今日の日記のタイトル、ちょっとオーバーではない?との声があがりそうでありますが決してウソなんかではありませぬ。デタラメなフェイク話ではありませぬ。
しかしながら、決して面白い話ではありません。また、例の如くダラダラと退屈な話になるかもしれませんので、そんな話はもういいよ思われる方は遠慮なくスルーしてくださいませ
昨年12月24日の朝日新聞に、福島第一原発での事故処理で生じる放射性物質で汚染された水の処理についての大きな記事が出ていました。記事の見出しは
『汚染水放出 海洋か大気へ:福島第一 専門家ら提言』
福島原発では事故処理のために汚染水が一日に100トンのペースで増え続けており、現時点ですでに約130万トンが敷地内のおよそ1000基のタンクに貯められています。最終的には200万トンにも達するのではないかと予想されます。しかし、この貯めこんだ汚染水を最終的にどのように処理するかが、いま大きな問題となっています。この問題に関して、経産省が経産省の小委員会(「多核種除去設備等処理水の扱いに関する小委員会」)に対して、12月23日、放射性物質を除去するために「多核種除去施設」と称される装置などで一定の処理を施して様々な放射性物質を除去した後の汚染水を、最終的に海洋あるいは大気中に放出することを内容とする取りまとめ案を示したところ、委員からは大きな異論は出ず、小委員会はこの案を受け入れる方向であるというのが朝日の記事の内容です。
最終的に海洋か大気に放出する案については福島県内では反対の声があり、とりわけ福島県の漁業関係者は、風評被害を懸念して強く反対しています。このため、この案が今後大きな争点になることは間違いありません。
一定の処理技術を施して様々な放射性物質を除去した後の汚染水を海洋か大気中に放出するという最終的な処理法の大きな問題点は、放射性のセシウムやストロンチウムなど大半の放射性物質は現存の技術により汚染水から取り除くことができるとされているものの、水素の親戚ともいうべき物質すなわち水素の放射性同位体であるトリチウム(三重水素:元素記号はTまたは3H)という物質は現在の技術ではほとんど取り除くことができないということです
現行の技術で完全に取り除こうとすると膨大な費用と手間がかかり、民間の研究機関「日本経済研究センター」の試算によれば200万トンの汚染水を処理するに40兆円!を要するとされています。
このため、専門家の集まりであるとされる経産省の小委員会は結局のところ、ありていに申し上げれば、「いろいろ検討したけど、やっぱり汚染水からトリチウムを取り除くなんていうのは無理だよなあ、でも、福島事故以前から国を問わず世界中のどこの原発でもトリチウムを除くことなんかせずに海や大気中に垂れ流してきたのだからいいじゃないか、これまでに環境中に垂れ流されたトリチウムが何か問題を起こしたという話は聞かないし、まあ大丈夫じゃない?仕方がないけど、海か大気へ放出するしかないよなあ、他の方法も考えられないことはないが手間もカネもかかるし実現性も不明だから」という結論になってしまったということでありませう・・
そして、どうやら小委員会のこの結論が正式の政府の案とされ、いずれ実行に移される雲行きなのです。
まことに安易かつ安直極まる結論であります。これが「専門家」のやることか!!
憤慨するだけならサルでもできる・・・というわけで、トリチウム問題について大急ぎでつけ刃の勉強をして、GGIも呼びかけ人である湖都の市内で毎月行っている、脱原発を目ざしているもののさっぱり人が集まらない寂しいデモの案内状に、勉強の成果を披露してみなさんの注意を喚起することにいたしました。
鋭意努力した結果、トリチウム問題の解説みたいな文書を仕上げて、案内状に掲載して、デモに参加してくれる潜在的可能性がある知人たちに送りつけました。はじめはA4で二枚程度の文書にまとめるつもりでしたが、科学的正確さを期すためにセッセと書いておりましたら、結局A4で、ビッシリ四枚にもなってしまいました。
案内状を送ってしまってから、しまったなあ、こんな退屈な長いだけの文章、ちゃんと最後ませ読んでくれるような奇特な人物なんか誰もいないんじゃないか、これは失敗だった・・・と反省しておりましたら、案の定、案内状を受け取った知人の一人からすぐに電話
「オイ、送ってくれたデモの案内文、オレは何とかガマンしてなんとか終わりまで読んだけど、あんなダラダラしたもの、ちゃんと読むヤツなんかいないぞ!」
「そやなあ・・・実は送ってしまってから、オレもそう思ったので反省している最中や、まあ、打率1割というところやなあ、アホ阪神と同じや・・・」
かようなしだいで、今日の日記ではトリチウムなる放射線を発する物質について、みなさんに読んでいただくために、細かいこと、科学的なことは思いっきり省略して、原発を運転すると必ず生じるトリチウムという放射性物質について、驚愕すべき事実をご報告申し上げたいと思います。
トリチウムというのは水素の親戚にあたる物質ですが、普通の水素とは異なり
ベータ線という放射線を発します。トリチウムは微量でありますが自然界にも存在しています。宇宙線と大気が反応して生じるのです。この自然界のトリチウムとは別に、トリチウムという物質は核分裂反応によっても生じます。すなわち、原爆も原発も、その原理は核分裂反応に基づくものでありますから、原爆などの核実験で生じます。そして、当然ながら原発を運転して核燃料を燃やすと必ずトリチウムが生じます。そのうえ、原発から出る使用済みの核燃料を処理するに際してもトリチウムが生じます。つまり使用済み核燃料の再処理工場でもトリチウムが生じるのです。
トリチウムは単独で存在するではなく、水の形、すなわち「トリチウム水」という形で存在します。普通の水の分子は水素原子2個と酸素原子1個で形成されていますのでH2Oという記号で示されますが、一方、「トリチウム水」なるものは1個の水素原子と1個のトリチウム原子と1個の酸素原子で形成されていますのでHTO(Tはトリチウムの元素記号)という記号で示されます。このトリチウム水がやっかいものであることの原因は、普通の水と化学的性質が非常に似ていることです。ほとんど同じと言ってもいいぐらいにとても似ているのです。このため、水の中からトリチウム水だけを分離することは極めて困難なのです
ですから、これまでに行われた多数の核実験のすべてにおいて、すでに大量のトリチウムが大気、海洋、地下へと放出されているのですが、これに加えて、1960年代ころから建設され運転されてきた日本を含む世界中のすべての原発と再処理工場から膨大な量のトリチウムがすでに大気と海へすでに排出されています。もちろん現在運転されている原発と再処理工場から今でも、この瞬間も、放出されているのです!
トリチウムを排出するに際しては、各国で排出の規制に関する基準値が設けられてはいるのですが、汚染水が基準値以上であっても海水や大気で基準値以下にまで薄めて排出したらいいのですから、基準値は何の意味もありません。つまり、法的には事実上、自由に排出することができると言ってもよいのです。
いったいどのくらいの量のトリチウムが原発や再処理工場から排出されているのでしょうか。日本にある原発と再処理工場から排出されたトリチウムの量の例などが少しだけ上記の朝日新聞の記事に記されていましたので(ただし、これは実測値であるのか推算値であるのかは不明)、以下に記します。
トリチウムなどの放射性物質の量は「ベクレル」という単位で示されています。ベクレルというのは土や食料品や水道水など、ある物質に含まれている放射性物質の量を示す単位です。当然、数値が大きいほど放射性物質の量が多いことを意味しています。
ちなみに、日本における食品1キログラム中に含まれていても許され放射性物質の量の基準は100ベクレル~10ベクレルであり、水道水は10ベクレルとされています(平成24年現在。24年以前はもっと高い値、すなわち500~200ベクレルでした)。
朝日の記事によれば
福島原発にこれまでに貯められている汚染水の放射能:約860兆ベクレル
事故前の福島第一原発(2010年度):約2.2兆ベクレル
六ヶ所村再処理工場(2007年度):約1300兆ベクレル
米スリーマイル島原発事故:約24兆ベクレル(2年以上かけて放出)
福島第一原発の汚染水におけるトリチウムの量は1000兆ベクレル以上という説もあり、また今後も汚染水の総量は増え続けますから、最終的にはもっと大きな数値になります。また、六ヶ所村の再処理工場は難工事で出遅れており未だ正式には稼動していないはずなのですが、それでも極めて膨大な量のトリチウムがすでに放出されていることは驚きです。2006年から実際の使用済み燃料を使用した「アクティブ試験」と称される試運転が行われており、この試運転に際してトリチウムが放出されているものと考えられます。本格稼働すればもっともっと大量のトリチウムが放出されることになるものと予想されます。
六ヶ所村で再処理工場の建設に強く反対している人々がいることの大きな理由の一つは、原発の場合とは比べものにならないぐらいの膨大な量のトリチウムが再処理工場から大気や海に放出されることになるからです。
ところで、上記の経産省の小委員会は、「トリチウムを大気や海へ排出しているのは、なにも日本の原発だけではありませんよ、みんな世界のどこでも排出しているんですよ》と言わんばかりの資料を公表しています。
今日の写真はこの小委員会が公表している「世界の原子力発電所等からのトリチウム年間排出量」と題された資料を撮ったものです。すこし見にくいのですが、大きく拡大してご覧ください。英国・フランスの原発と再処理工場、それにドイツ、スペイン、米国、カナダ、中国、韓国、スロベニア、ルーマニア、台湾などの原発からの排出量の例が示されています。
最も排出量が多いのは再処理工場です。英国セラフィールド再処理工場の場合は海中へ約1540兆ベクレル、大気へ約84兆ベクレル(2015年)。フランスのラ・アーグ再処理工場の場合は海中へ約1京3700兆ベクレル(京=10の16乗、すなわち1兆の1万倍)、大気へ約78兆ベクレル(2015年)。参考に申し上げますと日本の原発から出た使用済み燃料の多くはラアーグの工場で再処理されています。原発の場合は個々の原発によりかなり異なっており、多くは数十兆ベクレル~数百兆ベクレルのレベルですが、年間数兆ベクレルの原発がある一方で、2000兆ベクレルに近い原発もあります。
これらのデータ以外にも、核兵器を製造するためにプルトニウムを製造する軍事施設などからもトリチウムが排出されているのではないかと考えらえますが、核兵器保有国では兵器用プルトニウムに関するデータは最高度の国家機密とされていますから、その実態はまったく不明です。
個々の原発における排出量はともかくとして、この経産省小委員会による世界地図を見まいますと、世界中の原発関連施設から、原発が実用化された1960年代から今に至るまで、人体や生き物に有害である放射線を出す物質であるところの膨大な量のトリチウムが大気や海に排出され続けていることが一目瞭然で理解できます
要するに、世界の大気と海は人間が作り出した放射性物質であるトリチウムで満ち満ちているのです!そして原発がある限りは、これからもトリチウムに全地球にばら撒き続けるのです!これはまったく全人類的無責任を言わざるを得ません!
どうして、世界はこんな飛んでもないことになってしまっているでせうか?
(この日記、続くかもしれません)
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!
しかしながら、決して面白い話ではありません。また、例の如くダラダラと退屈な話になるかもしれませんので、そんな話はもういいよ思われる方は遠慮なくスルーしてくださいませ
昨年12月24日の朝日新聞に、福島第一原発での事故処理で生じる放射性物質で汚染された水の処理についての大きな記事が出ていました。記事の見出しは
『汚染水放出 海洋か大気へ:福島第一 専門家ら提言』
福島原発では事故処理のために汚染水が一日に100トンのペースで増え続けており、現時点ですでに約130万トンが敷地内のおよそ1000基のタンクに貯められています。最終的には200万トンにも達するのではないかと予想されます。しかし、この貯めこんだ汚染水を最終的にどのように処理するかが、いま大きな問題となっています。この問題に関して、経産省が経産省の小委員会(「多核種除去設備等処理水の扱いに関する小委員会」)に対して、12月23日、放射性物質を除去するために「多核種除去施設」と称される装置などで一定の処理を施して様々な放射性物質を除去した後の汚染水を、最終的に海洋あるいは大気中に放出することを内容とする取りまとめ案を示したところ、委員からは大きな異論は出ず、小委員会はこの案を受け入れる方向であるというのが朝日の記事の内容です。
最終的に海洋か大気に放出する案については福島県内では反対の声があり、とりわけ福島県の漁業関係者は、風評被害を懸念して強く反対しています。このため、この案が今後大きな争点になることは間違いありません。
一定の処理技術を施して様々な放射性物質を除去した後の汚染水を海洋か大気中に放出するという最終的な処理法の大きな問題点は、放射性のセシウムやストロンチウムなど大半の放射性物質は現存の技術により汚染水から取り除くことができるとされているものの、水素の親戚ともいうべき物質すなわち水素の放射性同位体であるトリチウム(三重水素:元素記号はTまたは3H)という物質は現在の技術ではほとんど取り除くことができないということです
現行の技術で完全に取り除こうとすると膨大な費用と手間がかかり、民間の研究機関「日本経済研究センター」の試算によれば200万トンの汚染水を処理するに40兆円!を要するとされています。
このため、専門家の集まりであるとされる経産省の小委員会は結局のところ、ありていに申し上げれば、「いろいろ検討したけど、やっぱり汚染水からトリチウムを取り除くなんていうのは無理だよなあ、でも、福島事故以前から国を問わず世界中のどこの原発でもトリチウムを除くことなんかせずに海や大気中に垂れ流してきたのだからいいじゃないか、これまでに環境中に垂れ流されたトリチウムが何か問題を起こしたという話は聞かないし、まあ大丈夫じゃない?仕方がないけど、海か大気へ放出するしかないよなあ、他の方法も考えられないことはないが手間もカネもかかるし実現性も不明だから」という結論になってしまったということでありませう・・
そして、どうやら小委員会のこの結論が正式の政府の案とされ、いずれ実行に移される雲行きなのです。
まことに安易かつ安直極まる結論であります。これが「専門家」のやることか!!
憤慨するだけならサルでもできる・・・というわけで、トリチウム問題について大急ぎでつけ刃の勉強をして、GGIも呼びかけ人である湖都の市内で毎月行っている、脱原発を目ざしているもののさっぱり人が集まらない寂しいデモの案内状に、勉強の成果を披露してみなさんの注意を喚起することにいたしました。
鋭意努力した結果、トリチウム問題の解説みたいな文書を仕上げて、案内状に掲載して、デモに参加してくれる潜在的可能性がある知人たちに送りつけました。はじめはA4で二枚程度の文書にまとめるつもりでしたが、科学的正確さを期すためにセッセと書いておりましたら、結局A4で、ビッシリ四枚にもなってしまいました。
案内状を送ってしまってから、しまったなあ、こんな退屈な長いだけの文章、ちゃんと最後ませ読んでくれるような奇特な人物なんか誰もいないんじゃないか、これは失敗だった・・・と反省しておりましたら、案の定、案内状を受け取った知人の一人からすぐに電話
「オイ、送ってくれたデモの案内文、オレは何とかガマンしてなんとか終わりまで読んだけど、あんなダラダラしたもの、ちゃんと読むヤツなんかいないぞ!」
「そやなあ・・・実は送ってしまってから、オレもそう思ったので反省している最中や、まあ、打率1割というところやなあ、アホ阪神と同じや・・・」
かようなしだいで、今日の日記ではトリチウムなる放射線を発する物質について、みなさんに読んでいただくために、細かいこと、科学的なことは思いっきり省略して、原発を運転すると必ず生じるトリチウムという放射性物質について、驚愕すべき事実をご報告申し上げたいと思います。
トリチウムというのは水素の親戚にあたる物質ですが、普通の水素とは異なり
ベータ線という放射線を発します。トリチウムは微量でありますが自然界にも存在しています。宇宙線と大気が反応して生じるのです。この自然界のトリチウムとは別に、トリチウムという物質は核分裂反応によっても生じます。すなわち、原爆も原発も、その原理は核分裂反応に基づくものでありますから、原爆などの核実験で生じます。そして、当然ながら原発を運転して核燃料を燃やすと必ずトリチウムが生じます。そのうえ、原発から出る使用済みの核燃料を処理するに際してもトリチウムが生じます。つまり使用済み核燃料の再処理工場でもトリチウムが生じるのです。
トリチウムは単独で存在するではなく、水の形、すなわち「トリチウム水」という形で存在します。普通の水の分子は水素原子2個と酸素原子1個で形成されていますのでH2Oという記号で示されますが、一方、「トリチウム水」なるものは1個の水素原子と1個のトリチウム原子と1個の酸素原子で形成されていますのでHTO(Tはトリチウムの元素記号)という記号で示されます。このトリチウム水がやっかいものであることの原因は、普通の水と化学的性質が非常に似ていることです。ほとんど同じと言ってもいいぐらいにとても似ているのです。このため、水の中からトリチウム水だけを分離することは極めて困難なのです
ですから、これまでに行われた多数の核実験のすべてにおいて、すでに大量のトリチウムが大気、海洋、地下へと放出されているのですが、これに加えて、1960年代ころから建設され運転されてきた日本を含む世界中のすべての原発と再処理工場から膨大な量のトリチウムがすでに大気と海へすでに排出されています。もちろん現在運転されている原発と再処理工場から今でも、この瞬間も、放出されているのです!
トリチウムを排出するに際しては、各国で排出の規制に関する基準値が設けられてはいるのですが、汚染水が基準値以上であっても海水や大気で基準値以下にまで薄めて排出したらいいのですから、基準値は何の意味もありません。つまり、法的には事実上、自由に排出することができると言ってもよいのです。
いったいどのくらいの量のトリチウムが原発や再処理工場から排出されているのでしょうか。日本にある原発と再処理工場から排出されたトリチウムの量の例などが少しだけ上記の朝日新聞の記事に記されていましたので(ただし、これは実測値であるのか推算値であるのかは不明)、以下に記します。
トリチウムなどの放射性物質の量は「ベクレル」という単位で示されています。ベクレルというのは土や食料品や水道水など、ある物質に含まれている放射性物質の量を示す単位です。当然、数値が大きいほど放射性物質の量が多いことを意味しています。
ちなみに、日本における食品1キログラム中に含まれていても許され放射性物質の量の基準は100ベクレル~10ベクレルであり、水道水は10ベクレルとされています(平成24年現在。24年以前はもっと高い値、すなわち500~200ベクレルでした)。
朝日の記事によれば
福島原発にこれまでに貯められている汚染水の放射能:約860兆ベクレル
事故前の福島第一原発(2010年度):約2.2兆ベクレル
六ヶ所村再処理工場(2007年度):約1300兆ベクレル
米スリーマイル島原発事故:約24兆ベクレル(2年以上かけて放出)
福島第一原発の汚染水におけるトリチウムの量は1000兆ベクレル以上という説もあり、また今後も汚染水の総量は増え続けますから、最終的にはもっと大きな数値になります。また、六ヶ所村の再処理工場は難工事で出遅れており未だ正式には稼動していないはずなのですが、それでも極めて膨大な量のトリチウムがすでに放出されていることは驚きです。2006年から実際の使用済み燃料を使用した「アクティブ試験」と称される試運転が行われており、この試運転に際してトリチウムが放出されているものと考えられます。本格稼働すればもっともっと大量のトリチウムが放出されることになるものと予想されます。
六ヶ所村で再処理工場の建設に強く反対している人々がいることの大きな理由の一つは、原発の場合とは比べものにならないぐらいの膨大な量のトリチウムが再処理工場から大気や海に放出されることになるからです。
ところで、上記の経産省の小委員会は、「トリチウムを大気や海へ排出しているのは、なにも日本の原発だけではありませんよ、みんな世界のどこでも排出しているんですよ》と言わんばかりの資料を公表しています。
今日の写真はこの小委員会が公表している「世界の原子力発電所等からのトリチウム年間排出量」と題された資料を撮ったものです。すこし見にくいのですが、大きく拡大してご覧ください。英国・フランスの原発と再処理工場、それにドイツ、スペイン、米国、カナダ、中国、韓国、スロベニア、ルーマニア、台湾などの原発からの排出量の例が示されています。
最も排出量が多いのは再処理工場です。英国セラフィールド再処理工場の場合は海中へ約1540兆ベクレル、大気へ約84兆ベクレル(2015年)。フランスのラ・アーグ再処理工場の場合は海中へ約1京3700兆ベクレル(京=10の16乗、すなわち1兆の1万倍)、大気へ約78兆ベクレル(2015年)。参考に申し上げますと日本の原発から出た使用済み燃料の多くはラアーグの工場で再処理されています。原発の場合は個々の原発によりかなり異なっており、多くは数十兆ベクレル~数百兆ベクレルのレベルですが、年間数兆ベクレルの原発がある一方で、2000兆ベクレルに近い原発もあります。
これらのデータ以外にも、核兵器を製造するためにプルトニウムを製造する軍事施設などからもトリチウムが排出されているのではないかと考えらえますが、核兵器保有国では兵器用プルトニウムに関するデータは最高度の国家機密とされていますから、その実態はまったく不明です。
個々の原発における排出量はともかくとして、この経産省小委員会による世界地図を見まいますと、世界中の原発関連施設から、原発が実用化された1960年代から今に至るまで、人体や生き物に有害である放射線を出す物質であるところの膨大な量のトリチウムが大気や海に排出され続けていることが一目瞭然で理解できます
要するに、世界の大気と海は人間が作り出した放射性物質であるトリチウムで満ち満ちているのです!そして原発がある限りは、これからもトリチウムに全地球にばら撒き続けるのです!これはまったく全人類的無責任を言わざるを得ません!
どうして、世界はこんな飛んでもないことになってしまっているでせうか?
(この日記、続くかもしれません)
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!