UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

またまたもう少し徴用工問題と申しますか、ちょっぴり歴史のお勉強・・・・

2019-12-31 00:26:33 | 日記
またまた徴用工問題か、もううんざりだとお思いの方もいらっしゃることと思いますが、もう少しだけおつきあいください。今日は歴史の勉強です。

韓国徴用工問題の元をただせば、歴史を少し遡って明治時代の末、すなわち1910年、日本が韓国を併合してしまったことがそもそもの原因であると言ってよいでありませう。韓国を併合したことによりわが日本が勝手に韓国の民を日本の「臣民」とてしまったために、韓国の労働者を日本のために徴用することが可能になったからです。

韓国併合とはどのような意図の下に行われたのでせうか。明治天皇は韓国併合に際して「韓国併合の詔書」なるものを発しています。

「詔書」というのは天皇が発する命令を伝える公文書のことです。明治から昭和にかけて天皇はことあるたびに「詔書」を発しています。なかには「臣民」や軍人に対するお説教のような詔書もありました。戦後は国会の召集や衆院の解散など国事行為に定められて事柄に限って天皇は詔書を発しています。

以下は韓国併合に際して明治天皇が明示43年に発した詔書の原文です。難しい漢字がめったやたらに出てきますので難解なように思われますが、すこし我慢して読んでいただきますとダイタイはお分かりになるのではないかと思います。

「韓国併合ノ詔書」

朕東洋ノ平和ヲ永遠ニ維持シ帝國ノ安全ヲ將來ニ保障スルノ必要ナルヲ念ヒ又常ニ韓國カ 禍亂ノ淵源タルニ顧ミ曩ニ朕ノ政府ヲシテ韓國政府ト協定セシメ韓國ヲ帝國ノ保護ノ下ニ置キ禍源ヲ杜絕シ平和ヲ確保セムコトヲ期セリ

爾來時ヲ經ルコト四年有餘其ノ間朕ノ政府ハ銳意韓國施政ノ改善ニ努メ其ノ成績亦見ルヘキモノアリト雖韓國ノ現制ハ尚未タ治安ノ保持ヲ完スルニ足ラス疑懼ノ念每ニ國內ニ充溢シ民其ノ堵ニ安セス公共ノ安寧ヲ維持シ民衆ノ福利ヲ增進セムカ爲ニハ革新ヲ現制ニ加フルノ避ク可ラサルコト瞭然タルニ至レリ

朕ハ韓國皇帝陛下ト與ニ此ノ事態ニ鑑ミ韓國ヲ擧テ日本帝國ニ倂合シ以テ時勢ノ要求ニ應スルノ已ムヲ得サルモノアルヲ念ヒ茲ニ永久ニ韓國ヲ帝國ニ倂合スルコトトナセリ

韓國皇帝陛下及其ノ皇室各員ハ倂合ノ後ト雖相當ノ優遇ヲ受クヘク民衆ハ直接朕カ綏撫ノ下ニ立チテ其ノ康福ヲ增進スヘク產業及貿易ハ治平ノ下ニ顯著ナル發達ヲ見ル至ルヘシ而シテ東洋ノ平和ハ之ニ依リテ愈々其ノ基礎ヲ鞏固ニスヘキハ朕ノ信シテ疑ハサル所ナリ

朕ハ特ニ朝鮮總督ヲ置キ之ヲシテ朕ノ命ヲ承ケテ陸海軍ヲ統率シ諸般ノ政務ヲ總轄セシム百官有司克ク朕ノ意ヲ體シテ事ニ從ヒ施設ノ緩急其ノ宜キヲ得以テ衆庶ヲシテ永ク治平ノ慶ニ賴ラシムルコトヲ期セヨ

御名御璽 明治四十三年八月二十九日

この詔書、「朕ハ永久ニ韓國ヲ帝國ニ倂合スルコトトナセリ」と韓国を永久に日本の支配下に置くとを宣言しているのですからスゴイですね ・・・

これは難し過ぎる、こんなモノ、この年末忙しいのに読んでられっか!とお思いの方は以下に示します昭和10年(1935年)に文部省が発行した「尋常小学国史 下巻」の「七、韓国併合」をお読みになってください。これは上記の天皇の詔書を小学生向けに分りやすくリライトしたものであるといってもよいでありませう。当時、天皇や日本が何を考えていたかが、真意はともかく、表向きの意図がわかるのではないかと思います。

「尋常小学国史:七、韓国併合」 (発行:文部省、昭和十年)

ポーツマス条約によって露国は、わが国が韓国で特別な権利をもってゐることをみとめたので、わが政府は、韓国と協約を結んで、その外交を取扱ふこととした。さうして、韓国をわが保護国として、京城に総監府を置き、伊藤博文を統監として、その内政を改めさせた。これは韓国が独立してゆくだけの実力がない為とかく他国の圧迫を受け、東洋の平和を破るおそれがあったからである。

韓国は、わが保護を受けるやうになってから、数年の間に、政治もおひおひに改まったが、何としても、長い間つづいた弊害は、なかなかたやすく取り去ることが出来ず、人民は、なお不安な生活を送ってゐる有様であった。それ故、この上国利民福を進めようとするには、どうしても韓国を日本に併合せねばならぬことが、しだいに明らかになり、韓民の中にも、これを望むものが少なくなかった。そこで、韓国皇帝は、統治の権を天皇にお譲り申しあげ、帝国の新しい政治によって、国民をますます幸福にさせたいとお望みになり、天皇もまた、その必要をお認めになって、四十三年八月に、とうとう韓国を併合させられた。その時、前の韓国皇帝を王とせられ、皇族の礼を以って王家をおもてなしになることとなった。さうして韓国を改めて朝鮮ととなへ、新たに総督を置いて、もろもろの政務を統べさせられた。かようにして、半島の人民は、皆帝国の臣民となり、東洋平和の基は、いよいよ固くなった。

これより前、伊藤博文は総監をやめて、満州に旅行した折、ハルピンで不意に兇徒に暗殺された。博文は、明治維新の前後から、一心に国家の為に尽くし、憲法の制定や韓国の統治には、特に大功を立てたのであったが、今にはかに薨去したのは、まことに悲しいことである。

(旧漢字は当用漢字にあらためました)

当時に純良なる児童たちは、おそらく何も疑うことなく、ここに書かれていることを全面的に信じたのでありませう・・・・

韓国併合により東洋平和の基はいよいよ固くなったりはしなかったことは歴史が証明しているとGGIは思うのですが、みなさん、この教科書をお読みになっていかがお感じでせうか?

日本による韓国併合、当世流に申し上げればわが日本国の安全保障に見地から行われたというのがGGIの見解です。韓半島をほっておいたら我が日本の安全が脅かされる、だから相手の都合がどうであれ併合してしまえ、でも表向きは韓国の人民の幸福と東洋平和を願ってということにしておこう、ということでありませう。

古今東西、「安全保障」なるものは自国の行為を正当化するためのまことに便利な道具なのです

お正月にゆっくりお読みになり、わが「国史」を振り返って見るのも、お金もかかりませんし、よろしいのではないでせうか・・・えっ、何ですか、カネならあるとおっしゃるのですか?それなら勝手になさってくださいませ!

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は文部省発行の「尋常小学国史 下巻」の表紙を撮ったものです。よりければクリックしてご覧くださいませ

みなさま、よき新年を!

グッドナイト・グッドラック!
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もう少し徴用工問題:ドイツはどのように対応しているのか?中国の徴用工に対しては?

2019-12-29 00:56:51 | 日記
これまで3回にわたり韓国徴用工問題に関する韓国最高裁の再上告審の判決内容について日記に記しましたが、これらの日記を書いていて、そういえば弁護士の宇都宮健児氏がドイツでの賠償問題に触れていたなあと思いだしました。

今年のいつであったか忘れたのですが、湖都市内で行われた某講演会で日弁連の会長も務めたことがある宇都宮健児氏がドイツにおける外国人の強制労働を対象とした賠償問題について簡単に触れていたのです。

当日配られた資料で、宇都宮氏が「ドイツでは強制労働の被害にたいして約7000億円を100カ国以上に支払っている」と記されていたのを目にしてG「100カ国」に及ぶなんてすごいなあと驚いた記憶があるのですが、あいにく資料を紛失し記憶も定かではりませんので、ネットさんに助けてもらってほんとどうか調べてみましたら、最近Business Journalというメディアのサイト(2019年11月28日)で、インタビューに答えて宇都宮氏が以下のように答えていることがわかりました。

《宇都宮:戦後補償の問題については、ドイツの取り組みを見習うべきです。00年8月、ナチス・ドイツによる強制労働被害に関してドイツの政府と企業約6400社が「記憶・責任・未来」基金を創設し、これまで約100カ国の166万人以上に対して約44億ユーロの賠償金を支払っています。同じように、日本の政府と企業が基金を創設し、元徴用工に直接的な謝罪や補償を行うという方法が望ましいです。》

先の大戦にかかわる日本が抱える賠償問題とドイツが抱える賠償問題はその歴史的社会的な背景に異なる部分が存在していることを考えますと、その対応にある程度の差異があっても当然であると考えられるものの、それにしても、強制労働の問題に対する日本政府とドイツ政府の対応に雲泥の差があることは歴然としています・・・少なくともドイツは国家として歴史に、自分たちの過去に正面から向き合っていると言ってよいでありませう。

また、宇都宮氏は中国の徴用工に対する賠償問題にも触れて以下のように述べています

《そもそも、日本企業は元徴用工に慰謝料を支払う意思があるのですから、政府はそれを阻止すべきではありません。・・・少なくとも、中国人の強制連行被害者と同等の補償を行うべきです。》

ここで宇都宮氏が「日本企業は元徴用工に慰謝料を支払う意思があるのですから」と指摘しているのは、過去に中国や韓国からの強制連行問題で、日本での訴訟において、日本鋼管(1999年:韓国徴用工1名)や不二越(2000年:韓国女性徴用工たち)、三菱マテリアル(2016年:中国徴用工たち)などが被害者への謝罪と「見舞金」の支給などに関して和解している例があることや、西松建設の例を指しているものと思われます。

西松建設の例というのは以下のようなものです。

中国の強制連行被害者が西松建設を相手におこした裁判で、日本の最高裁が2017年4月に、裁判上の個人の請求権は日中共同声明により失われたとしながらも(注参照)、「個人の実体的な請求権までは消滅していない」と判断し、日本政府や企業による被害の回復に向けて自主的解決が行われるよ勧めたため、西松建設は被害労働者らと正式に和解、謝罪し、記念碑の建立、和解金1億2800万円を183人の労働者に支払うことに同意し、実行しました。

(これらの説明は「赤旗」デジタル版の2019年9月4日付けの記事や2010年4月26日付け日経新聞デジタル版の記事や徴用工訴訟に関連したサイトに依ったものです)

注:日中国交回復に際しての日中共同声明(1972年9月、周恩来首相と田中角栄首相が署名)において、中国は日本に対する戦時賠償請求権を全面的に放棄するとされました。サンフランシスコ条約締結に際して韓国は戦勝国でないとされ、そのため日本に対する戦時賠償請求権は認められませんでしたが、中国は戦勝国として賠償請求権を認められていました。しかし、周恩来は日中国交回復に際して「もし日本に対して膨大な賠償を行うよう求めたら、日本は賠償の重みに耐えかねて、第一大戦に敗れて膨大な賠償を請求されてその負担の重さに苦しんだ末に独裁者の出現をまねき第二次大戦を引き起こしてしまったドイツのようなことになりかねない。そのような事態が将来起きることを避けるために、中国は日本に対する賠償請求権は放棄する」と言う趣旨のことを述べており、中国側は自発的に請求権を放棄しています。

まったく余談ですが、宇都宮弁護士は湖都市内の講演会で、「ドイツ、それに同盟国であったイタリアも、戦後国旗を変えています。日本は変えませんでしたが・・・」と述べていました。GGI、恥ずかしながら、これは初耳でありました

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は本文と関係ありません。冬になるとわがガーデンに現れるスズメが成る木を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。草むらで遊んでいるスズメ君たちは逃げ足がはやく、少しでも人の気配がしますと、あっという間に近くにある木の枝へいっせいに逃げ去ります。おかげさまで冬にはスズメの成る木が出現いたします

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年末だから仕事納めに処刑という法務官僚の冷徹非情・・・

2019-12-27 01:46:03 | 日記
昨日12月26日、午後から今年最後の某謀議、そのあと夕方にわが迎賓館で謀議参加者による忘年会という予定をしておりました

まだ謀議までには時間があるなあと思いながら朝刊を眺めていましたら、お昼のニュース、テレビでアナウンサーが何やら言っております

「今日午前、森雅子法相は死刑が確定していた中国人の元専門学校生に対して死刑を執行したと発表しました・・・」

死刑制度に反対しているGGI、一瞬驚いたものの、ああ、やっぱり・・・悪い予感が的中してしまったと思いました。このニュースを見ていましたら、同じくラジオのニュースで知ったという謀議参加予定の知人から電話

「法相は女性だぞ・・・女って恐いなあ・・・」

「まあねえ・・・ところでGGIは今日の予定,急遽変更いたします。これから情報を集めて安倍首相と森雅子法相あての抗議声明文を作って、夕方までにファックスで送りつけ、マスコミ関係にも抗議文のコピーを送ることにします。だから今日の謀議は欠席、忘年会にはなんとか間に合うでありませう・・・」

これまで何度もGGIは死刑に反対であるとこの日記でも明言していますが、その理由はいたって簡単明瞭,すなわち、死刑は日本国憲法第36条に違反しているからです。GGIは妙なヘリクツをこねているわけではありません

《憲法第三十六条:公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる》

条文が意味するところはきわめて明快、なにもあいまいな点はありません。小学生でも理解できます。日本国憲法において「絶対に禁じる」とする規定があるのはこの条項だけです。

死刑が残虐な刑罰に当たらないのであれば、いったいどのような刑罰が残虐であると言うのでありませうか。死刑が残虐な刑罰でないのであれば、この世に残虐な刑罰なるものは存在しません。ですから、この条文に照らせば、現行の死刑制度が憲法違反であることは明らかです

明らかに憲法違反であるのに、1951年(昭和26年)に最高裁が超ヘリクツをこねて、すなわち日本における死刑であるところの絞首刑は残虐なる刑罰に相当しない、したがって憲法違反ではないという、超常識外、超ブラックな判決を下したのです。それ以来70年余にもわたり日本ではこの判決を根拠に非常識がまかり通っているのです。憲法で「絶対に禁ずる」とされている行為が半世紀以上にもわたり堂々とまかり通っているのです。

何という国でありませう。これではとても法治国家であるとは言えませぬ。

ときおり、勇気のある弁護士さんたちが死刑が求刑されている殺人事件の裁判で、死刑は憲法違反であると訴えて頑張るのですが、この最高裁判決を覆すことはできずにいます。GGIは大阪で起きた殺人事件でこの問題に挑んだ弁護さんの話を以前に聞いたことがあります。数百人の首つり自殺者を対象に、その死因などについて医学的な研究を行った実績を持つドイツの法医学者を証人にまねいて、絞首刑がいかに残虐なものであるということを実際の研究データを用いて証言してもらったのですが、憲法違反の判決を得ることができなかったとのことでした。

昨日の死刑は十分に予想されたものでありました。法務省が年末、仕事納めの寸前に死刑を執行することが少ならずあるからです。昨年も12月27日、仕事納めの前日に死刑を執行しました。ですから、GGIはここ数日が危ないなあと思ってはいたのですが、見事に予想が的中してしまったというわけです。

昨日執行されたのは中国人でした。この人物は他の他の二人の中国人と共謀して、福岡市内で一家4人を殺害したために死刑が確定していました(他の2人は中国に帰国後、中国において死刑と無期懲役の判決を受け、死刑を科せられた中国人はすでに執行されています)

現在の日本での死刑制度の運用実態や死刑の判例に照らして考えるならば、この中国人の死刑判決は著しく不当なものであるとは言えないであろうと考えることにGGIはやぶさかではありませぬ・・・

しかしながら、年末、仕事納めが迫ってから、まるで今年の仕事は年内にとばかり、いわば駆け込みで一人の人間の命を奪ってしまうという法務官僚の冷徹非情、この官僚主義の極みともいうべき冷徹非情な行為、そして何の見識も無く唯々諾々と官僚の言いなりになる法務大臣の存在、なんともやり切れませぬ・・・

昨年8月、オウム関係者が大量に処刑されたとき、来年は新天皇の即位という慶事が続き、再来年の春には京都で国連犯罪防止刑事司法会議が開催され日本の死刑制度が俎上に乗る可能性があり、さらに夏にはオリンピックの開催となるため、しばらく死刑執行はモラトリアム(死刑執行の一時停止)に期間に入るのではないかという希望的観測が弁護さんのあいだにもあり、GGIもそのように期待していたのですが、見事に期待は裏切られつづけています

かようしだいで昨日の午後いっぱい、死刑執行に対する抗議文の準備と安倍首相・森雅子法相・マスコミ関係に書き上げた抗議文をファックスで送る作業に費やしました。その結果、なんとか夕方に完了、わが迎賓館での忘年会に間にあいました。

事情を知らない謀議参加者から今日はどうしたのだと尋ねられたのですが、ムニャムニャとごまかしてビールのついでにドイツの焼酎を飲みましたら、すこしだけ元気が出てきました。この様子を見ていた某知人が「あのなあ、来年の初謀議は1月10日ということになった、ついでに新年会もやることにした」とのたまいましたが。GGIは疲れていましたのでの返事をいたしませんでした・・・

午後9時過ぎ、迎賓館を出ますと闇のなかに湖が小雨に煙っていました

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真はわが迎賓館前の広場から夜の湖を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ、

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家にいて・・・

2019-12-25 02:16:34 | 日記
この日曜日、12月22日、朝日新聞の俳句や短歌が掲載されている欄をぼんやり眺めておりましたら、ある俳句に思わず目がとまってしまいました。

このような句に遭遇しようとは思ってもいませんでした・・・・

《 家にいて「帰ろう」といふ暮れ早し    横浜市 我妻幸男 》

選者の言葉が記されていました。

《我妻さん、どこにいるのか分からくなっている人の、この上なく淋しい「帰ろう」》

GGI、この句とそっくりの経験をしたことがあるのです。まさに真正のデジャヴュです。この句を目にしたとたん、明治の終わりにこの世に生を受け、93歳で逝ってしまったわがマザーのことを思いだしました。

晩年になってのことでしたが、いつのことであったか、記憶は定かではりません
ある秋の夕暮れに突然わがマザー母がつぶやくように言ったのです

「GGIさん、これから家へ帰ろうか・・・」

えっ! 何を言ってるのだ、一瞬わが耳を疑いました・・・帰るっていったいどこへ帰るんだ・・・そうかあ・・・小さかったころのことを思い出して、自分が今どこにいるのか分らなくなっているのだ・・・

GGIの父も母も九州の出身です。わがマザーは果物がなる木が何本も植わっている広い庭のある家で少女時代を過ごしたようです。年老いて、ときおりこの実家のことや優しかった父親のことを懐かしそうに語っていました。幸せな少女時代だったのでありませう

この言葉に驚いたのですけれども、母をできるだけ失望させないように、そっと答えました

「あのねえ、お母さん・・・もう日が暮れかかっているし・・・今から家まで帰るのはたいへんだよ・・新幹線にのっても、着くのは真夜中。今日はもう遅いから帰るのは明日にしたら・・・・」

しばし沈黙、そのあとわずかに微笑みながら、ぽつんと

「そうねえ・・・」

納得はしたものの少し寂しげでした。

翌朝、母は昨日言ったことをすっかり忘れておりました。

このあとも、ときおり、夕方になると同じことを口にしました。そのたびにGGIは同じ返事をするのでした。そして同じように母はしばらくして「そうねえ・・・」とぽつんと、少し淋しげに答えるのでありました・・・

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は水面に漂う落葉さんたちを撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ

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徴用工問題の韓国最高裁の判決書を読んでみるの記(その三)

2019-12-23 00:57:05 | 日記
韓国徴用工問題について12月15日の日記12月20日の日記にダラダラと書きましたが、辛抱強くおつきあいくださった方々に感謝申しあげます。最後にまとめみたいなものを記しておきます。内容はこれまでに書いたことと重複していますが、よろしければご一読ください

《裁判の前提》

この裁判は財産や未払い賃金や債権などに関する物的な損害を対象にした賠償請求、いわゆる損害賠償請求ではなく、戦前に日本企業による人権侵害行為により元徴用工らが強いられた精神的・肉体的苦痛に関する慰謝料請求の裁判です。これは大切な点なのですが。この点が日本ではあまり報じられおらず重要視されていないようです(単なる物的損害の賠償請求であれば、請求権協定の条文には物的な損害について明記されていますから、日韓請求協定の対象に含まれることになり、そのため請求権協定の条文にしたがい解決されているということになります)

《韓国でのこの裁判(大法院における再上告審)では、日本企業による韓国徴用工に対する人権侵害の有無は争点とはなっていません》
 
原告の元徴用工らは自分たちの日本企業における体験を具体的に証言することにより徴用工に対する人権侵害行為が存在していたことを立証していますが、被告側(日本企業)は上告理由として五つの点を挙げているものの、人権侵害行為は存在していなかったとすることを上告理由の一つとして挙げてはいません。このため、被告側(日本企業)は人権侵害行為の存在を、積極的には肯定していないかもしれませんが、結果的には否定していないことになります。したがって、人権侵害の有無は裁判の争点とはなっていなかったと言うことができます。

《国ではなく個人に請求を行う権利があるか否かということも争点にはなっていません》

日本では個人による請求権があるか否かがあたかも争点であるかのように論じられたり報じられたりしており、請求権協定では個人による請求は認められていないと主張されることがあります。しかし、韓国最高裁の再上告審では、原告も被告も大法院も、個人による請求権の可否に関しては言及していません。したがって個人による請求権は争点とはなっていないと言えます。すなわち、被告である日本企業は個人による請求であることが問題であるとして上告の理由に一つに挙げることは行っていません。このためあたかも個人による請求そのものが問題であるとする日本側の主張はためにする議論に過ぎないと言えます。

《慰謝料の請求権が請求権協定の対象に含まれる否かが裁判における最も重要な争点です》

安倍首相など日本の政権関係者は慰謝料請求権が請求権協定の対象内であると強硬に主張していますが、ただ請求権協定の範囲内であるとの主張をくり返すだけであり、なぜ請求権協定の範囲内と考えることができるのか、その明解な具体的論拠を示していません》。
 
請求権協定の条文では財産、債権などいわゆる物的損害については明示的に言及されていますが、人権侵害に対する慰謝料請求が請求権協定の対象に含まれるか否という点は、協定の条文の文言において明示的には言及されていません。

すなわち慰謝料請求権が請求権協定の対象であるか否かは直接的には示されていないのです。しかしながら。被告側は(安倍首相などの日本政府の関係者も)慰謝料請求は協定の範囲内であるため協定条文にしたがい解決済みであると強く主張しています。この主張に対して、大法院は、協定締結にいたるまでに交わされた日韓間の一連の議論のなかで、日本側は終始、韓国の植民地支配は合法であったと徹底して主張しており、人権侵害などを認めることがなかったのであるから、人権侵害の存在を自ら認めることになるような行為をおこなうはずがない、すなわち慰謝料請求の権利を日本側が協定内に含めるようなことを行うことは考えられないとして、協定の範囲内であるとする被告側の主張を退けました。

このような結果になったのは、被告側がただ単に協定内であると主張するだけに留まっており、協定の範囲に含まれているとは考えられないとする大法院の判断に対して、協定の条文には慰謝料についての明示的な言及が認められないのになぜ慰謝料が協定の範囲内であると考えられるのか、具体的論拠を示して反論することができなかったためです。その結果被告による上告は棄却されました。

最後に日本政府の反論とその問題点ならびにGGIの若干の感想について記しておきます

安倍首相ら日本政府関係者の主な主張は次の2点です

1 原告らの要求(慰謝料請求)は請求権協定の範囲内であり、そのため請求権協定の条文に従い解決済みである。したがって、請求権協定に照らして原告らの請求が解決済みであることを否定して元徴用工らの請求は妥当であるとした大法院の判決は国際協定違反であり、韓国はこの決定を撤回すべきである。

2 個人による請求権は請求権協定において認められていない。

このうち、個人による請求権に関する日本政府の主張は、上記のとおり実際の裁判ではまったく争点にはなっていないため、日本側の主張自体が無意味かつ的外れであると言わざるを得ません。また、請求権協定に関して、当時の日本の外務省関係者が国会で個人による請求権はあると発言している事実(1991年8月27日の参議院予算委員会での、外務省の柳井俊二条約局長(当時)の答弁)が存在していることを考えますと日本政府の主張は説得力に欠けています。また、請求権協定の条文には個人による請求の可否についての明示的文言は認められません。つまり、個人による請求の可否について直接的に言及している文言は認められません。したがって、ただ単に「協定において個人による請求は認められていない」と主張するだけでは説得力に欠けており、なぜ認められていないと考えることができるのか、その論拠を示す必要があるのですが、日本政府は論拠を示していません。

慰謝料請求権が協定の範囲内であるか否かに関しては、協定の条文中に明示的な文言が認められないため、協定の文言だけからは、請求権があるとも無いとも確証的なことをいうことはできません。しかし、大法院は、確証的とまでは言えないものの、先に述べてように協定締結にいたるまでの日韓間の議論に際しての、植民地支配は合法であったとする、当時の日本政府の発言や主張を考慮すると慰謝料請求権を日本側が協定の範囲内に含めることは考えられないとして、範囲外であることの具体的論拠を示しています。このため、日本政府が協定の対象に含まれていると主張するならば、単に「国際協定に違反している」と声高に主張するだけではまったく不十分です。協定の範囲内であることの論拠を具体的に明確に示した上で大法院の判決に反論すべきです。しかしながら、日本政府は「協定の範囲内である」と頑なに主張を繰り返すだけあり、この裁判の被告と同様に、その具体的論拠を示していません。

日本政府がこの判決を国際協定違反であると考えようとも、韓国は日本と同様に(あるいは大統領制のもとで日本以上に)三権が分立している国家ですから、安倍首相がいくら国際協定違反であると韓国の政権を強く非難しても、大統領といえでも司法の判断に口をはさむことは許されません。行政府による司法への干渉になり、三権分立の原則を侵害することになるからです。

ですから安倍首相ら日本の政権による韓国政府非難はまったく的外れです。つまり韓国政府をいくら非難したところで法的にはまったく無意味なのです。どうやら安倍首相は三権分立という初歩的な事柄を理解できていないようだと言わざるを得ません。

この問題は国家間の法的な争いですから、韓国の司法による判断に不満であれば、韓国政府を非難するのではなく国際司法裁判所などの国際機関に訴え出て、ことの是非については判断を仰ぐのがまっとうな問題解決の筋道です。怒りにまかせて韓国への輸出を意図的に規制するといった手段に訴えることはまったく筋近いです。ただ混乱を招き日韓関係を一段と悪化させるだけであり、問題の解決にはまったく結びつきません。

韓国内でこの問題に解決に向けていろいろな動きがあるようですが、日本政府もいつまでも執拗に韓国非難を繰り返すという次元の低い政治行為をやめ、建設的な解決策を模索すべきであると考えらえます。まずは正攻法で国際司法裁判所に訴え出るべきでありませう。しかし、安倍政権の下ではその可能性は期待できそうもないと言うべきでありませう・・・

【参考】

韓国大法院で元徴用工訴訟の勝訴が確定した原告 32人(遺族を含む)

同様の訴訟の原告:約千人

韓国政府が認定した「強制動員被害者」のうち元徴用工など労働者:約14万9千人

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は青一色に染まった、暮れなずむわが湖畔のプロムナードです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。

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