携帯電話の基地局設置として利用するためのアンテナ・通信機等設置のために マンション
屋上について(あるいは その一部)の賃貸借契約を為し 使用させてもいいものかどうか
この関係の裁判があり
地裁では
「 本来共用部分は 区分所有者の共同の利益のために設置されているものであり 第三者
に賃貸することは本来の目的に従うものとは言い難い 」
という考えなどから 使用を許すには 「 区分所有者の全員の合意が必要 」 と いうことなどの
判決がありました (平成20年5月)
が 高裁では
「 全員の合意までは不要で 決議も総会普通決議で可 」という判断が そのマンションについては
なされました
(平成21年2月) 10年ばかり前 と表現できそうな 裁判所の判断でした
<この 10年ばかり前 という言葉から “ つい最近のことですね ” “そんなに以前のことなの
ですか” と
どちらの感慨を持つか マンション管理組合員さんの反応は実に サマザマ なのですが・・・>
争いの内容として
管理組合として可能な管理行為としての賃貸借とは ・ 民法の602条の短期賃貸借のこと・
民法特別法としての区分所有法の性質のこと ・ 共用部分の形状又は効用の著しい変更の捉え
方のこと
など 解決に必要となるイロイロな整理すべき点について 論争されたのでした
現行の≪標準管理規約≫における関連条文としては 次のものがあるといえます
: 単棟式 : 省略アリ
(敷地及び共用部分等の第三者の使用)
第16条 管理組合は、次に掲げる敷地及び共用部分等の一部を、それぞれ
当該各号に掲げる者に使用させることができる。
一 管理事務室、管理用倉庫、機械室その他対象物件の管理の執行上必要
な施設 管理事務(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成
12年法律第149号。以下「適正化法」という。)第2条第六号の「管理事務」
をいう。)を受託し、又は請け負った者
二 電気室 対象物件に電気を供給する設備を維持し、及び運用する事業者
三 ガスガバナー 当該設備を維持し、及び運用する事業者
2 前項に掲げるもののほか、管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共
用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に
使用させることができる。
(総会の会議及び議事)
第47条
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合
員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな
いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ
く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
コメント
第16条関係
① 有償か無償かの区別、有償の場合の使用料の額等について使用条件で明
らかにすることとする。
② 第2項の対象となるのは、広告塔、看板等である。
私的自治団体であるマンション管理組合の憲法ともいうべき≪管理規約≫ は
当然のごとく 裁判所の判断の規準として 区分所有法などとともに この裁判におい
ても 判断の要として働きました
お住まいのマンションの規約は このあたりのこと どのような文言になっていますか ?
そもそも そのあたりの条項が設けられていない管理組合も 散見されたりするのですが・・・
携帯電話会社等から打診があると
おそらく サマザマな議論が沸騰することでしょう・・・か ?
屋上に限らず 管理対象となっている箇所について起こりうる問題です
電磁波による健康への影響のニュースのことの意見
賃貸料発生で営利行為として収入を得 税務面での配慮が必要になるだろうことも
などなど 組合執行部は シッカリと対応し 当初から 賛成ありき あるいは反対ありき
の行動などを慎み
禍根が残ってしまい 組合員間亀裂などを生んではいけないこと 当然です が・・・
ということで 基地局に限らず 広く 第三者利用の是非の相談も アレコレあったりします
(当地及び周辺地方では今のところ さほどの件数ではありません ? が
電波帯のさらなる有効利用・5G基地局などの 公も推進するような施策に
関した動きも継続していくでしょうし それぞれの課題であることは確かとも
いえそうなので 相談に対応できるよう 動向に マンション管理士としての
注視はしております
それにしても 通信分野の技術力競争もスゴイものがありますね[粗末な
専門知識しか持ち合わせないので 残念ながら技術面の開発競争の内容
などには トテモトテモ ついていけませんが]
国単位の熾烈な競争でもあるようですね)