みなさん、こんばんは、GGIでございます、今夜は9月14日に無事打ち上げに成功した国産新型とロケット、イプシロンについて、専門家のヨッサリアンさんにいろいろお聞きしたいと思います、このたびの打ち上げ成功、久々の快挙といってもいいのではないかと思うのですが、ヨッサリアンさんのご感想は?
う~ん、まあ正直なところ、快挙というよりは日本のロケット技術の確実な進歩を意味しているというべきではないでしょうか、ロケットは確実に打ち上げることができるかどうか、それが何といっても命ですから、1回目の打ち上げが点検システムのトラブルのために延期されたものの、短期間のうちに二回目で確実に打ち上げることができたのですから、このロケットの信頼度は高いと言うことができます
ところで、イプシロン、全長が約24メートル、いままでの国産ロケットの半分ぐらいの大きさしかないのですが、このような小さなロケットを確実に打ち上げることの科学的意義というのはどのようなものでしょうか
GGIさん、なかなかあなたは鋭い点を突いておられます、実はこのたびの打ち上げ、ロケットが小さいことに一番の意義があるといってもよいのです
どういうことですか?大きなロケットのほうが人工衛星など、より大きなものを宇宙空間に打ち上げられるのでいいのではないかと思うのですが
確かに一般論としてはそのとおりですが、ロケットの大きさはその目的によるのです、国産のH2Aロケットの打ち上げ能力は10トン、それにくらべてイプシロンの能力はわずか1.2トン、だからあまり重いものは打ち上げられないのですが、でもイプシロンの真の目的が考えればこれでいいのです、十分なのです
真の目的?よくわかりませんね、打ち上げ費用の安いイプシロンによって需要増が予想される小型衛星の打ち上げ市場に参入することが目的ではないのですか?
それも一つの目的です、でもよく考えてみてください、イプシロンの一回の打ち上げ費用が数十億円としますと、年間に10回も打ち上げたとしてもたかだか数百億円、ですからビジネスとしてはそれほど大きな市場であるとは言えません、それでも国は200億円以上をかけてイプシロンを開発したのです、どうしてでしょうか、その理由は、イプシロンがちょうどいい大きさの固体燃料ロケットであるからです
ちょうどいい大きさというのは、何にちょうといいのですか?
それが問題の核心です、ちょうどいいのです、イプシロンはミサイルとして用いるのにちょうどいい大きさなのです、核弾頭を運ぶにはこの大きさで十分なのです、それに、イプシロンは固体燃料を用いていますが、固体燃料は(液体燃料にくらべ)扱いが容易で素早く発射できるのが特徴です、短時間のうちに確実に発射できること、、これはミサイルとして用いるための必須の条件です、ですからイプシロンはミサイルに適しているのです、固体燃料ロケットは、ICBM(大陸間弾道弾)と共通の技術が使われており、このため「積み荷を替えれば」ミサイルに早変わりすることから「潜在的抑止力」とも称されるのです
そうしますと、このたびのイプシロンによる衛生打ち上げはミサイル打ち上げの実験でもあったということになるのでしょうか?
そのとおりです、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や防衛省などの関係者が何と言うかはともかく、科学的に観ればミサイル発射実験そのものでもあると言ってよいのです、韓国の新聞「東亜日報」はすでに八月に「イプシロンは短時間に発射できてICBMに使われる」と報じていますが、あながち間違いであるとは言えないのです、ICBMとして使われるかどうかはともかく、科学技術的にはICBMとして使おうと思えば使えるのは事実だからです、軍事問題の専門家は、口を閉ざしていますが、もちろんこのことを早くから承知しています、つまり、みなさんが大騒ぎした北の某共和国によるミサイル発射実験は失敗に終わったのですが、日本は着実に成功させたということができるのです
しかし、第二次大戦後、憲法第9条と整合性を有する基本戦略として専守防衛を方針として掲げているのですから、ミサイルという攻撃的兵器の開発は専守防衛という基本戦略に抵触し、法的に問題となるのではありませんか?
それが最近、法的には微妙になってきているのです、日本は1969年の国会決議に基づき宇宙開発を平和目的に限るとしてきたのですが、実は2008年に防衛利用を解禁した宇宙基本法が成立しているのです、防衛利用といえばもっともらしいのですが、これは軍事目的ということです
いまお話しくださった事情を考えますと、イプシロンの打ち上げは軍事目的ではないかと、今後国際的に問題視されることになりませんか?
おっしゃるとおりです、日本人の大半は無邪気にこのたびの打ち上げ成功を喜んでいますが、国際的には疑惑を招く懸念があります、たとえば北海道大学の鈴木一人教授はこう指摘しています、「固体ロケットの抑止力は、軍事利用する政治の意図が伴わなければ潜在的なままだが、その意図が変わりつつあると諸外国に認識されている」
そうですか、そうしますと、日本はすでに核兵器にも使うことができるプルトニウムを45トンも保有しているうえに、ミサイル技術も備えることになるのですから、核武装のための準備は万端、あとは核兵器の製造技術だけ、と外国から見られてもおかしくないということでしょうか?
そうです、実際に日本が近い将来核武装する政治的意図を有しているか否かはともかく、その能力のかなりの部分をすでに獲得していることが客観的事実であることに変わりはありません
核兵器の製造には高度な科学技術が必要ではないかと思うのですが、この点に関する日本の能力はどのようなものなのでしょう?
確かに高度な技術を必要としますが、今や原爆などの核兵器の製造法は公にされているも同然ですから、やる気になれば、それほど難しいものではありません、
核兵器の製造方法は公にされているも同然というのはどういう意味ですが、核兵器の製造法は軍事機密そのものではないのですか?
まあ、一応はそういうことになっていますが、核兵器製造のために必要とされる科学的・技術的な知見やデータなど、関連資料はすでに広く開示されているのです、いまから二十年ほど前のことだったでしょうか、米国のカリフォルニア大学かどこか他の大学だったかは忘れたのですが、物理学を専攻する大学院の学生が、これらのすでに開示されている資料に基づいて「原爆の製造方法」なるレポートを作り世間に公表したことがありました、このとき大騒ぎになったのですが、専門家がこの大学院生のレポートをチェックしたところ、その内容は正確であり、内容に間違いはないことが確認されました、このようなしだいですから核兵器の製造法は公にされていると言ってもよいのです、日本がその気になれば、短期間のうちに作ることができるでしょう、でも日本がその気になると申しましても、米国が許すことが前提です、ですから、まことに皮肉なことですが、世界一の核大国・米国が日本の核武装を抑え込んでいるという見方もできるのです
写真はイプシロンの雄姿です、よろしければクリックしてご覧くださいませ
(今夜の記事にイプシロンに関する部分は主に9月15日付け朝日新聞の記事を参考にしたものです)
グッドナイト・グッドラック!