昨8月9日、75年前に原爆を投下された長崎で平和祈念式典が行われました。NHKが午前10時50分から式典の様子を中継しており、原爆が投下された午前11時2分、GGIもみなさんと一緒に起立、テレビの画面に向かって黙祷いたしました。
長崎市長の田上富久さんによる平和宣言、日本政府が一日も早く核兵器禁止条約へ参加することを求める落ち着いた調子のスピーチは好感が持てるものでした。しかし、式典に参加して長崎市長のスピーチを聞いていた安倍首相は終始無表情、退屈そうと申しますか居心地がわるそうと申しますか、何やらお疲れのようでありました・・・
安倍首相は式典のあと長崎市内のホテルで「被曝者代表から要望を聞く会」に出席、次いで記者会見を行い、午後3時15分発の日航機で帰京、5時34分には自宅、と報じられていました。
安倍首相のあいさつは、核兵器禁止条約のことにはまったくふれず、条約加盟国と核保有国との間を取り持って核兵器廃絶に向けて努力するという、広島での記念式典のときのあいさつとほぼ同じ、実質的な内容を伴っていない空疎なものでした。とにかく挨拶しなければならないから一応しておくという熱意にも説得力に欠ける、形式的なものでありました。米国の核の傘の下にある日本としては核兵器廃絶に向けての具体的で積極的発言はそう簡単にはできないということなのでありませう。GGI、べつにアベ君の態度を肯定するわけではないのですが、そのような現実、日米同盟のことを考えると対外的に核兵器廃絶を強く主張することは容易ではない状況にあるということに関してはまったく理解できないわけではありませぬ・・・
しかし、そのような状況にあろうとも、安倍首相には、首相として、自らの意思によりできることはあるのです。できることはあるのにしないのであれば、それは怠慢でしかありません。
では、安倍首相に今できることは何でありませうか?・・・以下の新聞記事をご覧ください。
8月9日付けの毎日新聞デジタル版は「安倍首相、長崎原爆資料館を訪問せず」という見出しの記事を掲載していました。記事の内容は以下のとおりです。
《長崎の被爆者5団体は9日、長崎市で安倍晋三首相らと面談し、長崎原爆資料館を訪問するよう求めた。安倍首相はこの日も含め9回長崎に来たが、資料館を訪れたことはなく、5団体は初めて政府要望書に盛り込んだ。しかし、安倍首相からの回答はなかった。
5団体は、核兵器禁止条約への署名・批准も要望したが、安倍首相は核保有国と非核国との「橋渡しに努める」と繰り返すだけだった。
安倍首相はこの日の平和祈念式典でも、広島と同様に核兵器禁止条約には言及せず「立場の異なる国々の橋渡しに努める」と述べるにとどまった。長崎の被爆者5団体は、被爆の実相を見なければ首相が主張する「橋渡し」はできないとして、長崎原爆資料館を訪問するように求めた。
しかし、安倍首相はその要望に触れないまま「お時間となりました」と司会が言った後、席を立って会場を後にした。例年ならば、会場を出る前に被爆者がいる方に歩み寄って言葉を交わしていたが、今年はそれもなかった。
安倍首相は面談で「核兵器使用の惨禍と非人道性を深く知る我が国」などと述べたが、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(79)は「長崎の原爆の実情を知らない。見に行く機会はあったはず」と憤る。長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(77)は「原爆に対する当事者意識がない」と突き放した。県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(80)は「原爆がいかに悲惨であるか、その目で見てほしかった」と唇をかんだ。》
アベ君よ、9回も長崎を訪問しながら、一度も原爆資料館に足を運ばないとは・・・君はいったい何を考えているのだ。今回は、被曝者の代表たちから正式に要望されていたにもかかわらず、君は行かなかった、被爆者の要望を無視して・・・
忙しくて暇がなかったというのですか?冗談はいけません、あなたは午後3時過ぎには長崎を離れ、午後5時半にはもう自宅に着いているのです。原爆資料館を訪れるよりステイ・ホームを望んでいたのですか?時間はあったはず。なかったとしても翌日の10日は祝日、ですから一泊して原爆資料館を訪れ長崎の悲劇的な惨状について時間をかけて勉強することもできたはず。そうすれば君が核兵器廃絶を願っていると国民は理解し、多少なりとも君を信頼するかもしれないのです。
アベ君、自らの意思でできることが目の前にあるのに何故しようとしないのですか?なぜ9回も機会があったのに一度も長崎原爆資料館を訪問しなかったのですか・・・・
君は式典で核兵器廃絶のために架け橋になりたいと言いながら、なぜ資料館を訪れるのをこれほどまでに嫌がるのですか?嫌がる理由は何なのですか?
原爆資料館の訪問を堅くなに拒否するという君の行為、いろいろリクツがあるのかもしれません。しかし、結局は単なる幼稚な我がままに過ぎません。君は唯一の核被爆国である日本の首相です。日本を代表する政治家です。そのような政治家に我がままは許されません。自分の考えがどうであろうとも、好むと好まぬとに関わらず、君は一国を率いる政治家として、人間としての責務を負っているのです。ですから
『当然、君は長崎原爆資料館を訪問すべきだ』
と堀田善衛氏をまねて言っておきます。
今日の写真は田上・長崎市長のスピーチの内容が頭の中を素通りしている最中の安倍首相の様子をテレビ画面から撮ったものです。ピンボケですがよろしければクリックしてご覧くださいませ
付けたし:12日付けの朝日新聞、川柳欄に以下の句が紹介されていました。テレビに大写しになったアベ君の様子を詠んだもの。作者の観察眼に脱帽です。
《その貌(かお)は疲労肌荒れ精気なし》 福岡県 河原公輔
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!