透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「短編小説と世界」荒川洋治さんの講演

2022-04-25 | A 読書日記


「本の寺子屋」リーフレット 写真:えんぱーく

 11期目の「信州しおじり 本の寺子屋」が始まった。今期(今年度)は全17講座が予定されている。聴きたいな、と思う講演を以下に挙げる。

佐野眞一(ノンフィクション作家)「コロナは日本の何を見せたのか」   
田中優子(法政大学名誉教授・前総長)「絵と文字で読む江戸の本」
立花珠樹(共同通信社編集委員)「戦後日本映画の名優たち ―高倉 健、吉永小百合、渥美 清ら―」
小泉今日子(女優・歌手)「本と本屋とわたし」
加古陽治(東京新聞編集委員)「文芸取材の流儀」
矢崎節夫(金子みすゞ記念館館長)「童謡詩人、金子みすゞのまなざし ―よみがえりの軌跡―」
島田雅彦(法政大学教授・作家)「フィクションの方が現実的」

※ 講師の肩書を一部省略した。

こんなにすごい講座が地方都市で企画できるというのはすごいこと。「文藝」の編集長をされていた長田洋一さんが講座のナビゲーターを務めておられる。会場はえんぱーく3階・多目的ホール、定員は60人(*1)、参加費 無料。早めに申し込まないと定員に達して参加できなくなってしまう。

「短編小説と世界」

昨日(24日)第1回目の講演の講師は現代詩作家の荒川洋治さんだった。荒川さんは「日本全国8時です」という民放の朝のラジオ番組に長い間(1991年~2013年)出演されていた。火曜日の朝、通勤途中で荒川さんの話を聴くのが楽しみだった。久しぶりに聞く荒川さんの声、懐かしい。

講演は配布された資料のウクライナを中心とするロシアの地図をもとに、ロシアの文豪の多くの生地がモスクワからウクライナ東部の都市・マウリポリまで、線状に並ぶ都市である、ということから始まった。なるほど資料を見ると、プーシキンはモスクワ、ゴーゴリはウクライナ・ボルタバ近郊、ツルゲーネフはオリョール、ドストエフスキー モスクワ、トルストイ トゥーラ、チェーホフ タガンログで、これらの都市は北から南に並んでいる。

荒川さんの「話芸」にすっかり魅せられた。面白く語る人だということはラジオ番組で知っていた。午後2時から4時まで、有意義な時を過ごした。紹介された短編小説の全てが実に優れた作品だと思ってしまった。で、ぜひ読んでみたい作品は次の通り。

シュトルム「みずうみ」岩波文庫、光文社古典新訳文庫
ブッツァーティ「七階」/『七人の使者・神を見た犬』岩波文庫
国木田独歩「画の悲み」(現在の表記「画の悲しみ」/『運命』岩波文庫
小林 勝「軍用露語教程」/『小林 勝作品集』第1巻 白川書院
佐多稲子「水」講談社文芸文庫
瀬戸内寂聴「南山」/『場所』新潮文庫(解説・荒川洋治)



講演会終了後に会場で荒川さんが編者・解説者の『昭和の名短篇』(中公文庫2021年)を買い求めた。上掲したリストの太文字表記した2編が収録されている。これは助かる。

『源氏物語』も読み続けたいし(いや、自分に課した義務だから読み続けなければならない)、他にも買い求めた小説、『あ・うん』向田邦子(文春文庫2006年第4刷)、『九紋龍 羽州ぼろ鳶組③』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第14刷)『鬼煙管 羽州ぼろ鳶組④』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第11刷)がある。

読む本、読みたい本があることはうれしいことだ。


*1 小泉今日子さんの講演に限り会場はレザンホール、コロナ対応で分からないが、定員はかなり多いと思う。



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