昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(156)他人を思いやる日本人の心は失せていない

2013-03-03 06:02:15 | エッセイ
 昨日街で見かけた<うれしかったこと>3景

 (1)<スーパーのレジで>
 
 スーパーで買い物をしてレジを済ませたが、一つ買い忘れに気づき買って再度レジの行列に付く。
 自分の前のおばさんが大量の買い物をカウンターに上げたが、ぼくに気づき「あなた、それだけですか? わたし多いからお先にどうぞ」と順番を譲ってくれた。
 
 (2)<バスの中で>
 
 若い夫婦が3歳ぐらいの女の子とバギーに乗った赤ちゃんを連れて乗り込んできた。
「わたしは次で降りるからどうぞ・・・」
 シルバーシートのおばあさんが席を譲ってくれた。
「すいません、いいんですか?」若いお母さんは子どもと赤ちゃんを座らせる。
「どうもありがとう!」
 女の子が元気にお礼を言う。
「まあ、しっかりしたお子さんですね。じょうずにお礼が言えておりこうさん!」
 席を譲ったおばあさんもうれしそう。
「行ってらっしゃい!」
 次の駅で手を振って降りて行ったおばあさんに、女の子はしっかり声をかけていた。

 (3)<電車の中で>
 
 気がついたら中年の大柄な男が二人分の座席を占拠して正体もなく寝込んでいる。
 隣の女性は気にすることなく携帯に見入っている。
 次の駅で携帯の女性は席を立ち、何事もなかったように降りて行った。
 続いてたくさんの乗客が降りた。
 最後に下りようとしたスマートな若い女性が、男に手を掛けて、だいじょうぶですか、というようにゆすっていたが、ドアが閉まりそうになってあわてて降りて行ったが、他の多くの人たちが知らんぷりする中、姿ばかりでなく格好いい女性だと思った。
 そのうち元警察官みたいなトレンチコートの男が、男に起きるように促し始めた。
 近づいてきた若い男に、「耳が赤いから大丈夫だとは思うが、身じろぎもしないのはちょっと心配だな。車掌に言ってやったら?」
 若い男は元警察官?の指示に従って後ろの車両へと走って行った。
「一応伝えておきました」
 戻ってきた若い男が報告したが、「次は・・・」と場内アナウンスしている車掌はやってくる気配はない。
 次の駅で外へ出た若い男は「車掌さん、ここです!」と叫んだが、さらに二つ駅が過ぎたが車掌さんの対応はない。
 依然として全く動かない男を前に憮然としている男二人。
 三つ目の大きな駅について、ドアの外に駅員が現れ、乗り込んできた。
 駅員が揺さぶったり声をかけるが微動だにしない。
 二人の男の力を借りて駅員はその男をプラットフォームにかかえて下ろした。
 壁の所に寄りかかって座ったから、取りあえずその男は緊急事態ではないようだ。
 単なる酔っ払いかもしれない。
 その後が気になったが、電車は介助した二人の男を残して何もなかったかのように出発した。

 テレビで日本人の親切度は世界で何番目?という番組を思い出した。
 
 子どもが木に引っかけた風船に何人が気づき、助けてやるだろうか?という実験で、今回はオーストラリアに続いて2番目だった。前回はトップだったそうだが。
 
 他人を思いやる心はまだまだ日本人の心の中に生きている。