透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「さがしもの」

2022-04-18 | A 読書日記


いつものスタバ、いつもとは違う円卓で。そのわけは本のカバー装画にあり。

 何年か経って今年(2022年)を振り返る時、どんな年だけ? 何をした年だっけ? となるのはなんとも切ない。今年も来年も、その先ずっと毎年記憶に残るような年にしたいものだ。今年は『源氏物語』を読んだ年として記憶に残るようにしたいと思う。

『源氏物語』を読み始めた。デビュー作『幸福な遊戯』、直木賞受賞作『対岸の彼女』、中央公論文芸賞受賞作『八日目の蝉』・・・。現代語訳した角田光代の作品も読んでみようと先日『さがしもの』(新潮文庫2021年第26刷)と『マザコン』(集英社文庫2011年第3刷)を買い求めていた。

今日(18日)『さがしもの』を読んだ。表題作など本にまつわる短編を9編収録した短編集。

「旅する本」 古本屋に売った本(翻訳小説)と海外の古本屋で再会するという物語。

「彼と私の本棚」 アルバイト先でハナケンと知り合った私。 **ハナケンを自分のアパートに呼んだのはその二ヵ月後で、部屋にあがったハナケンはまず本棚に近づいて、うわ、と声を出した。なになに? とのぞきこむと、自分ちの本棚みたい、とつぶやいた。
実際、ハナケンのアパートの本棚は私の本棚みたいだった。さしこまれたほとんどの本に見覚えがあった。**(68頁)

ハナケンから好きな人ができたとうち明けられた私は別れることに・・・。**その人、本を読むの?**(72頁)とハナケンに訊く。 これ、分かるなぁ。

「さがしもの」 **「あんたがその本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」**入院しているおばあちゃんからこんなことを言われた私はあちこち本を探して歩くのだが・・・。印象に残る作品だった。

角田源氏は読みやすいけれど、この『さがしもの』も読みやすかった。


 


「帚木」

2022-04-18 | G 源氏物語

 読み始めた『源氏物語』を現代語訳した作家・角田光代さんはまっ先に読みやすさを考えたという。確かに読み始めてみて、読みやすいと感じる。

「帚木 雨の夜、男たちは女を語る」

光源氏17歳。五月雨の夜。頭中将が宮中にいる源氏を訪れる。ふたりは気の合う友だち。物忌みに謹慎するために左間頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)もやってくる。**二人とももの知りで、男女のことにも長けていて、しかも話がうまい。**(36、37頁)3人で恋愛談義。 ―「雨夜の品定め」。 角田さんは男女のことにも長けていてとさらりと訳している。

**まったく歯に衣着せぬもの言いで、耳をふさぎたくなる話も多いのだけれど・・・・・。**(37頁)原文にもあるのだろうが、これは角田さんの感想のようでもある。

3人の話を聞いていた光源氏、話に出ていた「中の品」と呼ばれる中流層の女性に興味を覚える。17歳の少年はすっかり刺激されたようで・・・。

翌日、方違えで源氏が訪ねた紀伊守の屋敷には紀伊守の父、伊予介の後妻、空蝉も来ていた。源氏は空蝉と強引に関係を結ぶ、そう強引に・・・。再び紀伊守の屋敷を訪れる。もちろん空蝉目当て。でも彼女は拒否、決して会おうとはしない。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋