昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(239)藤森会紀念講演・岸井成格氏

2013-04-28 06:12:37 | なるほどと思う日々
 2008年6月に慶應義塾大学商学部藤森三男名誉教授の三鷹のご自宅に三田会同窓生が集まって始まった藤森サロンが50回目を迎えた。
 それを紀念して、今回は会場を慶応義塾大学三田キャンパスの南校舎445号室で毎日新聞社の特別編集委員岸井成格氏をお迎えしての講演会が行われた。
 会場は藤森サロン及び、大学の藤森研究会からの90名で満杯だった。
 
 

 早くに会場に着いた小生は幸いにも岸井氏の隣に席を占め、始まる前のひと時その謦咳に接することができた。
 氏は最近毎日新聞社主筆からTBSテレビNEWS23のアンカーにかわられたばかりだったので、下世話話の好きな小生は膳場貴子キャスターのことなど訊いてみたりしたが、気さくに応じて下さった。
 関口宏のサンデーモーニングのコメンテーターをやっている氏を毎週拝見しているが、画面で見る通りの優しく、親しみのもてるお人柄だった。

 講演が始まると、1時間30分与えられた時間を目いっぱい、熱弁を振るわれた。さすがマスコミ界に長年身を置いてこられただけあって、裏話も含めて内容は豊富で、迫力もあり惹きつけられた。
 開口一番、今日本が、世界が、そして人類文明が岐路に立たされているという言葉からはじまった。 
 
 順調に滑りだした安倍政権ではあるが、早速、靖国問題で中国、韓国から外交に懸念を生じるケチをつけられる事態が生じた。
 氏によれば、日本の政治家は彼らの歴史認識問題に意を払わねばならないという。
 つまり、明治初期、突如世界史に登場した東洋の小国があれよあれよという間に西欧型近代国家に変身し、のみならず世界の大国ロシアを撃破、歴史ある大国中国を蹂躙し、韓国を植民地化したという事実、しかも調子に乗って引き起した戦争に負けたのに、またぞろ経済大国にのしあがってきた日本に、我々の思いも及ばない恨み骨髄の屈折した感情を彼らが抱いていることに思いを馳せなければならないというのだ。

 だから竹島にしても、尖閣にしても、歴史的にも法的にも疑いもなく日本のものなのだが、彼らにしてみれば、敗戦国の身分で何を言うか!という気分なのだ。
 つまり正しい事と外交は別問題だというのが現実の人間世界なのだということ知らねばならない。
 そして話しは文明の転換期における戦争問題に移る。
 今や第二の戦争としてテロの多様化がある。
 ボストン事件ではホームグローンテロという言葉が生まれた。
 第三の戦争はサイバー攻撃である。
 韓国に北朝鮮から仕掛けられたのではというニュースがあったが、イスラエルからイランにアメリカから北朝鮮に仕掛けることが出来るという話もある。
 しかし、これは不毛の戦争に誘導する恐れもある。
 第四の戦争はパンデミック(感染爆発)である。
 ウイルスと言えども人類に抗ってくるのだ。

 人類はどこへ向かっているのか?という問題に関心のある小生は今、「レロレロ姫の警告」というファンタジー小説を書いている。

 さらに氏は歴史の転換期、12年周期説を唱える。
 今年は干支で言えば<みずのとのへび>である。脱皮する年であるというわけだ。
 12年前に9.11事件。
 さらにその前はベルリンの壁崩壊。
 そしてその前には日本の主権回復があった。

 今年は強運の持ち主という安倍総理の登場。
 家族のみならず、身内のすべてが反対したにも関わらず彼は決断した。
 決断が運を呼び込むという。

 これからの我が国の課題は、
 1に経済再生。
 2に復興。3.11からの復興。新エネルギー政策。メタンハイドレートなど、海洋資源開発。そして道州制、首都機能移転などの国の組織替え。
 九州では既に知事が結束して文字通り九州成立に向けてことは進展しているという。
 3に危機管理。北朝鮮のミサイルに対する防衛、領土問題など。

 そして最後に環境問題に触れられた。
 ちなみに<環境庁>の名づけ親は岸井氏だそうだ。
 今、日本の森、土壌が弱っている。
 特に京都、滋賀県の土壌が最悪だそうだ。PM2.5が集まるところで土壌が汚染されているそうだ。

 ほかにもいろいろ話されたが、小生の記憶力の限界です。スイマセン。

 岸井氏の後行われた藤森先生の「家元経営のすすめ」、これがまた興味津々だった。
 お茶、生け花、能、舞踊などの名取制度があるが、世界を見渡すと、規格を定め、他の規格は認めないという「家元制度」みたいなのがいっぱいある。
 世界で人気の秋田犬(最近プーチン大統領にプレセントされた)に交配種の<アキタス>という新種がイギリスで協会までできて、欧米で人気が出ているという。しかし本家の秋田犬はそこから排除されているのだ。
 ISO規格はもとは日本のQCのパクリだが、今や世界を席巻している。
 JUDOも日本古来の柔道とは様変わりしている。
 今話題のTPPも。メンバーに入らないと排除するとて脅しをかけている排他的クラブだ。
 (日本はその中で家元になれるか?)

 今、サンデーモーニングが始まったところです。
 早速靖国問題を取り上げています。
 日本のマスコミとしてはこれを私的問題として扱い、中國、韓国の外交的戦略に利することがないようにすべきだと思うが。
 涌井さんのみ、傾聴すべきところかあるかなと思った。
 戦後半世紀以上たっているのだから、マスコミもそろそろ自虐的立場から自立して、少なくとも外交的には国益に立脚してほしい。