■ 火の見櫓の型は柱(脚)の本数と屋根、見張り台の平面形によって分類するのが有効だ。火の見櫓好きな人は大概この考え方で分類している。私はこの分類法で、例えば柱(脚)が4本、屋根の平面形が八角形、見張り台の平面形が円形なら「4柱8〇型」というように表記している。しばらく前までは「4脚8〇型」としていたが、最近このように改めた。柱が1本の場合は火の見柱、2本の場合は火の見梯子と呼び、柱が3本、4本の櫓型とは区別する。長野県の火の見櫓の型の分布状況を調べたところ、地域によって型の偏在が顕著であることが分かった(過去ログ)。
脚の型にも地域性があることに以前から気が付いていた。昨日(22日)から調べ始めた。やはり地域によって型の分布に大きな差があることが分かった。
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上田市真田町
東信地域は櫓の型は4柱4〇型(写真左)が最も多く7割近くを占めている。脚の型は右のような型が多い。アーチ状の副材を柱材に沿わせて脚下端まで伸ばしている。上田市の場合この型が8割を超えている(33/40 1本柱、2本柱は除外 櫓型のみ計上)。東信全域がこの傾向だろう。北信地域はまだ調べていないが、東信地域と同様の傾向がみられると思われる。
茅野市宮川
南信地域は櫓の型は4柱44型(写真左)が最も多く7割近くを占めている。東信とは見張り台の形が違う。脚の型は右のような型が多い。柱材と副材、短材でトラス脚を構成して脚下端まで伸ばしている。茅野市の場合この型が6割近くを占めている(52/87 1本柱、2本柱は除外 櫓型のみ計上)。いままで観察してきた印象から南信全域がこの傾向だと思われる。
安曇野市堀金
松本市今井
中信地域の櫓の型は3柱66型(写真下左)が最も多く4割近くを占めている。脚の型についてはまだ集計していないが、アーチ状の副材を脚の上部に入れ、下は柱単材という型と、柱材と副柱と短材でトラスを組むか、柱材と副材のみという型が多いと思われる。
火の見櫓の型には地域性があり、長野県内4地域で分布に大きな違いがあることが分かったが、脚の型も地域によって違いがあることが分かった。脚の型の分類は櫓の型の分類のように明快にはできないが、それぞれ名前を付けて分類したい。火の見櫓観察の基本はタイポロジー、型の分類だから。長野県内の火の見櫓の脚の型の分布傾向をまとめたい。火の見櫓はおもしろい。