おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

一体性の原則のこと

2023-07-16 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

 

学習上 どの分野でも < ナゼ > は とてもタイセツな キーワードですね)

前回の続きになりますが 質問が多いところですので 以前にも何度か記していること
あたりですが
参考になさってみてください

 

分離処分がなされて区分建物の所有者と敷地利用者が別人であったりすると 敷地の
管理に関するルールを定めてもそれを区分所有者ではない敷地の権利者には及ぼすこと
ができない とか 管理上の不都合が生じます

法律的には 建物と敷地の権利者が異なるのですから 複雑な関係の処理に困ったり
不動産登記上においても常に建物・土地別々に処理せねばならなかったり(敷地権関係
登記のような効率ある利便な制度を利用できなくなる)します

一体性の原則(分離処分禁止の原則)の下での 特に不動産登記法上のサマザマな解釈に
悩む(仕組みの原則 と 例外 というあたり)のが 多くの学習者なのでしょうね
(出題数は極めて少ないのに 質問が多くあるところです 奥が深く自身も永年学習者
 の一人ですが)

例えば 不動産登記法73条のことなども 一体性の原則(分離処分禁止の原則) の
理解のための あるいは理解してもらおうとしているような条文でもある と 解する
ことができそうな・・・ 

 




(敷地権付き区分建物に関する登記等)
第七十三条 

敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。
以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権で
ある旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない

 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する
敷地権の登記をしたに登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当
該敷地権が生ずるに生じたもの

 

 は どのような理由で ・・・この限りでない。 とされるのでしょうか ?
〔・・・この限りでない。 ということは 敷地権である旨の登記をした土地の敷地権
 についてされた登記としての効力を有しないということ 
 つまり 建物のみに効力を有する ということ と解されるのですが〕

敷地権発生に登記原因が生じた所有権に係る仮登記(本登記する際のための順位を

保全するためのもので 所有権登記そのものでは モチロンない)については 敷地

権の登記後に登記することを認めても 建物と敷地とを一体的に公示する方法と直ちに

矛盾してしまう というようなことでもないと理解することが可能だし 登記順位の

保全の必要性もある

そこで 敷地権発生に登記原因が生じた所有権に係る仮登記は 建物についてのみ

効力がある登記として認められている
(敷地権についてされた登記としての効力は有しないが)

 




 


敷地権付き区分建物に関する登記
第七十三条 
 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権
の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることがで
きない。
ただし当該建物の敷地権が生じたにその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の
場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを
目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が
生ずるにその登記原因が生じたものは、この限りでない。


敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権
の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることがで
きない。
と ただし書きの前にあり 原則 が述べられている

では ただし書きにて例外的なことが認められているのは どのような理由でだろうか?

 

[敷地権の表示の登記がされる前の登記申請人の意思をできる限り尊重するため] 

ということが理由とされると考えられている


(分離処分の無効の主張の制限)
第二十三条 
前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有
部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することがで
きない。
ただし、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離し
て処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その
処分がされたときは、この限りでない。

 ※ 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止を それを知らない善意の第三者に対抗する
   には 敷地権の登記を要するとしている(区分所有法 23)


 

土地と建物を分離して所有権移転登記は ダメ 

だけれども 建物のみの所有権についての 仮登記(所有権本登記ではなくて)であって 

当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものなら 許す(所有権移転登記は

受け付けられないが 仮登記という一歩手前ともいうべきものなら受け付けるよ という

こと)                当該建物のみの所有権についての仮登記

 

建物のみを目的とする質権もしくは抵当権に係る権利に関する登記であって 当該建物

の敷地権が生ずる前にその原因が生じたものなら 担保の設定までなら 登記申請を受

け付ける ということ
      当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記

 

例えば 
敷地権の登記が ある年の3月1日にされた場合 2月までに登記原因の発生

した建物のみの所有権仮登記や 抵当権・質権の登記は登記申請を受理しますよ

ということ で 登記申請を予定していた者の意思を尊重している仕組み と理解

されます

 

 

 

それでは
土地のみの登記がされる場合

つまり 
敷地権たる旨の登記がされた土地についてのみ 登記をすることができるのは そのケース
とは ?
ということに関する理由も 考え方の基本は上に記した 建物のみのケースに類似している


 
(敷地権付き区分建物に関する登記等)
第七十三条 
 
第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は
敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。
ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止
の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に
関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、こ
の限りでない。

:敷地権たる旨の登記がされる前の申請人の意思を尊重するケース

  ・敷地権についての仮登記であって 当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因

   が生じたもの(2項後段)  ⇔  仮登記までなら 登記申請を許す という趣旨

  ・敷地権についての質権もしくは抵当権に係る権利に関する登記であって 土地が敷地

   権の目的となる前にその登記原因が生じたもの(2項後段) ⇔ 担保の設定までな

   ら許す という趣旨

 

 



73条に関して そのほかのケースで
 (敷地権の表示の登記がされた後であっても
  建物のみ あるいは 土地のみの登記が受け付けられるということ)
  は ないのだろうか?

建物にしか効力のない物権変動 というものもあるので そのような場合は建物のみに登記
 できる(というか 建物だけにしか登記できない)

  賃借権の登記(73条3項には賃借権登場なし)
  専有部所有者が貸し出すのは 「建物だけ」 敷地は貸し出すわけではない

敷地権が賃借権であるときの抵当権設定登記も分離処分は禁止されない
 [抵当権を債権に設定することはできない]  建物のほうだけに設定することになる

などなど

ソモソモ 分離処分に関することではない というか ソモソモ 一緒に処分されるべきとか
の配慮等が必要とされるような関係にあるものではない というか 

 

 

 

 

 

最後になりますが・・・

不動産登記法 73条1項 号 の文言は

全部 【 敷地権付き区分建物についての 】という言葉でスタートしています

そんなこと あたりまえだろう と言われそうですが・・・
そんなことも 以前は <ナゼ> と考えてしまっていました



ということで 不動産登記法73条の 敷地権関係登記の <ナゼ> の一部に

ついて 概ねを記してみたりしました が 条文をミッチリ眺めて 場面の利害関係

を 想像しながら 時点時点で なにを問題としているのか(なにを理解しようとし
ているのかハッキリ意識しながら) 

その過程での <ナゼ> をできる限りタイセツにしながら 問題に再度あたりなが

ら 

コツコツ こなしていくのがベター 

というか そうするしかないの

では ・・・と考えています

 

 

体調に お気をつけられますよう・・・