先週半ばの某日、
先日GGIを拉致しに来た人物たちがまたしても八重葎庵にやってきました
「おいGGI、今日もオマエを拉致しにきた」
「お主ら、なにをふざけたことを言っておる、先日拙者を拉致したばかりではないか、今日はいったいどこへ拉致しようというのだ」
「お主らだと?何を気取ってるんや、今日は裁判の判決日やろ、この栄えある住民訴訟、湖都市政のムダづかい、違法な公金支出に関する損害賠償請求と支払差止の裁判や、忘れていたのか、このボケなすGGI!」
「おお、そう言えばそうであったなあ、提訴から約3年、月日の経つのはまことに早いことであることよなあ」
「そういうわけでこれからオマエを湖都の地裁に連行・拉致してやる」
「おうそうかそうか、まことにありがたきこと」
「あのなあGGI、分かってるか?原告はノーテンキの極みのオマエ一人や、だからオレたち強力なるサポーターたちがいなかったら、今日の日を迎えることはできなんかったのや、そやから今日、裁判で負けたら承知せんぞ!分かったか」
「わかっておる、十分わかっておる、しかしながら勝負は時の運じゃ・・・」
「時の運だと?いいかげんなこと言うな、あのなあ、もし負けたりしたらスマン、スマンでは済まんぞ、そのときはもう一度オレタチを迎賓しろよ」
「お主、おかしなことを言うでないぞ、拙者はいつもお主らを迎賓しておるぞ」
「どこまでアホなんやGGIは、オレが言っているのは負けたら先日オマエを拉致してやったあの《ビュルツブルグ》とやらいうオマエの迎賓館にオレタチ全員を招待しろということや」
「おお、そういうことか、ならば勝った場合はどうするのだ、負けたら迎賓館、しかし勝ったならばどうする?勝った場合はあの談合喫茶で各人コーヒーを一杯だけというのはどうじゃ」
「よし、わかった、勝ったらめでたいから、コーヒー一杯で許したる」
「では、いざ出陣じゃ!」
かようなしだいでボックスカーに拉致されて地裁へと向かいました
勝ったら400円也のコーヒー、弁護士さんもいれて4人分、計1600円の負担ですみますが、負けたら、あのレストラン、高すぎることはないのですが決して安くはありませぬ、まあ万札は覚悟しなければなりませぬ、これでは絶対に負けるわけにはいきませぬ、負ける前に兜の緒を締めよであります・・・
GGIの拉致に成功した車は無事定刻に到着、開廷は13時10分、三人の裁判官が法廷奥、中央の扉からしずしずと現れます、このまま始まるのかと思っておりましたら、傍聴席の隅に立っていた事務官がのたまいました
「本日は判決言い渡しの前に某国営放送局のカメラが法廷の全景を撮影いたします、撮影時間は二分間です、自分の姿を撮影されたくない方は、撮影が行われている間、法廷の外に出てお待ちください・・・・では、今から撮影を開始いたします」
まあ、今日の判決はこの湖国の世間も若干注目しているようでありますので、このようなことになったのでありませう
GGI、以前にも経験しているのでありますが、この二分間がやけに長いというか、まことに苦痛というか、笑を抑えるのに一苦労する地獄の瞬間であります
と申しますのは、この間法廷内を彷徨するなどの行為は禁じられますが、ちょっと身動きしたり小声で隣の人と会話を交わすぐらいの自由はあるのです、しかしながら、実際には裁判官や書記官はもちろんのこと、傍聴者までもが身動き一つせず、法廷内は完璧なる静寂に、完全なる静止状態に陥るのであります
といっても、傍聴人は背中しか映されませんので気楽なもの、鼻をほじくろうが頭をかきむしってフケを周囲に散乱させようが自由であります、しかしながら、裁判官や書記官の諸氏はタイヘンであります、二分間、できる限り瞬きもせず、口元をしっかり引締め、ひたすら眼を撮影しているカメラのレンズと対峙させ、これがお上であると見せつけるために、全身の仮死状態を必死で維持しなければならないからです
このような状態に置かれた裁判官・書記官諸氏の様子を観察していまして、GGI、思わず吹き出しそうなったり、アホなジョークを叫びだしたくなったりいたしますので、その衝動を抑え込むのに一苦労いたします、笑を堪えることほどこの世に苦しいことはございません
事務官の声が静寂を破ります
「ただ今、一分経過・・・・・残りは30秒です・・・・あと10秒です・・・はい、撮影終了です」
この書記官の終了をしらせる声をきいて、みなさん一堂になにやらほっとして若干のざわめきが生じるのでありますが、ほっとするわけにはいきませぬ、本番はこれからであります
いよいよ判決文が読み上げられます
静まりかえった法廷に裁判長の声が響きます
「平成22年(行ウ)第○号、損害賠償請求行為事件、判決主文・・・
1. 原告の・・・訴えは・・・・」
ここまで裁判長が読み上げたとき、後ろの席に座っていたわが眉目秀麗、優秀なる弁護士の両手がGGIに肩に軽くおかれました、これは、いけるかもしれないというシグナルであります
と申しますのは、判決内容が全面敗訴である場合は、判決主文の読み上げはいたって簡単、「原告のなんとかかんとかとの訴えはすべて棄却する(あるいは却下する)、以上」で終わってしまい、判決言い渡しはほんの数秒~十数秒で終わってしまうのが常でありますが、このように箇条書きで判決が言い渡される場合は、少なくとも全面敗訴ではない可能性が残されているからであります
判決文の朗読が続きます
「・・・・の行為は・・・・であり、裁量権の逸脱であり・・・・関し・・・てその支払いの差し止めを命じる・・・・」
ここまで読み上げられたときGGIに両肩に置かれていた弁護士さんの両手に力がこもりました、GGIの両肩をわしづかみにいたしました!
勝訴のシグナル、やったぞ!というシグナルであります、
やったあ!裁判に勝ってしまった!あんまり勝つつもりはなかったけれど、ついつい勝ってしまった!ワッハッハであります、快挙であります
正直に申し上げて意外な結果でありました、敗色濃厚というのが大方の予想であったからです、やはり人間、普段の行いが大切であります、普段の行いが正しければ勝つのでです、正義は味方するのであります
判決主文の言い渡しが終わりますと、すぐに閉廷、廊下に出ますとマスコミ諸氏が群がっておりましたが、若い顔見知りの記者が気をきかして、記者会見室に行きましょうと案内してくれました
裁判所内のせまい記者会見室でさっそく質問が飛んできましたが、なにしろGGIは負けることを予想して負けた場合のコメントはいっぱい用意しておりましが、勝訴の場合のコメントは用意皆無、このため若干往生いたしました、
「判決の感想は?」
「う~ん、負けた場合のコメントしか考えていませんでしたので・・・まあ、良かったですね・・・良かったですよね、とにかく」
「妥当な判決ということですか?」
「そう、それそれ、妥当な判決・・・・まあ、とにかくいま弁護士さんが書記官室に判決書をもらいに行っていますから・・・詳しいことは弁護士さんが戻ってこられてから・・・」
「そのあいだにちょっと、あの~GGIさん、お年、生年月日をうかがえますか」
これは天下の大朝日のサボりのベッピンふう女性記者の質問であります、なぜならばサボりではない記者は事前に取材を行っておりGGIの御年ぐらいはすでに知っているからです
それでも、弁護士さんが戻ってきて説明するまで間を持たせなければなりません、それで、わが湖都の市政の腐敗ぶりなどについて、また判決が出る以前に「負けても控訴する」と裁判軽視の恥知らずな発言を行っていた弁護士出身でニューヨーク州の弁護士資格も持っているという、GGIの半分少々の年の女性市長の振る舞いなどについて、ちょっぴり格調高き演説をぶちました、しかしながら、翌日の各新聞は、この貴重なるGGIの演説内容をほとんど報じておりませんでした、それでも中日新聞などを「自治会組織に依存するとい市の古めかしい行政体質を改めよ」とのGGIのコメントを報じておりましたが、とりわけひどかったのは天下の大朝日であります,女性市長の言い分は掲載したものの、良識ある市民かつジェントルマンかつシティボーイであるところのGGIのコメントを一文字も掲載しないという偏向ブリぶりでありました、それでも大朝日とGGIは長きにわたる腐れ縁でありますので、GGIは今でも朝日さんを購読したりしているのであります、まことに恥ずかしい話であります
弁護士さんが戻ってきてからは、説明は弁護士さんとわが強力サポーターであり実質的な原告であるわが友人に任せました(実は、この強力サポーターの代表が湖都の市民ではないために原告になることができず、そのため湖都の市民であるGGIが強力サポーターの身代わりとして原告になったのであります)
判決内容は法的には部分勝訴ということでありましたが、実質的には全面勝訴に近いものでありました
かようなしだいでGGI、わが迎賓館において迎賓することを回避するのに無事成功いたしました、やれやれでありましたが、約束を守る正しき人GGIは、裁判所を出てから「今日はやけに空が青いなあ!」などと叫びながら裁判所近くの「談合カフェ」(以前、このカフェでやはり近くにある県庁が発注する工事の談合がよく行われていたとのことであり、このためGGIらは談合カフェと称しております)にみなさんを案内、サポータ諸氏3人と弁護士さんに各一杯のコーヒーを無料でふるまったのでありました
これで一段落と思ってノンキにスモーキングなんかしておりましたら、弁護士さんは一枚の書類と取り出しGGIに示して、厳かにのたまいました
「GGIさん、これで終わりではありません、市長は控訴します、したがって控訴審における代理人への委任状が必要となります、ここに署名して捺印してください」
ああGGIが生きている限り裁判はまだ続くのであります(死んでしまえば、原告はGGI一人きりでありますから訴訟自体が消滅してしまいます)・・・
かようなしだいではありましたが、とにかく勝訴は喜ぶべきことであり、GGIはサポーターの護送車でわが八重葎庵の迎賓館の前まで送ってもらいました、そして、「みなさん、迎賓館にみなさんを迎賓することができず、まことに慙愧に堪えません、残念であります」とアカンベーしてから庵に帰りつきました
と、ここまでは近来にない、たいへん充実した楽しく快調な一日であったのですが、夕方、某国立放送湖国放送局のニュースを見て事態は一転してしまいました、ニュースの時間に、シティボーイであるオレの素晴らしき姿が映し出されるはずだと、いそいそとテレビの前に正座したのでありましたが・・・
テレビには、伸びすぎた髪、伸びすぎた鼻毛、垂れすぎた鼻水、たるみきった目元、分厚い唇、汚れた毛穴、歯並びの乱れた口元、あごの下のたるんだお肉などなと、老醜を惜しげもなくさらけ出しているGGIの顔面が、場面いっぱいに大きく映し出されたのであります(しかもGGIのコメントはナレーションでごまかされておりました)・・・・勝利の喜びは一瞬のうちに自己嫌悪・自信喪失の地獄へと一変いたしまた・・・・勝利の喜びは束の間でありました・・・
午後8時45分からの関西ローカルニュースでも放映されるとのことでありましたが、GGIIに再び己の姿を直視する勇気はありません、いやあ参ったなあと思っておりますちょうどそのとき、「今夜、最後の晩餐をしたい」というヘンな電話が友人からかかってきましたので、これ幸いとばかり誘いにのって駅前まで飲みにでかけ自己嫌悪と自信喪失の修復に努めました
これが昨日、寒風吹きすさぶなか、わざわざJRに乗って1000円カット屋さんにまで出かけた真の理由であります
よろしければ写真をクリックしてご覧くださいませ、わが地裁は見苦しい建物でありますので、かわりに、春を待つわが湖畔の冬景色を掲載いたしました、夏、この湖畔で缶ビールなどを飲みますとまことに美味なのであります
グッドナイト・グッドラック!