9月1日の朝日新聞に、原子炉の廃炉により生じる放射性廃棄物の最終処分に関する記事が掲載されていました。
この記事には「廃炉後制御棒 地下70メートル埋設、規制委決定:電力会社400年、国10万年管理」という見出しが付されていました。
原子力規制委員会が原発の廃炉により出る放射性廃棄物のうち《L1》と称される原子炉の制御棒などの放射能レベルが比較的高い廃棄物の処分に関する基本方針を決めたというニュースです。
従来から国は高レベル放射性廃棄物は地下300メートルより深い位置に10万年間保管するとしていましたが、このたび規制委員会はL1に分類される制御棒などは地下の70メートルより深い位置に埋め、電力会社に300~400年間管理させ、そのあと10万年間は国が管理を引き継ぐという方針を決めたというのが記事の概要です。
この計画、300~400年間とか、10万年とかいう数字、まったく気の遠くなるような想像を絶する数字です。おそらく、このような計画の実現可能性を厳密に検討したわけではなく、単に放射能レベルの減少の仕方を物理的・数学的に計算したら、こんなとんてもない数字になったということでありませう。
しかし、ほんとうに、笑わせるなよ!冗談はよせ!と言いたくなる数字です。もう絶句するしかありませぬ。
電力会社が400年間も管理する?!ほんとかよお~!今から400年前っていつだと思っているんだ、関ケ原の戦い(1600年)のころだぜぇ、いまから100年も経ったら世の中すっかり変わってしまって、関電さんや東電さんが存在してるかどうかさえ怪しいやないか、ましてや400年後となればもうどうなっているか、まったく分からんやないか!
400年間などというのはまったくの机上の空論に過ぎませぬ。
そのうえ10万年だと!ふざけるなよ、人類の元、ホモサピエンスがこの地球に出現したのが20万年ほど前や、原始人の時代だぞ、あの縄文時代が始まったのが紀元前1万5000年ごろだぞ、まだ縄文時代から2万年も経っていないのだぞおおお!10万年先まで国が管理できるはずなんてあるわけがないやろ!だいたい日本が存在しているか、現代文明が存続しているかどうかさえ怪しいじゃないか!
つまり、原子力発電による生じる核廃棄物、その確実な最終的な処分方法は事実上存在していないのです。この記事が伝える内容はまったく架空のはなしに過ぎないのです。400年とか10万年とかは、まったくなんの科学的根拠もない、笑い飛ばすしかないヨタ話に過ぎません、現状ではせいぜい100年先のことぐらいしか考えたり計画したりすることができないでありませう
しかしながら、笑い飛ばしたいのはやまやまであるものの、現実に放射性廃棄物が存在しているだけではなく、まだ増え続けつつあるのですから、笑っているわけにはいきません。9月2日付け朝日新聞の天声人語さんのように(400年とか10万年とかいう)「《超現実的》な現実に戦慄する。ちなみに日本で初めての商用原子炉が営業運転を開始したのは50年前である」などと、ただもっともらしく慨嘆しているだけですますわけにはいかないのです 、
とにかく、今できることは、最低限行うべきことは、戦慄したり慨嘆していることではなく、もうこれ以上核のゴミを増やさないようにすることでありませう。そのためには原子力発電を直ちに止めなければなりません。また、原発を新たに建設したり、外国に輸出することを絶対に止めなければなりません。このことは火を見るより明らかであります
(天声人語」さんも、戦慄しているだけでなはなく、日本を代表するメディアとして、もう原発はやめにしなければならないなどと明確に発言してこそ意味があるのです。ただ慨嘆しているに過ぎない文章を載せているだけでは単なるつぶやきであり紙面のムダづかいであります)
実は、今日紹介しました記事が掲載される数日前、8月26日受けの朝日新聞地方版(滋賀版)に「原発廃棄物の地層処分説明、来月17日、大津で初」という小さな小さな記事が掲載されていました。
経産省の認可法人、最終処分場の建設計画の実務を担う「原子力発電環境整備機構」といい何やら意味不明の難しい名称のお役所(NUMO:Nuclear Waste Management Organization of Japan、日本語に訳すと「核廃棄物管理機構」と、まことにストレートな意味明瞭なる名称です!)が、国が最終処分場の候補地を公募する方式から国主導で候補地を選定する方式に方針を変更したことを受けて、全国各地で行う説明会の一環として、湖都でも説明会を開催するという記事です。一般の参加者を募集、ただし定員50人とされていました。
定員わずか50人、たったの50人の市民にしか、この国民にとって大切な問題の説明を行わないとはまことにコソクなやり方だなあ、もっと大きなか会場を用意してできるだけ多くの市民を前に説明を行うのが本来のやり方であろうとは思ったのですが、週末でもありましたのでGGIはとりあえず電話で参加を申し込んでおきました。でも、氏名と住所と電話番号をばっちり聞かれてしまいました。
(注:上記の説明会は9月17日午後1時半、会場は大津市内のピアザ淡海。参加申し込みはNUMO(電話:03-6371-4003)です。締切は7月14日)
この記事に「(説明会は)大津で初」とあるのは正確ではありません。国が最終処分場の選定方式を変えてからは確かに初めてでありますが、それ以前、福島の原発事故以前に2回、わが湖都で講演会とシンポジウムの形式で最終処分場に関する説明が行われています。GGIはいずれにも参加しました。
1回目は、いつであったがGGIの記憶は定かではないのですが、十年以上前のことであったかと思います。数百人は入る大きな会場でした。そのときはNUMOの職員も来ており、ガラスの固化体にされた廃棄物を入れるための金属容器などの展示もしておりました。会場は関電の社員やその家族で満杯、大厳戒といった感じであり、質問する機会は設けられていませんでした。それで、NUMOの職員さんに、こんなもの展示したりしても、候補地なんか見つかりっこないですよ、とイジワルを言ったり、会場の外でチラシみたいなものを配ったりして帰ってきた記憶があります。
2回目は2009年のことでありました。わが庵の近くの高層ホテルの宴会場が会場、シンポジウム形式の説明会であり、木元某という女性の評論家のような人物が司会、NUMOの関係者も出席、やはり関電の社員さんが動員されていた模様でありました、GGIは気づかなかったのですが、一緒に行った知人の話では「会場の入り口で参加者の顔写真を一人一人撮っていた」とのことでありました。
このときはまことにラッキーでありました。というのは、このシンポジウムが開催される前日の夜、すこしは核廃棄物のことを勉強しておかなければと核廃棄物の最終処分についてネットで調べおりましたら、なんと「昨日、オバマ大統領とエネルギー長官が、ネバダ州のユッカマウンテンに建設中で完成まぢかであった、100億ドル(約1兆円)近くを費やした核廃棄最終処分場を安全上の理由から放棄することで同意した」というニュースが飛び込んできたのでありました!
翌日のシンポジウム、ほとんど質問の時間が設けられておりませんでしたが、最後に割り込んで、「みんさんご存知かどうか知りませぬが、昨日、米国の大統領はユッカマウンテンに建設中の最終処分場を放棄することに決定した、とのニュースが報じられています。NUMOの方などはさきほど、活断層を避けさえすれば、どこにでも最終処分場を建設することが可能なような話をされていましたが、そんな簡単なものでないことは、このニュースからも明らかではありませんか?」。
パネラーのみなさんも会場の方々の多くも少なからず慌てたようでありました。質問をすませた後、ユッカマウンテンの処分場放棄を伝えるニュースのコピーを檀上にいたパネラーの一人に手渡そうとしましたら関電の社員らしき人物が邪魔しようとしました。まことに恥ずかしき行いであります・・・・。
それがどうしたと言われればそれだけの話ではあります。9月半ばに湖都市内で行われる説明会では、しっかり説明を拝聴し、すこしはマジメに勉強したいと思います
今日もまとまらない話になりました。お許しください
今日の写真は9月1日の朝日の記事をとったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ
グッドナイト・グッドラック!