UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

プーチンさん、まちがっています!戦争は人殺し、やめてください!あるいは戦争の現代史・・・

2022-02-26 01:14:03 | 日記
プーチンさん、いきなりお手紙を差し上げ失礼します、
プーチンさん、とにかく戦争なんかやめてください!
戦争は人殺し、まちがった戦争には勝てません

おまえは誰だとおっしゃるのですか?私どもは世界的な仲良しクラブ「ヨッサリアン脱戦クラブ」のウクライナ問題臨時特別代表を務めておりますGGI(じじい)という者です。

ヨッサリアンというのは第二次大戦の隠れた英雄(あるいは「キャッチ22」という戦争小説の主人公です。「キャッチ22」という言葉は英語の辞書にも掲載されている単語です)、くわしいことは「ヨッサリアンのあほ日記」というブログをご覧になってください

とにかくですね、戦争はやめてください!すぐにやめてください!

と申しますのはウクライナ情勢がややこしくなりはじめたとき、悪魔のごとき某知人に「プーチンは戦争をするか否か、賭けをしよう、敗けたほうがランチをおごること」と誘惑されて、おもわず「ではオレは戦争しない方に賭ける」と言ってしまったのです。プーチンさん、明日にでも戦争をやめるとおっしゃるならば別ですけれど、このままいけば、私は賭けに敗けてしまってランチをおごらなければならないハメに陥るのです。それは困るのです、プーチンさん、あなたのおかげで私はとんでもないことになるのです

だから、どうかお願いです、戦争、やめてください!!
いかなる事情があれ、戦争は最悪の選択です。

プーチンさん、あなたがこのまま戦争を止めないならば、勝っても負けても確実にあなたの命を縮めることになります。勝ったとしても勝利は長続きしないでありませう、国内外は不安定になり、人々は不安に包まれ、ロシア市民による反戦の声はおさまることなく、あなたは孤立無援、重度の不眠症かアル中になります。敗退したならば悔しさのあまり、オツムの血流が乱れてあの世行きになりかねません

プーチンさん、私はあなたのお気持ち、よく分るのです。ウソではありません。だってロシアとウクライナは歴史的にも民族的にも文化的にも長い間とても近い関係にあったからです。二次大戦ではロシアとウクライナは共にソ連邦のもとでナチスと戦い勝利したではありませんか、いわば兄弟関係あるいは親戚関係といってもよい関係だったのです。ですから、ウクライナがロシアの存在を念頭においてNATOのさらなる拡大を意図した西側の誘いに乗って、NATOに加わりたいなんて、とっても許すことができない、耐え難いのでありませう。耐え難きを耐えるわけにはいかないというお気持ちはよく分りるのです

バイデン氏をはじめ欧米の大国のトップは何もわかっていないです。このたびの紛争は、たとえばバイデン率いる米国の兄弟国ともいうべき隣国カナダがある日だしぬけに「バイデンちゃん、ながらくお世話になりましたが、ボクちゃん、NATOをやめてプーチンさんのほうの同盟関係に加わることにします」などと言い出したとの同じことであるということ、このことがまったくわかってないのです・・つまり、逆の立場になったらどういうことになるかということを考えたことがないのです、考える気がないのです。メディアのみなさんも大半は同じです・・・

もしカナダがそんなことを言いだしりしたら、バイデンさん、ショックで腰を抜かし、脳に発作を起こして再起不能かなんかになりかねませぬ。このような考えれば、ロシアにとってウクライナ問題がいかに深刻極まる困難な問題であるのかは誰でもすぐに分るはずなのです。それにも関わらず、欧米の大国のトップのみなさんは自分たちが行っていることの意味を全然理解していないのです。だからこんなことになってしまったのです。ですからプーチンさんのお気持ちは分る過ぎるぐらい私にはわかると申し上げているのです。

でも戦争はイケマセン、どう言い訳しようが戦争は要するに人殺しです、絶対にイケマセン、最悪です、やめてください!

とにかく戦争はやめてください!

米国をはじめとした欧米の大国があつかましいのは今に始まったことではありません。このたびのこともそうですが、第二次大戦後、米国はわざわざ遠く離れたところまでアッチコッチへ出張って行っては、ゴタゴタを起こすのです。アフガン・イラク戦争もそうでしたが、たとえば近頃は、中国の態度がでかいからといって、遠く太平洋を隔てた南シナ海まで出張っていって、勝手に「自由の航行作戦」だと気勢をあげて軍艦なんかを派遣していますが、この場合も、逆の立場だったらどういうことになるかということをまったく考えたことがないのです。そんなことは思いもつかないのです。想像力が決定的に欠如しているのです

米国や欧州の大国の政治家だけではありません、わがニッポンの政治家たちも、メディアも、専門家と称する関係者や情報通気取りの評論家たちも何も分かっていないのです、想像力のカケラも持ち合わせていないのです。かれらは単なる無責任な野次馬にすぎません

もっと分りやすく、例をあげて説明いたしませう。例えば習近平クンが「米国は中南米で、カリブ海あたりであいかわらず自分の裏庭のようにデカイ態度をしているなあ、あつかましい、少し脅かさなければ」などとと思って、メキシコ湾やカリブ海あたりに軍艦を派遣したりしたらどうなるでありませうか。バイデンさん、またしても腰を抜かし、激怒し一触即発、ケシカラン、我が本土近くに、わが裏庭に侵入するとは・・・すぐに我が国の裏庭から中国の軍艦を追い出せ!、イージス艦で取り囲め、原潜で追い回せ、ミサイルを準備をしろ、戦闘機を飛ばせといったことになることは間違いなしなのです。バイデンさん、こんな簡単なことがまったくわかっていないのです。

このたびの紛争に際して、それくらい相手を刺激することをロシアに対して行っているのだということがバイデンさんをはじめ、子分の日本も、欧州の大国も、まったく分っていないのです。分かる気がないのです。もちろん、公平に申しあげれば習近平さんもイケマセン、南シナ海を近隣諸国のことをまったく考えずに勝手に自分の池にしたり、戦闘機を飛ばして台湾を脅かしたりしていますから。習クンも想像力ゼロ人間、他人の立場にたってモノを考えるということは思いもつかないのです

でも再三再四申し上げますが、戦争はいけません、最悪の選択です、悪魔の選択です
だって戦争がこのまま続けば、私は賭けに負けてしまいます。

だから戦争はやめてください、絶対にイケマセン

それに明晰なるプーチンさんならお分かりでしょう、戦争というものは、始めるのは簡単であるけれども終わりにするのは至難の業、始めるよりも何倍も何十倍も難しいことを。このことはすでに何度も繰り返し歴史が証明しています。

以下にくどいようですが、少し長くなりますが、の実例を挙げておきます。プーチンがご存知のことばかりです。いわば戦争の現代史です。二次大戦後から現在に至るまでの戦争の歴史です。

あの米国は、第二次大戦ではプーチンさんの故郷である当時のソ連とともに勝利しましたが、その後、大戦後、米国がはるか遠くまでわざわざ出張っていって仕掛けたいくつもの戦争により非常な数の人々の命を奪ったものの、米国はことごとく戦争を終わらせることに失敗し敗退ているのです。

大国どうしの代理戦争であった朝鮮戦争では何とか引き分けましたが、ベトナム戦争では終わりにするどころかベトナム本土から追い出されて敗走(しかし、そこに至るまでには、300万人ものベトナム人が命をおとしているのです。300万という数字はかつての太平洋戦争における日本軍兵士と民間人の死者の総数にほぼ等しいのです)。

また、時のローマ教皇が「これは新たな十字軍だ」だ命がけで反対していた米英仏伊など多国籍軍による湾岸戦争は、一見勝ったように思えますが、ただ殴り込みをかけて引き揚げただけ、結局は後のイラク・アフガン戦争の原因を作ってしまったのです。ローマ教皇をして、パリでイスラム教を揶揄した風刺週刊誌がテロに襲われた際、「これは2001年から始まった第三次世界大戦です、このテロは第三次大戦の一部です」といわしめたアフガン・イラク戦争の結果は、プーチンさんもご承知のように、米国は戦争をやめるにやめられず二十年間もダラダラしたあげく無責任に放りだしてしまいました。

イラク戦争ではこれまでにイラク国内で数十万人の民間人が戦乱に巻き込まれ命を落としています。イラク戦争は、9.11テロともビン・ラディンとも、アルカイダとも何の関係も有していなかったイラクに対して、「おまえはあいつらの仲間だ。おまけにおまえは大量兵器を持っているだろう」とガセネタに基づいて難グセをつけて米国が始めた戦争です。

イラク戦争はまだ終わっていません、ウソだと思うならば英米の市民団体「イラク・ボディ・カウント」のサイトをご覧になってください。これに加えてイラク戦争を機に、シリアなどの中近東諸国では状況が一挙に不安定化し、イラク戦争後におびただしい数の人々が難民と化して行き場を失い、住む場所にも食料にも事欠いたまま、この今でもあてどなく彷徨っています。欧州の大国のほとんどは難民の受け入れに難色を示しており、日本はといえば、これらの難民のことはは見て見ぬふりを決め込んでいます。

9・11テロに対する仕返しのために行われたアフガンに対する攻撃には英米だけでなく、後に撤兵したものの北欧の国やドイツまでもが、それにウクライナをはじめ東欧の国々までもが加わっていました・・・挙句の果てはタリバンの復活、シリアをはじめイスラム圏諸国は未だに戦乱と混乱になかにあり犠牲者が今でも跡を絶ちません・・・

ところが、まことに恥ずかしいことですが、結局は一度として勝つことができなかった米国による小国を相手にしたこれらの勝手きわまるいずれもの戦争を、日本は終始一貫して全面的に支持してきました・・・

南ベトナムの傀儡政権の支援を口実に始めれたベトナム戦争では沖縄の米軍基地から爆撃機が直接ベトナムの空へ向けて飛び立ち爆撃を行っていたため、当時ベトナムの人々にとって「オキナワ」は恐怖の代名詞でした。湾岸戦争では日本は米国の戦費として気前よく1兆円を支払いました。イラク戦争では時の首相小泉純一郎は英国に次いでいちはやく英語で得意げにI stand by youと米国大統領の前で味方であることを宣言、次いで日本の軍隊である自衛隊を派遣、航空自衛隊はイラクで米軍の兵士を輸送していました(この米兵の輸送は、後に日本の裁判で「違憲」とj判断がくだされ、判決が確定しています)・・・

しかし、野党の政治家を含めて大半の日本の政治家もメディアも、何~も反省していません(英国のブレア元首相氏は後にイラク戦争参戦の責任を公的な場で問われています)。まして責任なんかまったく感じておりません。国会で責任を鋭く追及する政治家もおりません。私も含めて日本の大半の市民も同様です。責任なんか放りっぱなしにして「戦後日本は平和のうちの繁栄し」などと超ノーテンキなことを8月15日の終戦の日本国統合の象徴とされる人物までもがのたまわっているしまつなのです

それに、あの尊大なおフランスも、二次大戦後、かつての植民地をとり戻そうとホーチミンおじさんが率いるベトナムに攻め込んだものの裸足の兵士たちに追い出され敗北、そのあとも凝りもぜずに植民地アルジェリアを失うまいとして血を血で洗う凄惨な戦いのすえ、ドゴールの決断でやっとこさ敗北を認め、アルジェリアを手放したのです。

また、日本のメディアがさぼり倒していましたので日本ではあまり注目されなかったのですが、プーチンさんご自身のソ連も、米国とおなじことをやっています。「ソ連のベトナム戦争」とも称されるアフガニスタンを敵に回した戦争では、あの9・11同時多発テロの首謀者ビン・ラディンも戦場にいた、1978年~1989年の10年間以上におよんだ戦いの末あえなく敗退・・・・・

プーチンさん、上に列挙したとおり、二次大戦後、大国が小国に攻め入った戦争では、例外なく、結局はすべて大国側が敗退しているのです・・・プーチンさん、おわかりなりましたか、これが歴史の現実なのです。

プーチンさん、この歴史的事実から目を逸らさないでください
プーチンさん、どうか歴史から正しい教訓を読み取ってください
二次大戦後、延々と愚行を重ねに重ねてきた米国や欧州の大国のマネをしないでください!

プーチンさん、私は予言しておきます
あなたは、一時的に勝つことはできても、最終的に勝利を手にすることは決してできないでありませう、なぜならロシアは大国だからです、大国は手前勝手であるだけであり、大国に正義はないからです

たとえこのたびの侵攻でウクライナを倒すことができても、それは一時的なことに過ぎないでありせう、そのあとに待っているのは数多くの無駄死した兵士・市民、膨大な戦費の負担などによるロシア経済の麻痺と社会の混乱、以前として続くロシア国内における反戦の強い声、人々の苦しい生活、国際的信用の全面的な失墜等々・・・ウクライナの市民だけではなくロシアの市民にもとり返しのつかない深い傷をもたらすことになることは目に見えています。そして結局は、プーチンさん、あなたは手を引かざるを得ない事態に追い込まれるのです

おわかりですか、このまま戦争を続ければ、プーチンさん、あなたは戦争の幕を引くことにいずれ間違いなく失敗しますよ

ですから戦争、明日にでも止めてください、いますぐ戦争を終わらせることを決意してください、決断が遅れれば遅れるほど、泥沼に足を取られ事態は悪化していきます
だから、戦争、もうやめてください!
どうか愚かな米国などのマネをするのはやめてください!

くどいようですが、やめないと私が迷惑するのです。知人にランチをおごらなければならないことになってしまいますから・・・ランチ代が惜しいのではありません、プーチンさんは歴史に学んで戦争などという愚かなことはしないと信じていたことの結果として私が知人との賭けに負けるのが悔しいのです。いまは忸怩たる思いでいるとしか申し上げようがありません。どうかご理解ください・・・

ですから戦争、やめてください!
やめてください!やめてください!どうかやめてください!やめてください!・・・

また、国際紛争に際して武力に訴えることを放棄するというリッパではあるけれども今や残念ながら空文化しつつある憲法を掲げる日本の一市民としましても、速やかにウクライナに対する戦争をやめるよう求めるしだいです

ええかげん日本からへ、ロシアのプーチンさまゑ、愛をこめて・・・
2022年2月26日
敬具

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真はロシアのサンクトペテルブルグで2月24日に行われた市民による反戦デモの写真です。平和を願ってロイターさんの写真を勝手に借用しました。ぜひクリックしてご覧になってくださいませ

みなさま、ウクライナの市民のみなさんも、ロシアの市民のみなさんも、どうかグッドナイト・グッドラック!でありますように
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コロナ見舞いに水仙花を・・・あるいはコロナさん回避方法について

2022-02-21 01:31:37 | 日記
みなさん、こんばんわ
あいかわらずコロナさんがまだうろうろしていますね
GGIもノーワクチンのままうろうろしております
GGIはもともと血液検査などで典型的なアレルギー体質とされているからです

ですから、ウロウロさんどうしが遭遇したりしないよう注意をはらう毎日でありますが
お店などに入るとき、マスクではちっちゃなちっちゃなコロナさんは防げないのですが、まわりの方々に不安感を催させないようにするためにマスクはします。でも、それ以外、大通りなどを歩行中はおおむねノーマスクでございます

そのほうが安全だからです。ウロウロしているコロナさんが風に乗ってやってきても、マスクをしていなければコロナさんは頬をかすめていくだけですが、マスクをしていますとコロナさんはマスクに引っかかってしまって立ち往生、次いで体内へとお越しになってしまう可能性があるからです。


コロナさんの第六波が勢いを増し始めたころから
わがガーデンの水仙さんも次々に咲きはじめましたので
GGIは勝手にコロナ除けには水仙さんと信じております
コロナさんは水仙さんの気高き姿を目にすればその名のとおりコロッといくはずだからです

よく切れる鋏おそろし水仙花 淡路女

水仙さんの気持ち、よ~くわかります
暖かい部屋で花瓶に飾られてヌクヌク咲いているよりも、
寒風にめげず、凛と咲いているからこそ、水仙さんは気高くステキなのです
やはり野におけ水仙花でございます

今日の写真はわがガーデンの水仙さんを撮ったものです。写真をクリックしてご覧になり、しばしコロナさんのことを忘れていただければ幸いでございます

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!
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原発のテロ対策は有効か:「不運なことに、まずは意図的なチェルノブイリ事故が起きるまでは、またねばならないだろう」という不吉な予言(その二)

2022-02-17 01:41:51 | 日記
今日の日記は前回2月7日の日記に記した原発のテロ対策についての話の続きです。原発が存在している限り避けて通れない問題だけれども、そんな厄介なややこしい話はもう結構、あるいはそんな厄介な話、目を背けていたいと思われる方は、どうか遠慮なくスルーしてくださいませ。

前回の日記では、大津地裁がかつて「原発のテロ対策はいちおう大丈夫」という決定を下したことがあるけれど、後になってこの決定が事実に反する真っ赤っかのウソであることが明らかになったことについて書きました

すなわち、湖国の住民が行った関電高浜原発3・4号機の運転差し止めの仮処分申請に対して、2016年3月に、大津地裁は、大半の争点に関して住民側(GGIも住民の一人でありました)の主張を認め、運転差し止めの決定を下したものの、原発のテロ対策に関してだけは住民側の主張を認めず「原発のテロ対策は大丈夫」との決定を下した、でも5年後の昨年になって、東電柏崎刈羽原発において、外部からの侵入を防ぐための監視装置が半年にわたり故障して作動していなかったなど、テロ対策が極めてお粗末であることが明らかになり、原子力規制委員かから処分を受けたと書きました。

また、外部からの侵入者を防ぐという初歩的なテロ対策がお粗末であるのは何も日本に限ったことではなく、原発を保有する欧米でも同様であり、その証拠に環境団体グリーンピースの元気な活動家たちがおフランスやスウェーデンの原発に何度も侵入することに成功していたり、米国では最重要施設とされる軍事用のプルトニウムを扱っている核施設に80歳を超える修道女が侵入することに成功していると書きました。

このようなことを前回の日記に記したのですが、今日は外部からの侵入者を防ぐという初歩的なテロ対策にくらべて格段に困難である、難問中の難問ともいうべき、空からのテロ攻撃に対する対策についての話です。

あの前代未聞のテロ攻撃、9・11同時多発テロによる未曽有の惨劇のことは、みなさん未だによくご記憶のことでありませう。あの大型旅客機が米国繁栄の象徴、世界貿易センターの超高層ツインビルに突っ込み、巨大な高層ビルがあっけなく崩壊するという身の毛もよだつ光景は、みなさん映像を通じて記憶されていることでありませう。

大型航空機の故意あるいはトラブルによる原発や核関連施設への激突に対する対策は、9・11同時多発テロ以後、欧米や日本で真剣に検討され、様々に講じられているものと考えられます。しかしながら、その具体的な内容はほとんどの場合安全保障や公安上の理由で秘密にされているため定かではなく、一部の関係者以外はほとんどうかがい知ることができないといういうのが現状です。

日本の場合は、その切り札的対策として、「特重施設」と称される新たな施設を既存の原発に増設するという方策が取られつつあります。すなわち、テロ攻撃や天災による大事故により原発の制御システムが機能しなくなり電源や冷却水の確保ができなくなった場合に備えて、バックアップ用に原発制御のための施設を設けるという対策が講じられつつあります。

この施設、正式には「特定事故等対処施設」と称されています(略称「特重施設」)。これは原子炉建屋から一定の距離(たとえば100メートル程度)を隔てて設置される、電源が喪失し原子炉の制御が不可能になった場合に、原子炉の制御システムを回復させるための施設とされており、建設費は1000~2500億円程度とされています。これは元々、ドイツやスイスで実用に供されている対策をまねたものであるとされています。ドイツやスイスでおそらく9・11テロ以後に考え出され、日本におけるよりも早い時点で、福島原発事故後に実行に移されたものではないかと推測されますが確かではありません。欧州ではチェルノブイリの事故の衝撃が日本におけるよりもはるかに大きかったことを考えますと、ひょっとしたら福島原発事故以前にこのようなバックアップの施設が構想されていたのかもしれません。

余談になりますが、スイスの電力会社は福島原発で事故を起こした米国GE社のマーク1と同型の沸騰水型原子炉を導入していますが、安全確保を視野において、GE社が設計した構造の一部を改造しています。たとえば、当初の設計図を見て原子炉を取り囲む原子炉格納容器の容積(体積)が発電能力にくらべて小さすぎると判断し、本来の格納容器の外側にさらに新たに格納容器を備えることにしました。また、事故時に格納容器内の圧が高くなり過ぎてベントの作業(爆発を避けるために圧力容器内の気体を大気中へ放出して圧力を下げる作業)が必要となったような状況の下では電源が失われている可能性が大きく、そのためベント作業のための弁を作動させることができない懸念が存在しているとして、ベント作用を実行するための弁の開閉は電気によるのではなく圧搾空気で作動するように改造しました。これらのことをスイスの電力会社は東電に伝え、改造を施すようにアドバイスしていたのですが、東電は無視していました。福島原発の事故のときはベント作業ための電源が失われ、あわてて自動車のバッテリーをかき集めて急場を何とかしのぐことができたのですが、もし急場をしのぐことに失敗していたら格納容器が破壊され、もっともっと大参事に至っていたものと思われます。この事実から、スイスの電力会社などのほうが日本の電力会社よりもずっと高い安全意識と優れた洞察力・技術力を備えているということができるでありませう。

また脇道にそれてしまいましたが、電力会社のホームページなどを見て見ますと、この「特重施設」なるものは「航空機によるテロ攻撃のための対策」であると明言されており、この施設の設置が喧伝されています。つまり、わが社はこのようなリッパな施設を原発に備えているのだから、あるいは備える予定をしているのだから(原子力規制委員会は原発を再稼動させる場合はこの施設を設けることを義務づけています)空からのテロ攻撃に対しても大丈夫なのだと高らかに宣伝しているのです。

その宣伝の例を写真で示しておきましたので今日の写真をクリックしてご覧になってくださいませ。中国電力のサイトから引用したものです。「特重施設」なるものの概念図です。

この概念図なるものを目にしてGGIは少々驚いたと申しますか思わず気抜けしてしまい
ました。今まさにテロ攻撃を敢行せんとしている大型旅客器の姿が何やらノーテンキな雰囲気で漫画チックに描かれていたからです。こんな漫画のような安っぽい、ノンキなイラストだけを見ていたならば、あの9・11事故の大参事を連想することはできないからです・・・・
このイラストからは、事の重大性や緊迫感がまったく感じれれません・・・

おい、中国電力さんよ、何を考えているのだ、マジメにやれよ、9・11を念頭に置いて、もっと丁寧な説明や写真・図、関連情報を示すなどして、まず大型航空機によるテロ攻撃か如何に恐るべきものであるかきちんと説明したうえで、もっとまともな概念図を示せよ!これではまるで「わが社は大金をかけてリッパな施設を設けましたので、もうみなさん、ご心配いりませんよ、大型航空機によるテロ攻撃を受けてもへっちゃら、大丈夫ですよ、ですからわが社の原発は安全ですよ、安心してわが社の電気をご使用ください」と宣伝しているようなものじゃないか、これでは「みなさんお買い得ですよ」と宣伝するスーパーなどの大安売りのチラシみたいではないか!と言いたくなります。

つまり、この概念図なるものからは、最も困難なテロ対策である大型航空機によるテロへの対策であるという緊張感がまるで伝わってこないのです。この概念図を目にしても、大半の人々は、「あ、そうなの、そういうことをやってるのネ」と感じるだけで、事の重大性に関して大した印象を持たないでありませう・・・・「こんなノンキでノーテンキな宣伝をしていてほんとうに大丈夫かいなあ、日本の電力会社は」と、GGIは不安になってしまいました。

この「特重施設」なるものは、日本の場合は福島第一原発における経験を踏まえて原子力規制委員会により計画されたものと考えられますから、東日本大震災のような大天災に対してはかなりの程度有効に機能するのではないかと思われます。しかしながら、テロ攻撃に関しては、有効に機能することを期待はしたいのですが、果たしてどの程度有効に機能するかは、不確定要因が多々存在してるため確かなことは言えません。すなわち、必ずしも有効に機能するとは限らないとしか言いようがありませぬ・・・

なぜなら、想定した通りの事態、つまり原子炉の制御を非常時にバックアップするための施設であるところの「特重施設」が役立つような事態が、テロ攻撃に際して起きるとは限らないからです。たとえば、原子炉の制御システムが有効に機能している場合であっても、肝心の制御の対象である装置類が、すなわち原子炉を運転するための各種の装置・部品・機器そのものが破壊されてしまった場合には、制御システムは、たとえ有効に機能していても、何の役にも立たないからです。たとえば原子炉に付属する弁・バブルの類、ポンプ、モーターなどの類が破壊されてしまったならば、これらの部品の交換あるいは修理が行わなければ、いくら制御システムが生きていても原子炉は正常に作動しないからです

先に、福島事故では電源が失われために「ベント作業」用の弁を作動させることに手間取ったと記しましたが、テロ行為によりベント用の弁そのものが破壊されていた場合は、あるいは破損していた場合は、いくら電源が確保されていてもベント作業そのもの実行することは不可能であり、その結果、大参事に至ることは明白です。

9・11同時多発テロでは、ビルへの激突に際しての衝撃と航空燃料により引き起こされた非常な1500度にも達する高温を伴った猛烈な火災ために、ビルの鋼鉄部分の強度が大きく低下したためにビルが崩壊してしまったとされています。このことから、9・11事件と同様な高温の火災が原発で起きたならば、たとえ原子炉の制御システムが生きていても、原子炉の各種の部品・装置類そのものが損傷を被り正常に機能しなくなるような事態が生じる可能性が存在していると言うことができます。

要するに航空機によれテロ攻撃に対する切り札の対策であるとされており、電力会社が喧伝している「特重施設」なるものが、テロ攻撃が行われた際にどの程度有効に機能するのかは、今のところ誰にも確かなことは言えないのです・・・

そのうえ通常の原発ではなく、様々な核物質が大量に集中する使用済み燃料再処理工場の場合は、テロ対策は気が遠くなるような難問です。

来年には稼動が予想される青森県六ヶ所村の再処理工場には、再処理のための施設だけではなく、原発よりも広大な敷地に様々に施設が存在しています。再処理に供するために全国の原発から集められた使用済み燃料の保管施設、再処理により回収されたプルトニウムとウランの保管施設、再処理により生じた高レベル放射性廃棄物を最低数十年間にわたり保管するための施設、ウラン鉱石を精製して燃料用ウランを得るためのウラン濃縮施設などが設けられており、またプルサーマル発電用のMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料)の製造工場が現在建設中であるため、通常の原発とは比べものにならない、極めて大量の核物質が再処理工場に集積されることになるのです。

もし、このような複合的施設である再処理工場に、故意によるものであれ事故によるものであれ、航空機が激突して事故が起き、連鎖的に核爆発が生じるような事態に至ったならば、チェルノブイリを大きく上回る地球規模の破局的な大参事になりかねません・・・

しかしながら、六ヶ所村の再処理施設が、テロ攻撃を意図した航空機の激突あるいは航空機のトラブルによる航空機の激突にたいしてどのうな対策を講じているかはほとんど不明、再処理工場は2001年9月11日をまたいで建設されているため、9・11同時多発テロを意識した何らかの対策は講じているはずであると考えたいのですが、その内容については政府機関は一切公表していらず、メディアもほとんど報道じておりません。このため六ヶ所村の再処理工場のテロ対策の有効性・信頼性については、何も判断材料がないとしか申し上げようがありません・・・・

またしても余談になりますが、かつて米国のケネディ駐日大使(J・F・ケネディの娘)が六ヶ所村の再処理工場を視察した際、ケネディ大使には見せても報道人には立ち入らせななかった場所があったとされていることを考えますと、六ヶ所村の再処理工場というのは軍事施設並みの秘密のベールに包まれた国にとって重要な施設でもあるということができるでありませう

まことに、なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・というしかありませぬ

(この日記、つづくかもしれません)

グッドナイト・グッドラック!
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プーチンとマクロンの社会的距離は物理的距離に等しいことを示すワッハッハ写真!

2022-02-11 02:04:38 | 日記
一昨日の新聞に、ウクライナ問題を巡って、2月7日にクレムリンにおいてプーチン大統領とフランスのマクロン大統領が会談を行ったというニュースが掲載されており、会談の様子を示す写真が添えられていました。GGIはこの写真を見て、思わず大笑いしてしまいました。久方ぶりにまことにワッハッハ、もう笑いこけるしかないスバラシイ光景を目撃してしまいました!

今日の写真は新聞に掲載されていた、この会談の様子を撮った写真を盗用したものです。まずはこの写真をクリックしてしかとご覧になってくださいませ。

長~い長~いテーブルの両端にプーチンとマクロン・・・

これはプーチンさんによる意図的な演出でありませう。この写真を見て、さすが策略家プーチンさん、なかなか良く考えたなあと、GGIは思わず感心してしまいました。

写真をひと目見ただけで、ロシアの立場とフランスなど欧米諸国の立場に大きな隔たりがあることが、かなりの距離があることが、具体的に、目に見える形で誰にでも理解できるからです。写真からはプーチンの断固たる意志がビリビリと痺れんばかり伝わってまいります

プーチンさん、会談に臨むにあたって部下に命じたのでありませう

「おい、クレムリンで一番細長いテーブルを用意しろ」

「閣下、会談はお二人だけで行うのでしょう、それなのにどうしてそんな長いテーブルが必要なのですか?」

「おまえ、何もわかってないなあ、あのなあ、わがロシアと欧米の連中との間にはずいぶんと距離があるだろう、つまりオレと奴らの間には政治的立場に関して大きな違い、つまりに大きな距離が、社会的距離があることを目に見える形で見せつけてやるのや、つまり長~い長~いテーブルを隔ててオレとあいつが座ることによって、すなわち長~い物理的距離をアイツとのあいだでとることにより、立場の違いがいかに大きいかをマクロンに身に滲みて分らせるのや!わがロシアは絶対に譲らんぞということを目に見える形で見せつけるのや!このようにセッティングしておけば、会談の場に臨んだ瞬間、おれが一言も口を利かなくても、マクロンのヤロウは、オレの、わが栄光のロシアの堅き意思を感じないわけにはいかんのや、まあ、無言の先制攻撃というわけや、分ったか!」

「ハッ、わかりました。閣下、なかなか頭がいいですね、さすが我らの大統領です」

「こんなもん、頭のええうちに入らん、おれがかつていたKGBでは朝飯前の話や、会談前にもっともっと巧妙な罠を用意したものや、どうや、このようにセットしておけば、世界のアホなメディアの連中は、長~い長~いテーブルが主役の会談の写真を喜んで撮りまくり世界にせっせとばらまくやろう、これは今年度最優秀報道写真というわけや、それだけでも長いテーブルの効果は抜群や、分かったか!」

「ハッ、閣下、頭が良が過ぎますね・・・」

ここで突然少しばかりおせっかいなことを申し上げます。コロナが日本で流行りはじめたころから、いわゆる「密」をさけるために「社会的距離をとりませう」とか「ソーシャル・ディスタンをとりませう」などと盛んに言われるようになりましたね。でも、この「社会的距離」という表現は間違いと申しますか適切ではありませぬ。WHOもこのことを指摘しており、言うのであれば「フィジカル・ディスタンス」(物理的距離あるいは身体的距離)と表現しませうとしています。これは当然の指摘でございます。

社会的距離というのは社会的立場など何らかの点に関する相違に由来する心理的な距離を指すことばです。たとえば「あいつとオレとは近くて遠い仲や」などという場合は、当然ながら「近い」や「遠い」は実際の距離を意味をしているのではありませぬ。「あいつ」と「オレ」の心理的あるいは社会的距離を意味しているのです。つまり、あいつとは近い関係に見えても実際はそれほど仲良いわけではないのや、といったことを意味しているのです。一方「物理的距離」(あるいは身体的距離)というのは数字で表すことができる距離を意味する言葉です。「密にならないように」というのは互いの身体が近づき過ぎないように、たとえば隣の方とは二メートル距離を置いて並びませうと言った意味ですから、コロナに関しては「蜜」を避ける意味で、当然「物理的距離」という言葉を用いるのが正解なのです。

この点に関して、大阪の富田林市の市役所が市民に向けてPRしていますので、参考に、その内容を以下にそのまま引用しておきます。

《「ソーシャル・ディスタンス」から「フィジカル・ディスタンス」への表現の変更について》
コロナウイルス感染防止対策のひとつとして、人と人の間の距離を空けるよう呼びかける「ソーシャル・ディスタンス」という言葉が広く使われています。
しかし、「ソーシャル・ディスタンス」は、「社会的距離」という意味から、距離をとることで社会的孤立を招く恐れがあること。また、社会的身分や地位、人種などを要因とする距離感を表すものとして使用されることがあります。
WHO(世界保健機関)では、「身体的、物理的距離の確保」とともに「人と人のつながりも保ってほしい」という願いから、「フィジカル・ディスタンシング」に言い換えるよう推奨しています。
これを踏まえ、本市では、今後「ソーシャル・ディスタンス」ではなく、人権に配慮したより適切な表現として「フィジカル・ディスタンシング」を使用します。
市民のみなさまには、本主旨をご理解いただきますようお願いいたします。
みなさんに声を聞かせてください。

富田林市役所さん、「社会的距離」について、人権云々など、やや考え過ぎではないかと思わないでもないのですが、「フィジカル・ディスタンス」に変更すること自体は適切であると言えませう。でもですねぇ、せっかくなら、日本語で「身体的距離」とでも表現してはいかがでせう。「フィジカル」などという外来語は、カタカナ英語好きはともかく、日本人の多くにはあまりな馴染みのない言葉だからです。街のオッサンやオバサン、後期高齢者のみなさんは「フィジカル」ってなんや?そんなケッタイな舌をかみそうな言葉、よう使わんわ、「肘が軽い」かあ?「尻軽」のことかなどとおっしゃるものと思われるからです。この言葉が好きなのは、熱心なサッカーファンを気取る若者やスポーツ中継のアナウンサーぐらいなものでせう。「あの選手、なかなかフィジカルがどうのこうの・・・」といったりしていますね。これはどうやら「(運動選手としての)身体的能力」といった意味のようです。でもですねえ「おれ、今日はオレのフィジカル、ちょっと調子が・・・」などと言ってみせる日本人なんておりませぬ・・・

とにかくコロナさんが日本に登場していらい、ヘンな言葉がはやりますね、いままでは「副作用」と言っていたのに、昨今では専門家やお医者さんのあいだでも、猫や杓子やマスコミさんの間でも、これまで耳にしたことがなかった「副反応」という新語が突如大はやり、それに「クラスター」なる新外来語、それにソーシャル・ディスタンス・・・このような新語にもみなさんすぐに慣れて、あまり意味も考えずに、平気で使っております。GGIは別に憂国の士なんかではありませぬが、この日本人の順応ぶりと申しますか、ええかげんぶりは世界に冠たるものや、などとついぼやきたくなります・・・

などと、またしても脱線してしましましたので、今日はこの辺で失礼いします。

蛇足:人間社会や生物界におけるさまざまな距離感について、エドワード・T・ホールという研究者が著わした「隠れた次元」という優れた本があります(みすず書房)。この本のことは2017年4月25日の日記にかいておきましたので、関心をお持ちの方はよろしければご覧になってくださいませ

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!
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原発のテロ対策は有効か?「不運なことに、まずは意図的なチェルノブイリが起きるまでは、待たねばならないようだ」という予言・・・(おそらくその一)

2022-02-07 01:20:50 | 日記
今日は良くないと申しますか、極めて厄介かつ深刻な、考えようによっては背筋が凍るようなコロナさんの話ではありません。「原発のテロ対策ってほんとうに大丈夫なのか?」という話です。そんなややこしそうな話なんか自分に関係ないとお思になる勇気ある方はスルーなさってくださいませ

原発に関する最も懸念される深刻な問題点は大地震など様々な天災あるいは人為的なミスが原因で、破局的な大事故が起きる危険性であるということは言うまでもありませんね。しかし、深刻な問題点はこれだけではありませぬ。もう一つ、避けて通ることができない深刻で厄介な問題は原発に対するテロ行為です。予期しなかったテロ行為により原子炉が破壊され原子炉の制御が不可能になったならばチェルノブイリや福島原発の事故のような、あるいはこれらの大事故を上回るの破局的な事態に陥りかねません。従って原発が存在している限りは、テロ対策は避けて通ることができない問題であることは誰の目にも明らかでありませう。

テロなんか日本には縁遠い話とお思いかもしれませんが、世界を震撼とさせた、あの9・11同時多発テロをきっかけに、欧米各国は原発や使用済み燃料再処理施設など核関連施設の警戒態勢を格段に強めているとされています。万一、旅客機が突入したならば果たして原発は耐えられるのか、あらたな脅威の出現への対応に追われてはいるのですが・・・

日本の場合も、原発や関連施設を目標としたテロの脅威に対する対策は極めて重要な課題であることに変わりはないはずです。しかしながら、日本においては、政治の場でもメディアのレベルでも、原発のテロ対策という問題が本格的に正面から論じられたり詳細に報じられることはほとんどありません・・・これは、日本でテロなんか起きっこない・・・と関係者の大半が思っていることによるものかもしれませんが、それだけではなく、テロへの対処はこれまでに直面したことがない極めて困難な課題であるという事実を直視するのを避けていることによるものではないか、つまり「知ってて知らんふり、見ていて見ないふりをしている」ことによるものではないかとGGIは推察しております。もしそうであるならば、それは好ましからぬ憂慮すべき事態であると言わざるを得ません・・・

しかしながら、福島第一原発の大事故後に原発規制の体制を一新するために(事故以前の原子力保安院に代えて)新たに独立性の高い組織「原子力規制委員会」を設けるために定められた「原子力規制委員会設置法」(2012年9月施行)の目的の項において、天災だけでなくあらゆる人災に対しても「事故の発生を常に想定し、その防止に最大かつ最善の努力をしなければならない」と明記されているのです。テロ行為は「あらゆる人災」のひとつであることは明らかですから、一国民であるGGIとしましては、日本も適切かつ効果的なテロ対策を講じていると期待したいのです・・・

けれども、テロ対策に関する情報の多くは、対策の輪郭はともかく、その具体的内容は、電力事業者や原子力規制委員会、警察など国の関係機関など一部の関係者にしか開示されていないというのが現実です。つまりセキュリティ云々、公安上云々などを理由に秘密にされているのです。このような状態は国民の「知る権利」という観点からも極めて好ましからぬことでありますが、GGIのような「一般市民」にはどんなテロ対策を実際に講じているのか、知る手だては実際にはほどんどありませぬ・・・

ところが、幸いと言うべきか、原発のテロ対策が有効に講じられているかどうかということがが争点の一つとなった訴訟の例がひとつ存在しているのです。ご存知の方もおられることと思いますが、2016年3月、湖国である滋賀県の住民が求めた関電高浜原発3・4号機の運転差し止めの仮処分申請に対して、大津地裁(山本善彦裁判長)は運転を認めないとする決定を下しました。これは東電福島第一原発事故後に再稼動された原発の運転を禁止する初めての司法判断であったため、全国的な注目を集めました。決定内容は、ほとんどの争点に関して住民側の主張(たとえば耐震性が不十分)を認めていたものの、まことに意外なことに、原発のテロ対策は不十分とする住民側の主張に関してだけは、大津地裁は主張を退け、テロ対策は有効とする関電側の主張を認めていました。

メディアはこの点に関してほとんど触れていませんでした。また、原発に反対の市民のみなさんも、仮処分の申請が認められたことに満足していたこともあって、ほとんど原発のテロ対策に関するこの決定を特に問題視することはなかったようでした。しかしながら、GGIは「テロ対策に関しては住民側の主張を認めていない」と、たった一行、新聞で報じられているのを目にして、とても信じられませんでした。

おもわず「おい、裁判長さんよ、悪い冗談じゃないの?マジ?ほんとかよう?!」とガラ悪く叫んでしまいました。叫んでいるだけではサルでもできる話でありますので、GGI、裁判所によるこの決定の真偽を確かめるべく、久方ぶりに、ちょっぴり勉強してみました。以下は若干の勉強の結果についてのご報告みたいなものです。

まずはじめにテロ対策に関する大津地裁の判断についての部分を原文のまま引用しておきませう。なんと、テロ対策という問題は「その他の争点」のひとつとして扱われておりました・・・テロ対策は「その他」程度の問題であり「主な争点」ではないというわけであります。この点も驚きでありました。

『その他の争点、5(テロ対策について):債務者(関電のことです)は、テロ対策についても、通常想定しうる第三者の不法侵入等については、安全対策を採っていることが認められ、一応、不法侵入の結果安全機能が損なわれるとはいえない。もっとも、大規模テロ攻撃に対して本件各原発が有効な対応策を有しているといえるかは判然としないが、これについては、新規制基準によって対応すべき範疇を超えるというべきであり、このような場合は、我が国の存立危機に当たる場面であるから、他の関係法令に基づき国によって対処されるべきものであり、またそれが期待できる。したがって、新規制基準によってテロ対策を講じなくとも、安全機能が損なわれるおそれは一応ないとみてよい。』

みなさん、いかがですか、このわずか10行にも満たない一文をお読みになってどう思われますか?テロ対策はほんとうに有効に講じられているとお考えになりますか?この決定、納得がいきましたか?テロ対策の具体的内容も、有効であることの根拠も、全く示されていません。ただ結論だけが示されているに過ぎません。それだけではなく、結論に関して、「一応」(大丈夫)とか「期待できる」とか、まことに曖昧極まる表現が恥ずかしげもなく用いられています。しかも、極めて重要な問題点であるにもかかわらず、わずか10行たらず・・・こんなもの「判決」(正確には仮処分の申請にたいする「決定」)の名に値せん!いったいどういうつもりなんだ!とGGIは痛く失望してしまいました。いったい裁判官は何を考えているのかと暗澹たる思いがいたしました。

あまりにも意外で奇妙かつお粗末に感じられる決定内容でしたので、GGIは何かとお世話になっている、この訴訟のことも知っている知人の弁護士氏に、この決定書の上記の内容についどう思うか尋ねてみました。そうしましたら、「私も読みました、あまりにも短く簡単な内容だなあ、それに、この箇所だけ文体が異なっているようでもあり、まるでだれか他の別の人物が書いたみたいに感じられるなあ・・・おそらく関電側は、自社のテロ対策や警察など国による対策についておおまかな一般論的なことは述べてもテロ対策の具体的内容はほとんど開示しなかったのでは・・・」という答が返ってきました。おそらくそうでありませう。関電はセキュリティ上、公安上云々という理由で具体的な説明を拒んだのでありませう。

ところがです、最近になって、大津地裁のテロ対策についての決定内容が事実に反するものであることが明白なりました。と申しますのは、昨年3月に、東電柏崎刈羽原発においてテロに備えるセキュリティ対策が杜撰極まる最悪レベルのものであったことが明らかになったのです。

毎日新聞(2021年3月27日)によれば「東電社員が2020年9月、他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室していたことが今年1月に発覚・・・そして原子力規制委員会は3月16日、原発内の監視装置が故障していたと発表。外部から不正な侵入を許す恐れがある状態が20年3月から続いていたとして、4段階あるセキュリティ対策のうち『最悪レベル』の評価を下した。そして24日にはテロ対策の不備を踏まえて、事実上の運転禁止ともいえる改善命令を出す方針を決めた」とされているのです。

これまでに数々の不祥事を起こしている大手電力会社の体質を考えると、このような杜撰なテロ対策の実態はおそらく東電だけのことではないでありませう。役員など幹部がダークマネーを受け取っていた関電をはじめ、他の電力会社においても同様ではないかと懸念を抱かざるを得ません。

しかしながら、実は、このような外部からの侵入者を防ぐという初歩的なテロ対策が実際には杜撰なものである例は、残念ながら日本だけにとどまるものではないのです。海外では、テロリストによるものではありませんが、外部の人間が実際に原発敷地内に侵入することに成功した例がいくつも存在しているhのです。

たとえば、元気な環境団体グリーンピースのみなさんは何度も原発敷地内に侵入することに成功しています。

2012年にはスウェーデンの原発の敷地内に侵入、2基の原子炉を囲むフェンスを剥がし、4人の活動家が片方の原子炉の屋根で一晩身を隠していました。

また2014年には、別の活動家のグループがドイツとの国境に近いフランスの原発に侵入、原子炉建屋に大きな横断幕を掲げました(この二つの例は2016年5月3日にロイターが報じています)。

また2013年にも、グリーンピースの活動家数十人が、フランス南部のトリカスタン原子力発電所内に侵入し、政府に原発の施設を閉鎖するよう訴えました(2013年7月14日のロイターによる報道です)。

さらに、AFPによれば、グリーンピースの諸氏は2017年11月末にもフランスのクリュアスにある原発に侵入することに成功しています。

一方、米国では、81歳の修道女が、2012年7月に、平和団体の仲間2人といっしょに、米国で最も厳重に警備されている(とされている)核関連施設の一つであるY-12国家安全保障複合施設と称される施設に警備をかいくぐり施設内に侵入、警備員に拘束されるまで2時間、施設内に滞在、横断幕を広げて「戦争ではなく平和のために活動せよ」などのメッセージをカラースプレーで書き、核爆弾を製造するのに使われる高濃縮ウランの保管と処理を行っている同施設の建物に人の血をまき散らしたと報じられています(以上は2014年2月19日付けAFPによります)。

いかがですか、外部からの侵入者を防ぐという初歩的なテロ対策がいい加減なものであることは日本に限ったことではないのです。100基もの世界最多の原発を保有している米国でも、原発への依存率が世界一である(約70%)おフランスでも、同様に実にお粗末なのです。ですから、先に述べました大津地裁による決定なんかまるで嘘っぱちなのです。ウソの塊です!

どうした世界はこんなお粗末なことになっているのでありませうか・・・

それにしましても、グリーンピースのみなさんや高齢の尼僧さんなど、不法侵入でありますから犯罪行為であることは明らかですが、その勇気ぶりと元気ぶりには脱帽です。私どもが彼らのマネをしたりしたらモタモタているうちにすぐ捕まってしまうのがおちでありませう・・・

この今日の日記、つづきをいずれ書くつもりではおりますので、今日のところはこれで失礼いたします・・・

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は本文とは関係ありませぬ。わがガーデンにいま咲いている水仙を撮ったもので。よろしければ麗しき水仙の姿をクリックしてご覧になり、「原発のテロ対策」なとという鬱陶しい問題と同じく鬱陶しいコロナさんのことをしばしお忘れになってくださいませ

グッドナイト・グッドラック!
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