旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

これからの日本酒③

2014-04-04 11:11:27 | 


 山水舎の日本酒セミナー第三講は、明治大学専門職大学院教授上原征彦氏の「新しい時代の日本酒マーケティング」。流通経済研究所の理事長などを兼職する豊富な経験をもとに、薀蓄ある話をしてくれた。
 まず全般的に日本酒の現状をとらえて、次の三点を指摘された。

(イ)日本酒は美味しくなった。しかしお客が減った後おいしくなった点が問題。本来改革は客の居る間になさねばならない。
(ロ)消費は単品としては消費できない。アソートメント、つまり品揃えで提供することが重要。「モノ売り」から「コト売り」へ。酒を売るのではなく文化を売ること。
(ハ)美味しくなったがみんな同じ酒になってきている点が問題。個性がないと伸びない。オンリーワンになること。

 上原氏の指摘の通り、戦後の日本酒の歴史は悲しい。アル添三増酒が席巻し、大量販売の波に乗ってパック酒など粗悪品が出回り、日本酒離れが続いた。不幸なことだが東日本大震災で東北の地酒が飲まれるようになり、地酒が育んできた特定名称酒など美味しい酒が初めて知られた。しかしその時、客は居なくなっていたのだ。
 しかし遅くはないのだろう。今から本当の日本酒時代が来ると信じよう。
 新酒から古酒に至るまで、純米酒を中心にかなり個性的な酒が生まれている。それぞれに物語性を盛った酒(「コト売り」)もたくさんある。上原氏が提起するGI(地理的表示保護制度)なども併せ、「その地の文化を売る」ことに努めていけば、日本酒の新時代は必ず開けるのではないか。 


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