何にもしないうちに今年も余すところあと一日になってしまいました、
今週の日曜日、12月28日、もうすぐ今年も終わりや、新年が来てもどうということはないのだけれど、とりあえず新年に向けてちょっとは庵の内部をきれいにしなければと思いました
でも一向にやる気が訪れませぬ、それで一番片付けが簡単そうな客間を若干整理することにしました
客間の座敷机にうえには雑多なものが置いてありますので、まずはここから手をつけることしました、置いてある物の中には、旧八重葎庵時代にGGIの部屋などを飾っていて、ロフトさんで手にいれた米国の現代アートの作品をポスタにしたものが数枚あります、戦後米国現代アートを代表すると言ってもよいジャクソン・ポロックやマーク・ロスコ―の作品です、いつまでの机の上いおいておいても仕方がないので、まずこれらのポスターを壁に飾ろうと思いつきました
でも、これらのポスターの上には、畳を一回り小さくしてぐらいの、大きなパッチワークの作品が鎮座しておりますので、これを何とかしなければなりませぬ、思案したあげく、このパッチワークも壁に飾ることにしました、このパッチワーク、わが妹が何年も前にわざわざ持って来てくれたのですが、怠け者のGGI、飾ることもせずにずっと座敷机の上に鎮座させてままにしておりました
このパッチワークはいわゆるメモリアル・パッチワーク(キルト)と称されるものです、何かを、誰かを記念して作られたものです、作者は誰あろう、ほかならぬわが賢妹であります、えっ何ですか、アホの兄やんがいると妹は必然的に賢くなるとおっしゃるのですか?まことにおっしゃるとおりと言いたいところですが、兄弟が何人かおりますと誰かが賢い役、誰かがアホな役をしなければならぬのが世の常なのであります、このため妹以外に賢兄もいることでありますので、GGIの兄弟のなかでは、寛大なるGGIがアホを演じることになっているのです
このパッチワークは実はわがマザーを記念したものです、旧八重葎庵時代は庭先に世間では琵琶湖と言われている池がありました、庭先が埋め立てられて琵琶湖が遠くなってしまってからも、夏は湖を渡ってきた涼風が八重葎にいつもそよそよと吹いておりました
かようなしだいで、パッチワークの図柄はさざ波の琵琶湖に浮かぶヨットであります、わが賢妹は頭脳明晰であるだけではなく、手仕事の達人でもあり、デザインセンスもなかなかのものです
ここで今夜の写真をご覧くださいませ、客間の壁にGGIが飾ったパッチワークの作品を撮ったものです、よろしければクリックしてご覧くださいませ
パッチワークの材料となった布きれは、マザーが生前、夏になると身につけていた藍色の地に白い文様が描かれたワンピースの生地です、生地に描かれている白い文様が琵琶湖を象徴するさざ波となっています
GGIのファザーは、生前、日曜日の午後などに、マザーを連れてヨットあそびに興じていたりしておりました、ヨットと言いましても、ファザーは富豪ではありませんでした、湖都の港にある1時間数百円ほどの貸しヨットで遊んでいたのです
ファザーが蝶ネクタイ姿で得意げに帆を操っており、その横でサングラスをかけたマザーが琵琶湖の風に髪をなびかせているという、二人がヨットの乗っているときの何十年も前の写真があるのですが、この写真を眺めておりますと、ファザーは富豪に見えないこともありませぬ、また、その横に澄まして座っているサングラス姿のマザーはまるでオナシス夫人を気取っているようにも見えてしまいます
このようなわけで、このメモリアル・パッチワーク、マザーだけではなくファザーも記念したものになっているのです
パッチワークを壁に吊るす作業を行う前に賢妹に電話しました
「おい、あのメモリアル・パッチワークなあ、いつまでも座敷机の上に置いておいていたのではしょうがないから壁に飾ることにした」
「あら、そう、兄やん、そんな無理せんといて・・・飾る作業をしているときに脚立から落ちて怪我でもしたらエエ迷惑や・・・そやからやめといて・・・座敷机の上においてあるモノのぼろ隠しに、あのパッチワークを上にかけといたらええのや、それで十分、お袋さんも、怠け者のあんたに、壁に飾ってもうおうなんて期待してへんから・・・」
しかしながら。このような暴言にもめげす、GGIは無事メモリアル・パッチワークを飾ることに成功したのであります
グッドナイト・グッドラック!