竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌987から集歌991まで

2020年09月30日 | 新訓 万葉集
藤原八束朝臣月謌一首
標訓 藤原八束朝臣の月の謌一首
集歌九八七 
原文 待難尓 余為月者 妹之著 三笠山尓 隠而有来
訓読 待ちかてに余(あ)がする月は妹し著(き)る三笠し山に隠(こも)りにありけり
私訳 待ちきれないと私が思った月は、雨に恋人が著ける御笠のような、その三笠山に隠れてしまっている。

市原王宴祷父安貴王謌一首
標訓 市原王の宴(うたげ)にして父安貴王を祷(いは)ふ歌一首
集歌九八八 
原文 春草者 後波落易 巌成 常磐尓座 貴吾君
訓読 春草は後(のち)は落(ち)り易(か)ふ巌(いはお)なす常盤(ときは)に坐(い)ませ貴(とふと)き吾が君
私訳 春の草は後には秋の枯れ草に変わっていきます。しかし、磐のように常盤にいてください、貴い私の大切な貴方。

湯原王打酒謌一首
標訓 湯原王の酒を打つ謌一首
集歌九八九 
原文 焼刀之 加度打放 大夫之 壽豊御酒尓 吾酔尓家里 (壽は、示+壽の当て字)
訓読 焼(やき)太刀(たち)し稜(かど)打ち放(は)ち大夫(ますらを)し寿(は)く豊御酒(とよみさけ)に吾れ酔(よ)ひにけり
私訳 焼いて鍛えた太刀の稜を鞘から打ち放ち舞い、大夫の寿を祝う立派な御酒に私は酔ってしまった。

紀朝臣鹿人見茂岡之松樹謌一首
標訓 紀朝臣鹿人の茂岡の松の樹を見ての謌一首
集歌九九〇 
原文 茂岡尓 神佐備立而 榮有 千代松樹乃 歳之不知久
訓読 茂岡(しげをか)に神さび立ちに栄えたる千代(ちよ)松し樹の歳し知らなく
私訳 茂岡に神々しく立ち、立派な枝を張る千代松の樹の歳は、どれほど久しいかは判らない。

同鹿人至泊瀬河邊作謌一首
標訓 同じく鹿人の泊瀬の河邊に至りて作れる謌一首
集歌九九一 
原文 石走 多藝千流留 泊瀬河 絶事無 亦毛来而将見
訓読 石(いは)走(ばし)り激(たぎ)ち流るる泊瀬川絶ゆることなくまたも来に見む
私訳 磐の上をしぶきをあげほとばしり流れる泊瀬川よ。その流れが絶えることがないように、絶えることなく再び来て眺めましょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 万葉集 集歌982から集歌986まで | トップ | 万葉集 集歌992から集歌996まで »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

新訓 万葉集」カテゴリの最新記事