旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

人の善意に生きる年齢

2013-10-22 14:19:18 | 時局雑感

 

 昨夜は弟と、わらび座の歌舞音曲劇「げんない」の映画を見るために池袋に出かけた。終了したのは10時を回っていたが、腹が減ったので近くの炭火焼き屋で飲み、食事を終えて新宿に着いたのは12時であった。
 幸い、京王線の最後の快速に間に合ったので飛び乗ると、夜中というのにけっこう満員、吊革にぶら下がっていると前の若い女性が「どうぞ」と席を譲ってくれた。私は「いやいや、年寄りも足を鍛えなければなりませんから…」などと言いながら謝絶したのだが、執拗に薦められ譲ってもらった。

 酒の酔いも加わった疲れで、正直言ってこの座席はうれしかった。しかし、この女性もこの時間ともなれば疲れているに相違ないし、「どこまで行くのだろうか? こんな夜中に年寄りが乗ってくるなんて迷惑だろうな…?」などと気になった。
 彼女は、私の降りるひとつ前の駅で降りた。私がその背中に向かって「ありがとうございました。助かりました」と礼を述べると、彼女はニッコリと振り返り、軽く会釈して降りて行った。実に美しい笑顔で、清々しいそぶりであった。

 近頃、席を譲られることが多くなり、むしろ反発したくなることもあるのだが、素直に人の善意を受け入れて生きる年齢になったのであろう。因みに私は、78歳と6か月である。

                              

 


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