昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(51)外交(7)

2010-10-10 06:25:02 | 昭和のマロの考察
 ノーベル平和賞選考委員会の所属するノルウエーに対する中国の再三の恫喝に屈することなく、ノルウエーは中国の獄中作家に平和賞を授与することで世論を押し通した。
 受賞したリュウ氏がどういう人かどういう方かよく知らないが、「共産党一党独裁は国民にとってよくない」と権力に抵抗する姿勢が平和活動家として評価されたのだろう。
 
 <尖閣諸島問題>で炙りだされた全体主義国家中国の本性がここでも露呈された。
 
 尖閣諸島沖で中国漁船を日本の海上保安庁が拿捕、船長逮捕したことにより、日本は中国側の矢継ぎ早な反撃を蒙ることになった。
 真夜中に在中日本大使を呼び出し直ちに船長を釈放することを要求。
 大使館に向けてのデモ行進。
 高級官僚の日本との接触禁止。
 大量の旅行キャンセル。
 フジタの社員4人を逮捕。
 レアアースの出荷停止。
 
 極めつけは、あの穏健そうに見られていた温家宝首相の日本に対する恫喝だった。

 国連会議に出席中の彼は現地の華僑や中国人留学生とのレセプションの席で、拘留されている中国人船長を直ちに無条件で釈放するよう求める談話を発表した。
「船員やその家族を大いに傷つけ、国内外の中華子女による強い憤りを引き起こした。・・・日本がわれわれの意見を聞かないのであれば、われわれは更なる行動に出る。これによってもたらされる一切の重大な損失は、日本がすべてその責任を負わなければならない」と日本に対する国民の敵対心を煽る演説をした。

 温首相は、温和で人格者に見えるが全体主義国家ではそうもいかないのか。
 戦後の民主主義平和国家ではなかなかできない政治家の発言である。

 太平洋戦争末期、日露平和条約を一方的に破棄し満州になだれ込んだロシア軍を祝福したスターリンの言葉を思い出す。
 満州に進駐した赤軍兵士は、その父兄がここで受けた国民的屈辱を雪いで仇をとったのだ、と。
 全体主義国家の恐ろしいところだ。

 しかし、今回の事件でむしろ中国の方がダメージが大きかったのではないだろうか。
 この事件の処理の仕方で中国は、その全体主義的な、覇権主義的な、世界にとって危険な姿勢をさらけ出してしまったわけだから。
 これからはうかつにこの手は使えないだろう。
 その意味では船長を逮捕したことで、中国の平和を乱す覇権的な姿勢を世界に浮き彫りにさせたことで、日本の平和外交戦略の勝利と言えるのでは。

 もし、逮捕を了承した所轄の大臣、前原氏?にここまでの読みがあったとしたら、日本の平和外交もなかなかのものですぞ。