4年ほど前あたりから 〔復 旧〕 のことの出題が 多くなっている感を覚えます
以前は さほどでなかったように思えるのですが ?
昨年度も出題されています
マサカ 今年も連続 は マズ 考えられない などと 誰が断言できましょうか・・
出題者の方も 人間
それぞれの個性をお持ちで 分野によっては何らかの思い入れ なども
あったりするかも ??
試験委員のメンバー構成などは 受験者の方にとっては 周知の事実というところ
かもしれませんが 受け持ち担当範囲が変わる ということなども影響しているのかも ?
などと 勝手な想像は ナンノ価値もないことかもしれませんね
トニカク 学習しておくべき範囲であることは確かな処ですから
さて 関連問題が出るかもしれないので それこそ念のための過去問題
2017年度(平成29年度)
〔問 9〕 議決権及び共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者か
らなる甲マンションにおいて、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅
失したために、集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決
権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた
(決議では、A、B及びCは決議に賛成し、Dは決議に賛成しなかった)。
この場合の区分所有者の買取請求権行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規
定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から2週間以内に買取指
定者の指定がなされなかったものとする。
1 DがAに対して買取請求権を行使し、裁判所がAの請求によってAの代金支
払についての期限の許与を認めた場合には、Aの代金支払義務とDの所有権移
転登記及び引渡しの義務は、同時履行の関係に立つ。
2 DがBに対して買取請求をした場合におけるBからCに対する再買取請求
は、復旧決議の日から2月以内にしなければならない。
3 DがCに対して買取請求をし、CがA及びBに対して再買取請求をしたとき
には、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ず
つ取得する。
4 地震による甲マンションの一部滅失によって、Dの専有部分が失われている
場合には、Dは、買取請求権を行使することはできない。
つまるところ これも条文を知らないと どうにもならない問題だ と言えるでしょう
裏返すと 条文にあっていたなら ナントカナッタ ということです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※ 条文に省略部分アリ
1 について
・・・集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決
権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた・・・
ということですから 第5項の決議があったということ
なので 第7項 の場合
ということは第13項を適用できる場合
なので償還金又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。
期限を許与することができるなら買取請求をした者が先に履行することになり 相手が
履行するまでこちらも履行しないでいても責めは負わない とはならないので 同時履
行の関係に立たない ということになる
61条
13 第二項、第七項、第八項及び前項の場合には、裁判所は、償還若しくは買取りの請
求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務
について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当
の期限を許与することができる。
2 について
DからBに対する買取請求があった日から2月以内にする必要がある
7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次
項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条におい
て「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建
物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場
合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛
成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定
める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求す
ることができる。
3 について
買取請求を受けた決議賛成者は 他の決議賛成者の全部又は一部に対して 再買取請求
できる
7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次
項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条におい
て「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建
物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場
合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛
成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定
める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求す
ることができる。
設問では
復旧決議が成立しているので Dは他の3名に買取請求の行使ができるし その1人また
は2人に対しての行使もできる
DがCに行使した場合は その行使の日から2ヵ月以内に 再買取請求ができるCは D
の権利を 共有持分の割合で Aに対し または A・Bに対し 買取を請求できる
< CがAに対して再買取請求をした場合 CはDからの買取請求の日から2ヵ月以内で
あれば その後Bに対して再買取請求をすることもできる(A・Bに対して同時でなくと
も順次に再買取請求することも可) >
Dを除いて算定されることになるA・B・Cの区分所有法14条に定める割合(共用部分
の持分割合)は3分の1ずつとなるので A・B・CはDの持つ建物及びその敷地に関す
る権利を3分の1ずつ得る(設問に 議決権及び共用部分の持分割合が等しい とある)
4 について
専有部分を失ったとしても 共用部分の共有持分 ・ 敷地利用権 を持っていると解さ
れるので それらについて買取請求権の行使ができる
7 第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次
項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条におい
て「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建
物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
ということで 正しいものは 3 です
区分所有法における復旧は 61条 の 一個の条文 です
ポイントを 色づけしてみますので よかったら 参照してください
建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した
共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復
旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、
この限りでない。
額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
議をすることができる。
※ 普通決議で可
復旧は区分所有者全員(反対者も含む・46条)が団体として行う
19条により区分所有者全員が費用を負担する
各区分者は費用の支払につき期限の許与の請求はできない
区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議
をすることができる。
が二分の一を超える(大規模一部滅失)の場合のこと
載し、又は記録しなければならない。
項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条におい
て「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建
物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場
合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛
成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定
める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求す
ることができる。
の敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下
この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対し
て書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前
項前段に規定する請求をすることができる。
※買取指定者は複数の者でもよく
区分所有者以外の者を指定でも可
法人を指定でも可
部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び
第十三項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。
ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した
ときは、この限りでない。
定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。
過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない。
条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対
し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
が無いので 復旧決議が成立しない限り各区分所有者は
対等の立場で相互に買取請求権の行使ができると解され
復旧の決議が成立の場合とは異なり この場面では決議
に賛成の者の買取請求権行使も可能となる
求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者又は第九項本文に規定する債務
について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金又は代金の支払につき相当
の期限を許与することができる。
費用の支払について 期限の許与の請求は認められていない)
さらに
以下も記しておきます
各区分所有者は 滅失した自己専有部分の復旧をすることができます
【小規模復旧(建物の価格の二分の一以下に相当する部分の滅失)
と
大規模復旧(建物の価格の二分の一を超える部分の滅失)
における相違する点のポイントについて】
※ 共用部分の滅失なのか専有部分の滅失なのかは問われません
〔滅失部分につき 共用部分と専有部分の比率は問われません〕
・後者では 特別決議が必要となる
・後者では 集会の議事録に賛否の記載・記録を要する
・後者では 復旧前と構造・用途が異なるものでも可
・後者では 集会決議によらない各区分所有者による復旧はできないと解される
・後者では 法の規定と異なる規約を定めること(別段の定め)は許されない
・後者では 復旧決議後 反対者等に買取請求権が認められる
・後者では 復旧・建替え のいずれの決議もなされない場合の買取請求が認められる