”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

したたかな唐辛子

2013-10-10 08:45:26 | 在来種 伝統野菜

先日、富士宮の在来野菜、

白糸唐辛子に出逢いました。

Dsc_0209

 

富士宮市狩宿で古くから作られている唐辛子。

普通の鷹の爪よりも、長いのが特徴です。

絶滅の危機にありましたが、新規就農されたご夫婦によって

種が存続されました。

 

 

ただ、不思議なのは・・・

唐辛子の原産地は、中米から南米にかけての熱帯地方。

富士宮のような冷涼な地域で

どうして育つことができたのでしょうか?

 

また、井川や水窪のようなもっと標高の高いところでも

在来の唐辛子は栽培されていますし、

長野や韓国のようなもっと寒い地域も

唐辛子の産地になっています。

 

これは、調べてみなくては!!

 

 

●原産地にも気温差が

 原産地である中米から南米の熱帯地方も、

 標高によってかなりの気温差があります。

 そんな中、比較的気温が低い地域の唐辛子は、

 茎の部分が木化することによって、生き延びてきました。

 このように、原産地では多様性に富んだ唐辛子が

 ばらついた状態で存在してきました。

 

●猛スピードで世界中に広まる

 唐辛子は、他の作物に比べると、

 世界各地に広まるスピードが速かったのですが、

 その理由は・・・

 ①昔の人は、唐辛子のような刺激物やたばこのような嗜好品を好んだ。

 ②遺伝的に多様性に富んでおり、各地に定着しやすかった。

 ③辛さを感じる味覚のない鳥類が、種を遠くまで運んだ。

 

●唐辛子の戦略

 以上の事を考え合わせると

 原産地の厳しい気候の中で、多様性に富んだ品種が誕生

          ↓

  ものすごいスピードで世界中に伝搬

         ↓

  その土地に根付くための工夫をして生き延びてきた

 ということになります。

 

 また、冷涼と言われる土地でも、

 真夏には唐辛子の生育適温(25℃~30℃)には届きます。

 これらの事情が重なって、

 唐辛子はどんな土地でも育っていったのでしょう。

 

 

鳥に運ばれたのか、人の手で運ばれたのか

「旅」の手段はわかりませんが、

郷に入っては郷にふさわしい道を常に選んできた

唐辛子の戦略・・・

なかなかしたたかだと思いませんか? (*^_^*)

 

 

唐辛子の伝播、生態、栽培について調べる際、

貴重なご意見をいただいた研究者の皆さま、

天竜農林局さま、水窪出身の皆さま、

ありがとうございました。

 

コメント
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