたくさんいるんだよ。

光り輝く特別な存在にならなくても、

ありのままの自分で生きることに十分価値があるんだよ。

  

と、香山リカさんがおっしゃった言葉を彼女に送りたいと思う。

 

  

  

※写真は、本文とは関係ありません。

 昨夜、真夜中に焼いたバナナケーキです。(^-^)

 

 

コメント (4)
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