先週の土曜日、7月26日、GGIらが炎暑の下、脱原発ウォークなるものを敢行しました日の夕方、小さな集まりが湖都の市内でありました
その数日前、この集まりの知らせがFAXで届きました、文面のほとんどはフランス語でかかれていました、「フランスのエネルギーと環境問題」と題した講演会のようなものです、主催するのは、まあ日仏交流を進める湖国の市民の会といったもののようです、
ACROという、チェルノブイリ原発事故(1986)の後に設立された専門家などからなる、フランスのNPOの物理学者が話すようです、英語での説明もあるとのこと、すぐにファクスの送り主から電話がありました、フランス語をよく勉強している人物です、受話器の向こうから命令が聞こえてきます「GGIよ、この講演会に来て原発問題について適切なる質問をされよ、英語でも可であるから、ぜひ来るように」
フランス語での講演かあ・・・おフランス語、読んだ経験はあるあけど、オレにおフランス語のヒアリングなんかできるはずない、英語でもええから質問しろだって、英語だって似たようなもんや、日本語の発音も怪しい(と、かつて日本在住のドイツ人のオバサンから言われてしまったことがあります、「GGIサンノ日本語、発音オカシイデ~ス、アナタノイウコト分リマセ~ン」)から、英語で適切なる質問しろと言われてもなあ、それにデモで疲れ切ったあとの話だろう・・ムリ、ムリ・・・
まあせっかくのご命令ではあるが、ここはひとつパスしてしまうかと思っておりましたら、このGGIに命令を下した人物がデモに参加しておりました、そしてデモが終わって別れぎわに申しました、「今日の午後6時、わかっているでしょうね」と念を押されてしいました
しかたがないので、一度わが庵に帰還、ちょっぴり英語での質問を考えてから夕方、しかたなしに講演会の会場へと向かいました、会場はちょっぴりレトロな感じの旧公会堂の会議室でした、あまり気乗りせずにノロノロ出かけましたら、少々遅刻、もう講演がはじまっていました
講師のフランス人が小さなパソコンを操って次々にスライドを映し出して説明を行っております、参加者は二十数人、おフランス語勉強してますわよと言う感じの女性なんかも何名もおりました、講師以外にフランス人が三、四人ばかりおり、フランス語が流暢そうな日本人のオッサンも一人おりました
講師のフラン人は物理学者、一人で英仏語チャンポンで話をしていきます、英語も流暢です、流れるように仏語と英語が切れ目なしにつづきます、このためGGIはしばらく聞いているうちに大困惑、というのは英語なら少しは分かるかなあと思って聞いていたのですが英語と仏語が切れ目なく滑らかに続くため、聞いているうちに、どこまでが仏語でどこまでが英語なのかだんだん分からなくなってしまったのです
でもスライドで映し出される内容は英語で記されており、それに大半は常識的な内容の原発問題や福島の原発事故に関する事柄でありましたので、だいたいは理解、話の内容はあんまり分からないけれど、まあいいかと思って聞いておりました
ときどき、講演の最中、フラン人らしき外国人やフランス語が得意そうな日本人のオッサンがフランス語で口をはささみ何やら質問しておりました、それを聞いていて、GGIの隣に座っていた、GGIに命令を下した人物はときおりちょっぴり笑い声があげたりしておりましたがGGIにはさっぱりわかりませぬ、こんな雰囲気ではブロークンな英語で質問するのもななんだなあと、GGI少し気おくれがしてしました
フランス人の物理学者、まる二時間よどみなく話し続けました、講演が終わって、質問の時間が設けられているのかと思ったのですが、どうも様子がヘンであります、司会の女性は、会場の使用時間のことを気にしているのでせうか、すぐに閉会せんばかりに、フランス語で何かペラペラしゃべっております、
これは困ったなあ、質問はもういいかと思いかけたとき、私に命令を下した人物がまたGGIに命令しました、「GGI、質問、質問しなくちゃダメです、約束したでしょ!」
しかたがありません、GGI、司会の女性に日本語でいいました、「あの~、すんません、お時間がないようですけど、質問してもええですか」「ええ・・じゃあ、手短にお願いいたします」、それで
「ムッシューよ、フランスは御承知のように核兵器を持ってますなあ、フランにおける原発と核兵器の関係はいかがなりや?何らかのヤバイ関係がありはしませんか」
とGGIはLとRの発音を区別しないブロークンなイングリッシュで質問したのでありました、
実は、この質問、するかどうかGGIは若干迷ったのであります、この集まりは、まあ、日仏市民の友好の場のようであります、そのような場でフラン人にとっては微妙な問題であるかもしれない核武装、核兵器と関連づけた質問をすると、講演者は若干とまどう、あるいは答をためらうかもしれないと思ったのです、原発についての話をしに来たのに、核兵器の話を持ちだされてもなあ、と当惑するかもしれないと思ったのです
しかし、せっかく質問するなら、なにやらテキトーな質問をしてお茶を濁すのはよくない、せっかくの機会であるから、やはりピンポイントで的をしぼった「核」心をついた質問をすべきであろうと、GGIは殊勝にも思ったのであります
すこしはためらったりするかなあと思ったのですが、反応はまったく意外なものでありました、この物理学者のオッサン、そのことを言いたかったとばかり元気よく答えだしました、その内容は関西弁に大意訳しますと以下のようなものでありました
「オフコース、オフコース!もちろんや、もちろんやんけ!オッチャン、まことにグッド・クエスチョンや!原発と核兵器、関係大有りも大有り、密接なる爛れた関係や、あんたも分かっているやろ、あの使用済み燃料の再処理なんていうのは、もともと軍事技術やないか、再処理なんて曖昧な言い方してるけど、あれははっきり言えば核兵器用プルトニウムの回収技術やないか」、
「あのフランスはラアーグの再処理工場も元は軍の工場やったんや、あの誇り高き「余はフランスである」とのたまわった、尊大なるドゴール将軍が、世界に冠たるわがフランスの栄光のために、米国に頼らず核武装することにしたんや、そしてフランスの核武装がおおむね完成したところで、民間に、と言っても国策会社やけど、払い下げたんや、当然、フランスではプルトニウムの需給関係などは本質的に軍の動向次第ということや、な、わかるやろ?ところで日本も六ヶ所村に再処理工場建設しているけれど、あれどうするつもりや、もうどっさり、何十トンもプルトニウムため込んでいるのに、これ以上ためこんで・・・」
などなど、すこしも嫌がるようすもなくGGIのイジワル質問に答えてくれたのでありました、そのまことにあけっぴろげで正直な答えぶりに、GGIも、GGIに命令をッ下した人物も、おもわず感嘆の声をあげてしまいました
まことにメルシー、メルシーボーク―、僕、メルシーでありました
庵に帰還しまして、深夜、この正直なるフランス人学者の回答のことをぼんやり考えておりましたら、ちょっぴり謎が解けたような気がいたしました
そうかあ、だからドイツが脱原発の道を選択するのが可能になったのかもしれない、それが可能になったことの大きな理由の一つはこれなんだ、もしドイツが核武装していたら、核兵器を持っていたら、そう簡単には脱原発なんていうことは出来なかったかもしれないなあ、その意味では、日本にも望み無きにしもあらずやかもしれんなあ・・・
というもっともらしい結論にGGIは達したのでありました
フランスにおける原発依存率は現在70%~80%近い、オランド仏大統領は2025年ごろまでにこの依存率を50%にまで下げたいと言っているそうですが、果たしてフランスはどのような道をたどるのでありませうか・・・・
今夜の写真はノルマンディー半島にあるフランスの再処理工場、ラアーグ再処理工場の全景です、六ヶ所村の再処理工場と外観の感じが実によく似ております、よろしければクリックしてご覧くださいませ
グッドナイト・グッドラック!