昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(243)ものづくり日本

2013-07-14 03:45:21 | なるほどと思う日々
日本の家電メーカーの業績低迷が問題視されている。
 シャープや、日本家電業界のシンボルみたいなパナソニックでさえ、韓国企業に打ち負かされている。
 製造コストが云々されているが、問題はそれだけじゃないんじゃないの?
 韓国にはキムチ用冷蔵庫があるという。
 
 LEDが話題となった当初、ウチでも従来のを代えようと買いに行ったら、フード付きの卓上ライトに合うのがない。ソケットの長さが足りないのだ。
 最近アイリスオーヤマがいろいろな形状のものを出してきて、やっと間に合うのが見つかったが。
 
 
要するにお客のニーズに応える努力が足りなかったのだ。
 積んどくばかりで読んでなかった雑誌を整理していたら、なるほど!という記事が目に飛び込んできた!
 今や<第三の産業革命>の時代に入っているというのだ。

 新素材・3Dプリンター・ロボット・デジタル化により、製造業の工場は大量生産から移行し、多様な個人の需要に応じるカスタム製品の量産を可能にする。近い将来、工場は無人に近くなります。
 そうなると日本のような先進国の製造業の価値源泉は変貌を遂げます。
 工場・機械・設備の価値は相対的に下落し、企業力・開発力・ノウハウの役割が拡大します。 製造業の価値の源泉が物的資源から人的資源へと大きくシフトすることになるのです。

 例えば、アップル製品は中国製ではないか、中国を儲けさせているのではないかという批判が聞かれます。
 ところが価格499ドルのうち製造人件費は33ドルで、残りの大半は企画・製品開発費やデザイン費、あるいはサービスに対する支払いとしてアメリカに落ちている計算になるのです。
 また、太陽光発電が普及しても、太陽光パネルは安価な中国製に席巻されて儲かるのは中国ではという批判もありますが、実際のコストのうち4割近くは、地元企業の工事サービスの代金であり、2割は直交変換装置の日本企業に対する受注生産代金になるのです。

 <スマイルカーブ>という現象があります。
 
 ものづくりのプロセスにおいて収益性が高いのは、川上に位置する商品企画・開発の部分と、川下に位置するメンテナンスや顧客サービスの部分であって、中間に位置する製造工程は、時間の経過とともに収益性が低くなることを示したものです。

 さらに、この論文では、<イノベーションを起す『場』>に触れている。
 持続的にイノベーションを起していくには、個人と個人が集まって、化学反応を起こす『場』が必要です。
 製品開発に限らず、創造的な企画の分野を見ると、1人のひとが生んだものはないと言っていい。ファッションブランド<コム・デ・ギャルソン>の川久保玲氏にしろ、建築家の伊東豊雄氏にしろ、その役割は、最初に石を湖に投げ込んで波紋を起こすことにある。伊東氏は言う。「1人で考えるのではなく、みんなで考える。いかに変わっていくか、その変わっていくプロセスが面白い。コミュニケーションの瞬間に何かヒントをつかんでいく・・・」

 「個人ではやれることに限界がある。何が限界かというと、お金ではなくて人なんです」
 事業を立ち上げ拡張するには、その段階、段階に応じて、必要な人材が発生します。法律、財務、人事とぱっと浮かぶスキルだけではなく、人を引き込むのが得意な人、内部が崩壊しないように糊代をつくるのが得意な人といったように、必要な人材はありとあらゆるレベルに及びます。
 実はこの人材の束、ワンセットの<チーム>が潜在的に社内に存在していることが、日本のものづくり・サービス企業が新たな展開を遂げる上での、財産・強みになるのです。

 (新原浩朗・ものづくり「第三の産業革命」が起こる、より)