透明タペストリー

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「カラダで感じる源氏物語」

2022-06-04 | G 源氏物語



 『カラダで感じる源氏物語』大塚ひかり(ちくま文庫2002年)を長野の権堂商店街の古書店の店先で見つけて購入した。善光寺御開帳で好い御縁に恵まれた。  長野から帰る電車の中で読み始め、昨日(3日)の夜に読み終えた。

大塚さんは源氏物語を現代語訳していて、今読んでいる角田光代訳の『源氏物語』の主要参考文献リストに与謝野晶子訳と共に載っている。大塚さんは源氏物語に関する著書が何冊もあるようだ。以前から名前は知っていたが、著書を読んだことはなかった。

この本を読んで驚いた。大塚さんの理解力、洞察力はすごい。小谷野 敦(比較文学者)さんが解説文に**その解釈には専門家のなかにも一目置いている人たちがいる。**(292頁)とし、**『源氏物語』などおそらく全文を諳んじているはずだし(後略)**(292頁)とまで書いている。大塚さんは当時の社会的、経済的背景を踏まえつつ源氏物語を自在に論じている。

なるほど、こういうことなのか・・・、既に読んだところの解説を読んで、何回かこう思った。くだけた文章で書かれているが、これは実に説得力のある「源氏物語論」だと思う。

第4章(最終章)「失われた体を求めて――平成の平安化」の第2節「感じる不幸」に「なぜ、浮舟がラストヒロインなのか」という論考がある。大塚さんはここで源氏物語を総括し、紫式部の真の目的は・・・! と的確に一文で括っている。(268頁)ここには敢えて引用しない。推理小説の犯人を挙げ、トリックを明かしてしまうようなものだ、と思うから。

この『カラダで感じる源氏物語』で予習ができた。さあ、『源氏物語』の中巻を読もう!


 



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