桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

タンポポ集会

2017-05-28 | Weblog

昨日は、関西地区の冤罪を闘う人や支援者が集うタンポポ集会だった。
今年のメインは、堺のコンビニ強盗事件で冤罪に巻き込まれたラップ歌手のサンデュウ氏。まだ27歳。
何でも、交遊関係で使うらしいコンビニに強盗が入り、1万円を取って逃げた事件があり、入口の自動ドアの外側にサンデュウさんの指紋があったことから逮捕されたらしい。
サンデュウさんは、若いころにヤンチャをして逮捕された経験があって警察の指紋台帳に記録が残っていたことからの逮捕だったそうだ。
コンビニの自動ドアの外側に指紋があったのは、その事件があった5日ほど前に行ったとき、気分の高揚していたラップ歌手は、ドアに向かって両手を広げて触ってしまったらしい。犯人は、店員がレジを開けたとき、身を乗り出してレジに手を伸ばし、小銭入れを取り上げて投げ捨て、1万円を奪って逃げた。
その他にも犯人が犯行に及ぶまでにはレジ袋などにも触れているが、サンデュウさんの指紋は自動ドアの外側にだけしか無かった。
普通の感覚ならば、こういうときは、もしかしたら犯人ではないのかもしれないと思いそうなものだが、警察には、そんな常識はない。若いころに逮捕されたような人は、歳を重ねて狡猾になるとしか考えない。たまたま指紋が残らなかっただけ。防犯カメラにはない、犯人が自動ドアの外側に触れた動作についても、それは映像になくても指紋がある以上は触れたのであって、そこに指紋があるのが犯人の証拠だと確信して調べるのだ。
悪党警察の本領発揮は、これからだ。サンデュウさんの携帯には、事件のあった時間に家で撮った写真が保存されていた。警察は、サンデュウさんに携帯の暗証番号を聞いて携帯の中を調べたのに、この写真をも無視した。サンデュウさんの母親が、コンビニの防犯カメラを調べて、事件の4日前にサンデュウさんがコンビニに行って、歌手のステージみたいにパッと両手を広げて自動ドアに触れている姿を発見したのだ。
普通、こうなれば検察も拘束を解きそうなものだが、悪徳に勝る腐れ検察だ。結局、起訴になり、保釈で自由になるまでに300日、無罪判決までには、更に数ヶ月を要した冤罪事件だ。
サンデュウさんは、ラップ歌手としてメジャーデビュー目前だったが、この事件で事務所を解雇された。歌手の夢を目指す若者が、たった1万円で夢を捨てるはずもなかろうに、何でも悪く解釈し、過ちを認めない警察と検察は、サンデュウさんの人生を歪めたのだ。
1部は、そのサンデュウさんの歌だったが、心に響く素晴らしい歌だった。逮捕体験で作った「12の言葉」は圧巻。悪いことをしたらごめんなさいて言おう、は、強烈なメッセージだったなあ。
2部は、水谷教授、俺、サンデュウさんの3人で冤罪に付いての話をしたが、冤罪に出会って良かったと語るサンデュウさんは、俺と同じ体験感覚を持っていて、同士を得た!の喜びだった。
3部は、関西地区の冤罪事件が壇上に並んでの訴えだった。
日野町事件の事実調べもあり、更にタンポポが全国に希望を運ぶと確信を得た1日だった。
サンデュウさんは、その後、事務所に戻って、今もメジャーデビューを目指して頑張っている。