おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

むごい

2011-06-29 | ■ 業 務 エ ッ セ イ


破産とは という質問を受けることもあります

破産に関して 免責という制度があり
自己破産の大きな目的は この免責を受けることにあります


免責許可決定を受けると
破産者は 原則として破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れる(破産法253条1項)

この 「責任を免れる」という意味については 
破産者の債務が強制執行できない 自然債務というものになると解されているようです
要は 強制執行から逃れられるようになる

ところが 免責許可決定の効果は 
破産者の保証人
物上保証人(担保提供している人や法人さん)
等には及ばない(同 2項)
当人は強制執行されないのに 保証人は執行を受ける

その理由
保証や物上保証という制度は そもそも 債務者の資力が危うくなったときの予防のためなのだから
危うくなったときに働いてくれない制度では
意味が無い 
というもの

つまり 破産債権者は保証人等に対して 免責された破産債権についている保証債務の履行をせまることができる

問題は 保証人等の破産者に対する求償権(他人の借金を何とか工面した人が 当の本人に請求すること)は
免責許可決定の効果を受けてしまう
(つまり 強制的には返してもらえないこと)

そのうえ 保証人は破産債権について消滅時効を援用することもできない
その理由が またまた 保証人泣かせの次のようなもの

その債権について 時効の起算点(スタート時点)である「権利を行使することができる時」というものを想定することができない

つまり 消滅時効とは 権利を行使できるのにしないでいるからその権利が消滅するという制度なのだけれど そもそも権利を行使できる時点を観念することができないので・・・ 
別な言い方をすると 消え始まる点を何時にしていいのかわからない
というのです

というようなわけで
もともとは自分の借金じゃないのに債権者からは逃れられず
どうにかこうにか苦労して払ったとしても 
もともとのホンモノ借金者さんからは 
返してもらえるあてもない


まったくのところ 保証人地獄 そのもの


相談を受けながら 考え込んでしまう制度では ありました

書類を作成しながら 
それに関連した法務相談での出来事を題材にしたものです

というわけで 本日は ややカタイ話 の巻




遠い昔の話ですが
ある友に 緊急に保証人になってもらったことがありました
本州に越してきたばかりで近隣に知人も無く
手続上 保証人は必須ということで
やむを得ず 頼んでしまった
気苦労をかけてしまった

お礼に
温泉宿で 一献さし向けさせてもらったりしたけど
彼の家族も さぞや 心配だったことだろうと
今も おおいに反省している

軽い気持ちでは 決して受けず
また
依頼しないこと につきる という
保証にまつわる お話 でした


極く 簡潔に記しました
詳細は省きました