みなさん十分にご存知のように、アベ君は第二次安倍内閣になってから、せっせと「大国」(列強)になるための標準装備を整えてきました
まずは米国をお手本とした日本版国家安全保障会議、次いで特定秘密保護法、そして本命とも言うべき集団的自衛権の閣議決定による承認、ついでに武器輸出の自由化をなしとげました、
1月29日の日記にかきましたが、これらの事柄は第二次安倍内閣発足以前の2008年に出され、日本の安保問題に関する指針を記されている二人の元国務相高官による報告書、アーミテージ・ナイ報告にすべて書かれていた事柄でありました。いや、そうではないとアベ君は言いたいかもしれません、でも、これだけソックリですと無駄な言いわけというものでありませう
特定秘密保護法は民主党政権時代に考えられていたものですが、当時民主党の案について内閣法制局は、なぜこの法律が必要なのか、その根拠が存在していない、と法律を新たに作ることに難色を示していました。
国内で過去に何件か自衛官による秘密漏えい事件が起きているが、その内容は軽微なものであり現行の法規で十分対応できるものであった、すなわち日本では深刻なスパイ事件なんか過去にほとんど起きていないのだから、このような法律をつくらなけばならない必然性は存在していないと、難色を示していたのです。それなのにアベ君、これ幸いと作ってしまったのです
これまでアベ君が成し遂げてきた上述のような事柄を考えていて、GGIは思っておりました。大国としての標準装備は一応整った、でもまだ足りないものがあるなあ、やっぱり本格的な諜報機関が欲しいなあとアベ君思うだろうなあと邪推しておりましたら、そのとおりでありました。なんと本格的諜報機関(最近はこのような露骨な言い方を避けてインテリジェンスとか言うのだそうです)に成長する可能性がある組織が新たに発足したということが最近報じられたのです。このような国の機関を国民が知らぬ間に勝手につくってしまうことが許されるのでせうか・・・
この組織、名称は「国際テロ情報収集ユニット、International Counter-Terrorism Intelligence Collection Unit)です。形の上では外務省に属するとされていますが、首相直轄の組織とされています。発足したのは2015年12月8日です。なんと先の大戦を日本が始めた日であります。偶然であればいいのでありますが・・・
この組織のことを特集した「非情、対テロ情報戦」と題された大きな記事が1月22日付けの朝日新聞に掲載されており、「元内閣調査室特任情報分析官」なる人物、吉村郁也氏と、悪名高きイスラエルの諜報機関「モサド」も元長官の話が記されていました。朝日新聞は「情報収集機関」などとお上品な表現をしていますが、もとろん諜報機関のことです
今日の写真はこの記事の一部分を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。
この記事によれば元内閣調査室特任情報分析官氏は以下のように述べております
「やっと日の目を見たとう思いです。規模や能力は十分とは言えませんが、大きな一歩です。中でも評価したいのは、今回の組織が『首相直轄』であることです。日本のインテリジェンスは警察庁や公安調査庁、外務省、防衛省などに存在していたため縦割りの弊害があったが、この新組織によりこの弊害をなくし、最終責任者である首相に情報を提供して対策を練ることが可能になる」
GGIにいわせればかなり危ない話であります。いまや実質的に独裁者となりつつあると言っても過言ではないアベ君が直轄する諜報組織の誕生だからです。独裁者に諜報機関、これはネコに小判でなくサンマとも言うべきものです。アベ君、ほうとうは米英仏並みの本格的な諜報機関が欲しいでしょうから、この直轄組織、いずれ急速に自己増殖を続け、「テロ」だけではなく何でもかんでも対象とする、米英仏ロなみの諜報機関に成長するかもしれない、これはその端緒かもしれないとGGIは思わず想像力をたくましくしてしまうのであります。
そのうえ、この元特任情報文官氏、まことに恐るべきことをあからさまに話しております
「テロ対策のための電波や通信の傍受も検討すべきです。今は捜査目的の令状による通信傍受しかできません・・・自爆ベストを着たテロリストが現れても、警察官は一発目から頭を狙った銃撃が原則できない。法整備が急務です」
「ただ、こうした問題については、まだまだ国民の支持が得にくい。治安当局の権限を強めようとすると、人権やプライバシーとの兼ね合いで必ず懸念も出てきます。もちろん自由な社会は大切ですが、安全にはコスト国家がかかることと犠牲が出てからでは遅いことを、国民に理解を求める必要があるでしょう」
この猛烈な前のめり振り、まことに寒気がいたします。治安当局にいまでも「権限」があり過ぎることは、あいかわらず冤罪が跡を絶たないことも明らかなのですが、さらに強化しようというのです。このような考えを持つ人間たちがこの新諜報機関の中枢を占めることになれば、市民に対する影響は、考えようによっては集団的自衛権容認どころの騒ぎではありませぬ。この新組織が成長しつづければ、日本はこれまでにない治安国家になっていくことでありませう。
このようなことを考えておりましたら、作家の堀田善衛氏がかつてどこかで書いていたことを突然を思い出してしまいました
「・・・友人である警察庁の幹部と話していたとき、『君たちはほんとうのところどんな国家にしたいと考えているのか』と聞いたら、彼は『できるならば警察国家にしたい』と答えた・・・・」
グッドナイト・グッドラック!