六月も終ろうとしている。
先月から今月にかけてアメリカについて書いてきた。初夏を」迎えて「明るい印象」が残るアメリカの旅を思い出したからだ。それにつれて、酒もバーボン・ウィスキーからラム酒などに触れてきた。いずれも蒸留酒である。
夏はどちらかと言えば蒸留酒が合うのかもしれない。大分前のことになるが、勤務していた会社の社内報(月刊誌)に、一年にわたり「お酒の話」を書いた。毎月、その月にマッチした酒を書いていったのであるが、いま読み返してみると七月は“焼酎”について書いている。日本の酒を代表する蒸留酒だ。
ぶどうの国ではそれを醸造してワインを造り、蒸留してブランデーを造る。麦の国はそれを醸造してビールを造り、蒸留してウィスキーを造った。“米の国”わが日本は、米を醸造して清酒を造り、それを蒸留すれば米焼酎、もろみの段階で芋を仕込んで蒸留すれば芋焼酎、麦を仕込めば麦焼酎…。
人類は多彩な味を楽しんできたのである。
日本の6~7月は、いわゆる梅雨で湿度は高く空は重い。からりとした飲み物としては蒸留酒の方が合うのであろう。特に近時は本格焼酎(乙類焼酎)を中心に質が高まり、芋や麦だけでなく黒糖焼酎など多様化も進んで焼酎ブームが続いている。
外国の蒸留酒(ウィスキーやブランデー、ウオッカ、ラムなど)はアルコール度40度前後と高いが、25度を中心にした焼酎はグッと飲みやすい。蒸留酒でありながら食中酒として飲まれている所以であろう。
しばらくは、この愛すべき焼酎について書いていく。