透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「夢浮橋」

2022-09-24 | G 源氏物語

「夢浮橋 二人の運命」

 薫は比叡山参詣の翌日、横川の僧都を訪ねた。そこで浮舟が助けられ、出家した経緯を聞いた。僧都は薫が浮舟に並々ならぬ想いを抱いていることを知る。

薫は浮舟の母がひどく恋しがって悲しんでいると伝え、案内を乞う。だが、僧都は**「あの方は姿を変えて尼となり、俗世を捨ててはいるけれど、髪や髭を剃った法師ですら、みだらな心を捨てきれぬ者もいるという。まして女の身ではどうだろう。かわいそうにも罪作りなことにならないといいが」とほとほと困って考えている。**(579頁)で、いずれ伝えるとだけ答えた。薫は連れてきた浮舟の弟の小君を紹介し、**「この子に言付けて、とりあえず女君に私のことをそれとなく伝えてください」**(580頁)と言う。で、僧都は手紙を書いて小君に渡した。

山を下る松明の光列を小野の家の浮舟も目にした。**「月日が過ぎていってもこうして昔のことが忘れられずにいるけれど、今さらどうなるものでもない」**(581頁)と浮舟。

翌日、薫は小君に**「(前略)お前が行って様子を見て来てくれ。母君にはまだそのことは言わないように。(後略)」と言い聞かせて使いに出した。だが、浮舟は小君に会わなかった。小君が携えていた薫の手紙も受け取ろうとはしなかった。**「わざわざ私をお遣わしになったのに、なんとご報告すればよいのでしょうか。一言だけでもお返事をいただけませんか」**(588頁)という小君の言葉を妹の尼君が浮舟に伝えても、なにも言わなかった。

小君の報告に薫は気持ちが萎えて、**「だれかほかの男がひそかにかくまっているのではないか」**(589頁)と疑うのだった・・・。俗な薫、高貴な浮舟。

紫式部は対照的に二人を描いて、長大な物語を終わらせた・・・。

「源氏物語」読了!


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔 
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋 



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