スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

アグネスデジタル&身体の変状

2008-11-20 19:25:02 | 名馬
 3日のロジータ記念を勝ったシスターエレキングの父はアグネスデジタルで,この馬も日本でレースをした名馬の1頭です。
 1997年,アメリカ産。輸入され2歳10月に2戦目で初勝利。11月に2勝目を上げると続く全日本3歳優駿を優勝。ただしこのときはまだこのレースは大レースではありませんでした。
 3歳2月にダートのオープンを57キロで負けた後,芝の重賞で3連敗。続く名古屋優駿で重賞2勝目。1番人気に推されたジャパンダートダービーは今から考えると不可解な大敗を喫しました。
 当時は秋に行われていたユニコーンステークスで戦列に復帰し重賞3勝目。初の古馬相手となった武蔵野ステークスを2着すると芝のマイルチャンピオンシップに進み,これを大外からレコードタイムで差し切り,芝では初勝利という意外な形で大レース初制覇を達成しました。
 4歳前半は不調で3戦未勝利でしたが,秋からがこの馬の真骨頂。まず日本テレビ盃を勝つと,南部杯でトーホウエンペラーを降して大レース2勝目。そして天皇賞に出走しました。
 これはいわくつきのレースで,当時の天皇賞は外国産が2頭しか出走できないルール。この馬が出走したためにクロフネが除外され,クロフネは武蔵野ステークスの方に回り,高いダート適性を見せたのです。しかもアグネスデジタルは雨で重馬場となったこのレースを大外から差し切って優勝したのですから,両者にとってよい幕切れでした。
 次に選んだのが香港遠征。暮れの香港カップに出走しこれも勝ちました。この日はステイゴールドが勝った日でもあり,4レース中3レースを日本の馬が制した記念すべき日です。
 年明け初戦はフェブラリーステークス。これも外から差し切り優勝。地方ダート,中央芝,海外芝,中央ダートと異なるカテゴリーで大レース4連勝という偉業。この後,ドバイと4月の香港を負け,長期休養に入りました。
 この馬がすごかったのはこれで終らなかったこと。6歳になり,一叩きして出走した安田記念をまたレコードで制し,大レース6勝目を飾りました。この年の暮れまで走りましたが,これ以降は勝てず,引退しました。
 芝だろうがダートだろうが,レコードの出る馬場だろうが重馬場だろうが関係なく次々に大レースを勝った名馬。こういう類の馬は今後もそうそうは出てこないだろうと思われます。

 明日から競輪は玉野記念です。ここは山崎選手と小嶋選手が出走してきます。

 第二部定理二三のうち,このブログとの関係で僕が最も注意を促しておきたいのは,ここで身体の変状affectiones corporisとか身体の刺激状態といわれていることに関連します。
 この定理Propositioでは身体の変状というのが,身体の刺激状態という意味で用いられます。刺激状態に〔〕がしてあるのは,岩波文庫版の訳者である畠中尚志の補注です。ここではこのように理解しなければ全体の意味が成立しませんから,この補注そのものが正しいことはいうまでもありません。しかしなぜわざわざこのような補注がしてあるのかにははっきりとした理由があって,ここでは身体の刺激状態,すなわちある延長作用について身体の変状といわれていますが,スピノザは身体の刺激状態の観念idea,すなわちある思惟作用としても身体の変状ということがあるからです。
 スピノザがそのようにいう理由は,たぶん次の点にあると思われます。変状はラテン語でaffectioですが,感情はaffectusです。つまりこのふたつは類義語なのです。ところが感情は第三部定義三にあるように,延長作用と思惟作用の双方を意味します。よって身体の変状という場合にも同様なのでしょう。
 感情は僕たちの日常用語で,またそれは確かに延長Extensioと思惟Cogitatioの両作用を示すと考えられますのでこれは構いません。しかし変状というのは日常用語ですらありませんから,日本語で考える場合には無用の混乱を来すおそれがあります。そこで僕は,身体の変状ということばについては,身体の刺激状態の観念,すなわち思惟作用に限定して用います。もしも延長作用を示す場合には身体の刺激状態とこれを表現することにします。つまりこの定理ではスピノザは身体の変状といっていますが,このブログではそう表記はしませんので,この点に注意しておいてください。
 なお変状というのは,身体の変状だけではなく,実体の変状substantiae affectioとか神Deusの属性attributumの変状というようにも『エチカ』では使われます。この場合にはとくに上記の説明とは関係ありませんので,その点にもご留意ください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トーホウエンペラー&第二部... | トップ | ルイジアナピット&第二部定... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

名馬」カテゴリの最新記事