旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

秋の深まりーーひやおろしのお燗

2008-10-26 16:29:26 | 

 

 10月も後一週を残すのみとなった。食卓を飾る果物も日に日に熟度をまし、酒も、「ひやおろし」などでも燗をしたくなる時節となった。
 ひやおろしというのは、夏の間タンクで眠り熟成して、いわゆる秋上がりした酒で、かつ季節柄気温も下がってきたのでビン詰時の火入れを省略した酒、いわば生酒に近いので、冷か常温で飲むのが美味しい。しかしそのような酒でも秋の深まりにつれて燗をしたくなる。
 若いときはぎんぎんに冷えた生酒が美味しく、それを専ら求めて歩いた時期もあった。しかし最近は生酒は重く、一般に熟成した酒の常温か燗酒がいい。年のせいだろう。

 秋あがりした酒のふくよかな味わいと共に、前述したように果物も熟度を増す。特にそれを感じるのが柿である。つい先日まで硬くてこりこり噛んでいたが、このところ口の中でとろける。
 私が酒を飲むので、ワイフが毎朝の食後に柿を出す。「柿は体内に残るアルコール分を吸収する」と言われていることによるようだ。私はその真偽のほどを知らない。しかし柿を食べると何か体が冷えて、アルコールが抜けていくような気はする。
 そういえば、高浜虚子に次の句があるので、柿は酔い覚めに効くのかもしれない。

   水飲むがごとく柿食う酔いのあと

 虚子は、酒酔いに対する柿の効用につき、化学的根拠を知っていたのであろうか?
                            

 


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