なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

亜急性甲状腺炎

2020年08月20日 | Weblog

 昨日内科再来を診ていると、外来看護師長が内視鏡室勤務の看護師さん(39歳女性)を連れてきた。発熱が続いているので、診てほしいという。再来終了後でよければ診ます、と答えた。

 

 7月31日から発熱(37℃後半~38℃台)が続いていた。8月3日に近くの医院(当地域ではない)を受診して、アモキシシリン(とロキソプロフェン)が処方された。発熱が続いて8月11日に再受診して、今度はニューキノロン(ジェニナック)が処方された。

 新型コロナウイルス感染症のPCR検査をするよう言われて、赤十字病院で受けていた。結果は陰性。呼吸器症状はまったくない。嗅覚・味覚障害もない。白血球は正常域で、CRPが5~7だった。

 赤十字病院では、「何らかのウイルス感染症なので、1か月くらい発熱は続くだろう。他の人にうつらないので仕事はしてもいい。」と言われたそうだが、本当だろうか(あくまで本人の話)。

 外来看護師長に報告して、実際に勤務を続けていた。当院では、本来は発熱が続いている間は仕事を休むことになっている(どこの病院でも同様のはず)。

 自覚症状は発熱だけと言っていたが、聞いているうちに喉が痛いとも言った。普通に診て咽頭発赤はない。頸部にびまん性甲状腺腫があるようにも見えて、触診すると少し圧痛がある(両側で)。

 1週間経過しているので炎症反応の再検と甲状腺機能を提出した。検査室から報告がきて、甲状腺機能亢進があった(TSHは感度以下)。白血球数は正常域でCRPが6だった。

 甲状腺エコーを追加すると、びまん性甲状腺腫で内部に低エコー域が広がっていた。亜急性甲状腺炎に矛盾しない所見だった。

 当院では外科で甲状腺外来を行っていて、主には院長先生が担当している。放射線室にいるところを捕まえて?、診察・治療を依頼した。(ちゃっかりと甲状腺抗体の外注も提出も依頼)

 

 症状がそろって、すっかり熟した時期に診たことになる。結果的に感染症ではなかったが、発熱が続いている状態で勤務していたのはまずい。

 

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