昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(66)芸能・スポーツ(15)

2010-10-27 05:30:34 | 昭和のマロの考察
 スポーツは<勝負事>という一面も持っている。
 ぼくは<勝負事>が好きで、ゴルフも勝負事として立ち向かうことがある。
 しかし、どちらかというと相手と闘うというより、自分との闘いと捉えている。
 自分の気の持ち方で勝負が左右される場合が多いからだ。

 その意味で麻雀とか囲碁などの<勝負事>は頭脳のみならず神経を駆使するスポーツだと思っている。

 その日、ぼくは誘われて自宅から1時間半かかる大先輩Aさんの事務所へ出かけた。
 御歳86歳の大学の大先輩である。麻雀が大好きで同窓会仲間の麻雀大会でも毎月定期的にご一緒している。その他にプライベートで週に1回か2回されていると言う。
 普通は雀荘だが、Aさんは東京の事務所に自動麻雀卓を持っていて、そこによく招待される。

 この日も勢い込んで乗り込んだが出鼻をくじかれ、2回目も冴えなかった。最後の親も誰かに積もられ、支払いの際、Aさんから貸した点棒を返せと言われ、借りていた百点を返した。ところがAさんは即座に「違うよ!千点だよ!」と言った。
 彼は負けていたから不機嫌な声で言った。
「いや、借りは百点ですよ」ぼくも負けているので不機嫌に反論した。

「冗談じゃない、千点貸したじゃないか!」大先輩は声を荒げた。
 別な勝っている先輩Bさんが「百点で間違いないよ」と助け舟を出してくれたががAさんの怒りは収まらない。
「そんな細かいことでごたごたしてもしょうがない。千点上げますよ」売り言葉に買い言葉で、大先輩に対するあるまじき言葉でぼくは千点渡した。
 ともかくゲームは再開されたが、Aさんはぼくの言葉に切れていた。

「じゃあ、やめようか、返すよ」と先点棒を放ってよこした。
 一瞬ぼくの心に・・・やめましょう・・・という返す言葉が浮かんだ。ここがぼくの未熟なところだ。もしそう言ってしまったら、Aさんと麻雀することはおろか、これまでの信頼関係が一気に崩れ去る。ぼくは踏みとどまった。
「当然の権利としていただいておきます」と千点棒を自分の引き出しに収めた。

「もう、これからいっさい点棒の貸し借りはやめましょう」もうひとりの同輩Cさんが発言し、「いつもこれでトラブルからね」とB先輩がフォローした。
 それでもまだ冷たい空気が漂っていた。
 しかし、Aさんがリーチをかけ、一発ツモで三色のカンチャンを、しかもドラを引いた。親のハネ満だ。途端にAさんの機嫌は直り、ぼくはドンビリに沈んだ。

 ─続く─